政府は、2023年1月1日以降に生まれた子ども1人につき10万円分のクーポンを配る方針を決定しました。
クーポンは、子育てに必要なものや子育てに関連するサービスに使用可能で、自治体の判断次第では現金受け取りも可能にするようです。
出産や育児にかかる費用を負担し、出産を促すという狙いがありますが、「10万円支給されるからといって、出産に前向きになるのか」という疑問の声も上がっています。
この記事では、「妊娠・出産に関する意識調査」の結果を紹介し、未来の出生数予想について解説します。
2023年1月より「出産クーポン10万円」開始。一方、理想の支援額は80万円という調査結果も。価値ある支援になるのか
支援金の理想価格は80万円
株式会社ベビーカレンダーが、子どもの出産を経験したママ881名に「妊娠・出産に関する意識調査」を実施しました。
「これから子どもを持つと考えた際、どんな制度があったら良いか」という質問に対し、以下の調査結果が出ています。
- 経済的な負担を軽減する制度(87.97%)
- 妊娠中や産後も仕事をしやすい、育児と仕事を両立しやすい制度(66.97%)
- 家事代行など、育児中の負担を軽減する制度(43.59%)
9割近くの人が、経済的な支援制度を望んでいる結果でした。
では、理想の支援金額はどのくらいなのでしょうか。
出典:株式会社ベビーカレンダー「妊娠・出産に関する意識調査」(以下同)
同調査によると、出産に対する支援金の理想価格は「80万円」、妥協価格は「75万円」という結果でした。
現在、出産育児一時金として42万円が支給されており、来年度からは、47万円に引き上げる方針です。
さらに、10万円分のクーポン配布も検討されていますが、両方を合わせても妥協価格に届きません。
「経済的な負担を軽減する制度があったとしたら持ちたいと思う子どもの人数は増えましたか」という質問に対しては、「増えた」が67.52%でした。
出産育児一時金の増額や出産クーポンの配布は、理想とする額には届かないものの、十分な経済支援は、出生率の増加に影響する可能性がありそうです。
2040年の出生数はさらに減少する見込み
少子高齢化が進んでいる中で、出生数は年々減少しています。
厚生労働省の「令和3年人口動態統計月報年計の概況」によると、2021年の出生数は約81万人で、調査が始まった1947年以来、最少でした。
また、厚生労働省の「令和2年度版厚生労働白書」によると、2040年の出生数は74万人と推計されています。20年後には、今以上に出生数が減少すると見込まれているようです。
出生数の増加を目指すには、支援金の増加や支援制度の創設など、子育てがしやすい環境を整えることが求められています。
- 株式会社ベビーカレンダー「妊娠・出産に関する意識調査」