結婚資金の贈与は税金がかかる?非課税枠や贈与の手続き方法を解説

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

結婚には多額の資金が必要です。自分たちだけでは準備できず、親や祖父母からの援助に頼るケースも多いでしょう。

両親や祖父母からまとまったお金を一括で受け取ると、通常は贈与税の課税対象ですが、結婚資金の場合には一定金額まで非課税になります。この記事では、結婚・子育て資金の贈与に関する非課税制度について解説します。

結婚・子育て資金の贈与とは

結婚・子育て資金の制度とは、国税庁が定めている贈与税の非課税制度です。正式名称は、「結婚・子育て資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置」といいます。結婚や子育てのために直系尊属(両親や祖父母など)から一括で受け取った資金に対して、1000万円まで贈与税が非課税になります。

ただし、制度の適用には以下の条件をクリアしなくてはなりません。

  • 贈与を受ける人が18歳以上50歳未満である
  • 贈与を受ける人の前年度の所得が1000万円以下である

結婚資金贈与の非課税枠はいくら?

結婚・子育て資金の制度では、1000万円までが非課税対象です。ただし、結婚関連の費用についてはそのうちの300万円までが非課税対象となっています。

例えば、結婚費用が総額で350万円だった場合、300万円を超える部分である50万円は課税対象です。

こういった非課税枠に関して不明点があれば、お金の専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)への相談もおすすめです。結婚費用のほかにも、挙式後の夫婦でのライフプラン全般について適切なアドバイスがもらえるでしょう。

無料でのFP相談なら、こちらから申し込むことも可能です。

非課税の対象になるもの・ならないもの

結婚や子育てに関する費用には、一定の範囲があります。ここでは、非課税になる費用とならない費用を整理します。

非課税になる費用

結婚や子育てに関する費用がすべて非課税になるわけではなく、非課税の対象となる費用が定められています。

制度で非課税になる費用は、おおむね以下の通りです。

結婚に関する費用 ・結婚式の会場費
・衣装代
・飲食代
・引き出物代
・写真・映像費用
・演出費用
・人件費
新生活に関する費用 ・賃料
・敷金
・礼金
・保証金
・共益費
・仲介手数料
・契約更新料
引っ越し費用 ・結婚後の新居への引っ越し費用
妊娠・出産に関する費用 ・不妊治療費用
・妊婦健診費用
・分べん費用
・産後ケアに必要な費用
子育てに関する費用 ・子どもの医療費
・幼稚園・保育園の保育料
・ベビーシッター代

非課税にならない費用

以下の費用は非課税にならないので、注意してください。

結婚に関する費用 ・両家の顔合わせにかかった費用
・結納式の費用
・婚約指輪・結婚指輪の購入費用
・ブライダルエステ代
・結婚式・挙式出席のための交通費・宿泊費
・新婚旅行代
・婚活費用
新生活に関する費用 ・水道光熱費
・家具・家電の購入費用
・駐車場代
・地代
引っ越し費用 ・不用品の処分費用
妊娠・出産に関する費用 ・不妊治療・妊婦健診のための遠隔地・海外への交通費・宿泊費
・出産時の病院までの交通費
・海外での出産に必要な交通費・宿泊費
・処方箋に基づかない医薬品代
子育てに関する費用 ・処方箋に基づかない医薬品代
・子どもの治療のための遠隔地・海外への交通費・宿泊費

結婚資金贈与の手続き

結婚資金贈与の手続きは、以下の流れで行います。

  • 金融機関と「結婚・子育て資金管理契約」を締結する
  • 専用口座(結婚・子育て資金口座)を開設する
  • 金融機関経由で管轄税務署に「結婚・子育て資金非課税申告書」が提出される

手続きは役所ではなく、金融機関で行う点に注意してください。

専用口座開設時の必要書類

金融機関で専用口座を開設する際には、主に以下の書類などが必要です。

  • 贈与契約書
  • 戸籍謄本・抄本
  • 源泉徴収票・確定申告書
  • 銀行の届出印
  • 本人確認書類

専用口座からの引き出し方法

引き出し方法は金融機関によって異なりますが、「領収書払い」「請求書払い」が一般的です。

領収書払いの場合
  • 祖父母などの親族が金融機関に資金を預け入れる
  • 対象となる支出があれば、領収書を金融機関に提出する
  • 制度の対象であれば、資金が支払われる
請求書払いの場合
  • 祖父母などの親族が金融機関に資金を預け入れる
  • 請求書を金融機関に提出する
  • 制度の対象であれば、資金が支払われる

制度の対象となる費用かどうかは金融機関が判断します。目的外の使用(対象とならない)と判断された費用は、贈与税の課税対象となります。

金融機関によっては、先に資金を引き出し、後日、領収書を金融機関に提出する方法もあります。この場合、資金を使ったあとに金融機関が判断することになり、目的外の使用と判断された場合は、贈与税の課税対象となります。

結婚資金の贈与に関する注意点

結婚資金の贈与に関しては、以下の点に注意が必要です。

  • 資金を引き出す際には領収書・請求書の提出が必要
  • 贈与者が死亡した場合は相続税がかかる
  • 贈与されたお金を使わずに置いておくと課税対象になる可能性がある
  • 現金手渡しは税務署にバレる

資金を引き出す際には領収書・請求書の提出が必要

前述した通り、専用口座から資金を引き出す際には、領収書や請求書を金融機関へ提出しなくてはなりません。資金の使い道が結婚や子育てに関係していることを証明するためです。提出を失念すると、目的外の使用として贈与税の課税対象になってしまいます。

領収書には提出期限があるため、速やかな提出を心がけてください。

贈与者が死亡した場合は相続税がかかる

贈与された資金が残っている状態で贈与者(資金を与えた親や祖父母)が亡くなった場合、残額は相続税の課税対象になります。課税対象額(「管理残額」と呼ばれます)の計算方法は、以下の通りです。

管理残額

(生前に贈与された金額)-(金融機関にて結婚・子育て目的で支払われたと認められた金額)

贈与されたお金を使わずに置いておくと課税対象になる可能性がある

結婚・子育て資金に対する非課税制度の適用には、期限が定められています。贈与を受けた人が50歳になった時点で贈与されたお金を使わないままにしていると、残額が課税対象になる可能性があります。

贈与された額から結婚や子育て資金だと認められた金額を差し引いた残額が課税対象になる点は、贈与者が死亡したケースと同様です。受け取った金額の分を使い切れるよう、しっかりと計画を立てておくことをおすすめします。

現金手渡しは税務署にバレる可能性がある

口座を開設することや都度領収書を提出することが煩わしいからといって、資金を現金で手渡ししてはいけません。現金で手渡ししても、税務署にバレてしまう可能性があります。

税務署は、国税総合管理システムによって国民の経済状況を管理しています。預貯金や保険契約、そして税金の申告情報などから、対象者の財産の割り出しが可能です。想定した財産額よりも実際の財産が低ければ、差額を何に使ったのか調査されることがあります。

特に親子間であれば、お祝いや支援などとして気軽に現金を渡してしまう傾向があります。しかし、現金手渡しは避けた方が賢明です。

まとめ

結婚や子育てを目的として親や祖父母から資金を提供してもらった場合、一定金額までは贈与税が非課税になります。非課税枠は全体で1000万円であり、そのうち結婚関連の費用に関する非課税枠は300万円です。

制度の申し込みは金融機関で行います。贈与された資金を引き出す際には、領収書が必要です。贈与されたまま放置していると課税対象になる可能性もあるため、計画的に資金を使うようにしましょう。

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