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育休中は扶養控除が適用される可能性がある?適用条件や知っておきたいポイントを解説

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

育児休業中に給与が支払われない場合、夫(妻)の扶養に入ることで夫が扶養控除を受けられる可能性があります。扶養に入るには要件を満たす必要がありますが、扶養に入ることで控除の対象になるなら、申告して控除を受けるのが賢明です。

この記事では、育児休業中に扶養に入ることのメリットや、扶養に入るための条件を解説し、扶養控除申請を行う際のポイントも紹介します。

税法上の扶養と社会保険の扶養は別物

「扶養に入る」とは、扶養者から経済的な支援を受けることです。扶養に入る人のことを「被扶養者」と呼びます。

扶養には「社会保険の扶養」と、「税法上の扶養」の2種類があります。

「社会保険の扶養」では、被扶養者が扶養者の加入する健康保険に一緒に加入することができます。しかし、育休中ならば社会保険には加入している状態なので、そもそも夫の扶養に入る必要はありません。

つまり、育休中に扶養に入るとしたら、「税法上の扶養」になるでしょう。扶養に入る人(ここでは配偶者)のその年の合計所得金額が48万円以下(給与収入だと年収103万円以下)である場合、納税者の合計所得金額に応じた配偶者控除を受けられます。

また、合計所得金額が48万円以上でも、133万円以下なら配偶者特別控除が適用されます。

育休中に扶養に入るメリット

育児休業取得中は給与が支払われない場合、扶養控除を受ける条件を満たす可能性があります。その場合には、扶養に入って夫に扶養控除を適用させた方が税制上のメリットを受けられます。

具体的には、配偶者控除もしくは配偶者特別控除を適用することで、夫が支払う所得税および住民税が少なくなります

なお、育児休業中に扶養に入ることで生じるデメリットは特にないものの、夫が年末調整のときに「給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出しなければならない点は覚えておきましょう。提出するのを忘れると、確定申告を行う必要があります。

育休中でも扶養控除が適用される条件

育児休業中に夫(妻)が扶養控除を受けることは可能です。ただし、以下の条件を満たす必要があります。

  • 配偶者控除:妻(夫)の年間の合計所得額 が48万円以下(給与所得者なら年収103万円以下)
  • 配偶者特別控除:妻(夫)の年間の合計所得額 が48万円超133万円以下(給与所得者なら年収103万円超201万6000円未満)

配偶者控除の場合

納税者に税法上の控除対象となる配偶者がいる場合、一定の金額の所得控除が受けられる制度を配偶者控除といいます。

配偶者控除の金額は、納税者本人の合計所得金額によって変わります

納税者本人の合計所得金額 控除額(一般の控除対象配偶者)
900万円以下 38万円
900万円超950万円以下 26万円
950万円超1000万円以下 13万円
出典:国税庁「配偶者控除

配偶者控除が適用されるためには、配偶者が以下の条件を満たさなければなりません。

  • 民法の規定による配偶者(内縁関係は適用外)
  • 納税者と生計を一にしている
  • 1年間(1月1日~12月31日)の合計所得金額が48万円以下
  • 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていない。または、白色申告者の事業専従者ではない

配偶者特別控除の場合

年間の所得が48万円を超えるため、配偶者控除を受けられない場合でも、年間所得金額が133万円以下なら配偶者特別控除が受けられます。

配偶者特別控除の金額は、配偶者と納税者本人それぞれの合計所得額によって変わります

配偶者の合計
所得金額
納税者本人の合計所得金額
900万円以下 900万円超950万円以下 950万円超1000万円以下
48万円超95万円以下 38万円 26万円 13万円
95万円超100万円以下 36万円 24万円 12万円
100万円超105万円以下 31万円 21万円 11万円
105万円超110万円以下 26万円 18万円 9万円
110万円超115万円以下 21万円 14万円 7万円
115万円超120万円以下 16万円 11万円 6万円
120万円超125万円以下 11万円 8万円 4万円
125万円超130万円以下 6万円 4万円 2万円
130万円超133万円以下 3万円 2万円 1万円
出典:国税庁「配偶者特別控除

ただし、配偶者特別控除の適用を受けるためには、以下の条件を満たさなければなりません。

  • 納税者本人の年間合計所得金額が1000万円以下
  • 民法の規定による配偶者(内縁関係は適用外)
  • 配偶者が、青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていない。または、白色申告者の事業専従者ではない
  • 配偶者の1年間(1月1日~12月31日)の合計所得金額が48万円超133万円以下
  • 配偶者が配偶者特別控除を適用していない
  • 配偶者が「給与所得者の扶養控除等申告書」または「従たる給与についての扶養控除等申告書」に記載された源泉控除対象配偶者として、源泉徴収されていない
  • 配偶者が「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に」記載された源泉控除対象配偶者として、源泉徴収されていない

育休中の扶養控除申請をするときに知っておきたいポイント

育児休業中に扶養控除の申請をする場合のポイントは、以下の通りです。

  • 扶養控除は年末調整か確定申告で申請する
  • FPに相談する

扶養控除は年末調整か確定申告で申請する

年末調整で行う場合、毎年11月頃に会社から「給与所得者の配偶者控除等申告書」が配布され、配偶者の氏名やマイナンバーを記入して提出します。会社が定めた提出期限までに提出することで、年末調整にて還付が行われます。

年末調整に間に合わなかった場合は、確定申告で申請することで還付を受けられます。通常、確定申告時期は翌年の2月16日~3月15日までですが、還付申請のみの場合は2月1日から申請が可能です。

FPに相談する

扶養控除の仕組みがよくわからない人や、不要に入るべきか判断できない人はファイナンシャルプランナー(FP)に相談する方法もあります。お金の専門家であるFPなら、ほかにも出産による家計の見直しや、子どもの教育資金の準備方法などさまざまな疑問を解決してくれます。

FP相談には有料のものと無料のものがあります。無料でのFP相談ならこちらから申し込むことも可能です。

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まとめ

扶養には「税法上の扶養」と「社会保険の扶養」があり、記事で紹介した扶養とは「税法上の扶養」を指します。社会保険については、育児休業中も会社が保険料を払ってくれており、そのまま継続して加入できます。

育児休業中は、条件を満たすことで夫が配偶者控除もしくは配偶者特別控除といった所得控除を受けることが可能です。条件を満たすなら、手続きを行って夫の所得控除に反映させることをおすすめします。

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