フリーランスが知っておくべき「インボイス制度」。1分でわかる概要と影響

執筆者:マネーFIX 編集部

インボイス制度が2023年10月1日から始まります。

施行まで1年ほどありますので、これから調べる予定の人も多いでしょう。

インボイス制度 とは、売り手が買い手に対して、適用税率や消費税額などを記載した「適格請求書(=インボイス)」を発行する制度です。

インボイス制度の背景にあるのは、2019年10月に軽減税率が導入され、取引や商品によって税率が異なることです。

どちらの税率(標準税率10%、軽減税率8%)が適用されるかを明確にすることで、経理処理の正確性を上げることが狙いです。

インボイス制度への理解度は?

クラウドソーシングのプラットフォーム「ランサーズ」を運営するランサーズ株式会社では、同サービスの登録者(受託側)を対象に、インボイス制度に関する意識調査を実施しました。

資料1 インボイス制度を理解しているか

出典:ランサーズ株式会社「インボイス制度に関するフリーランスの意識調査 」

資料2 インボイス制度を理解したいか


インボイス制度を「深く理解している」「理解している」人の割合は25.5%でした(資料1)。

一方で、「今すぐに理解したいと思う」「理解しようと思っている」と回答した人は84.4%にのぼり、来年の開始に向けてすでに調べようとしている人が多いことがわかります(資料2)。

資料3 インボイス制度に対するイメージ

 
「深く理解している」「理解している」と回答した人で、「リスクに感じる」と回答した人は47.3%でした。

一方、「理解して付き合えばリスクではない」と回答した人は30.9%で、制度に対するイメージが分裂していることがわかります。

資料4 インボイス制度に対する不安な点

 
制度に対する不安な点として、「課税事業者になることのメリット・デメリットが不明」(55.2%)が最も多く、「収入がどうなるか不安」(48.1%)も半数近くにのぼりました。

1分で理解できる制度の概要

フリーランスや副業者向けに、おさえておきたい2023年10月1日から始まるインボイス制度の内容をまとめました。

  • インボイス制度は、クライアント(買い手)に正確な適用税率や消費税額率を伝えるために、フリーランス(売り手)などがインボイスを交付する制度である。
  • インボイスを交付するためにはインボイス発行事業者にならなければならない。
  • インボイス発行事業者になるためには、2023年3月31日までに登録申請しなければならない。
  • インボイス発行事業者になると、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」に登録番号、氏名(または名称)、登録年月日などが公表される。
  • インボイスの登録は任意である。


フリーランスからみた制度のポイント

消費税納税を免税されているフリーランスが、インボイス登録した場合のポイントは次のとおりです。

  • フリーランスがインボイスに登録していなければ、クライアントは仕入税額控除(※)を利用できなくなり、納税額が増える。
  • 仕入税額控除を利用できないと、取引しないクライアントもいるかもしれない。
  • インボイス登録事業者になると、消費税の納税義務が発生する。
  • 公表サイトでは登録番号を入力しないと、氏名は表示されない。


※仕入税額控除 :売上にかかる消費税額から仕入れにかかる消費税額を差し引くこと

インボイス登録事業者になるかどうかは、クライアントに状況を聞き、判断したほうがよいでしょう。

なお、インボイス発行事業者の登録は、令和3年10月1日からスタートしています。

国税庁ホームページの「インボイス制度特設サイト」には、制度の説明や相談用フリーダイヤルが設けられています。

また、各地域で開催される説明会の案内も載っていますので、参考にしてください。

フリーランスが知っておくべきインボイス制度に関しては、こちらの記事でも詳しく解説されています。合わせてご確認ください。

出典
  • ランサーズ株式会社「インボイス制度に関するフリーランスの意識調査 」
  • 国税庁「インボイス制度」リーフレット
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