戦後から続いてきた日本特有の雇用システム「終身雇用制度」。
社員が定年になるまで企業が定年まで雇用し続けるしくみです。
しかし、グローバル化に伴って成果主義やジョブ型雇用が導入されるにつれ、時代にそぐわない雇用制度になりつつあります。
総務省統計局の調査によれば、転職者数は2006年・2007年をピークとして、リーマンショックのあった2008年~2010年に大きく減少したものの、その後増加傾向で推移しています。
そして、2019年には過去最高を記録しました。
さらに、株式会社マイナビが今年行った調査では、正社員の転職率は、2006年からの6年間のうち、2021年の転職率が最高を記録しました。
「転職率は過去最高」6割近くが年収もアップ。30代では8割の人が転職を検討!
半分以上の人が自己評価よりも低年収
出典:JOB総研「転職と年収に関する実態調査」(以下同)
転職を目指す大きな理由の一つが、「給料」です。
JOB総研が、20~50代の社会人983人を対象に行った調査では、「年収が自己評価より低い」と答えた人は計51.7%にものぼりました。
半数以上の人が、自分の実力と年収が見合っていないと感じているようです。
転職で年収がアップした人は58.2%
給与額は転職動機の大きな理由になるものの、実際に年収が上がった人はどれくらいいるのでしょうか。
同社の調査によると、「転職で年収が上がった」人は58.2%という結果に。
半数以上の人が、転職によって年収アップを実現していることがわかりました。
また、転職で上がった年収の平均は39.8万円、中央値は50万円になっています。
一方、「年収が下がった」という方は21.7%で、下がった年収の平均は34.1万円、中央値は40万円になっています。
年代別に見ると、20~40代は「転職で年収がアップした」と回答した人が50%を上回っています。
一方、50代では36.9%と、平均よりも20%ほど低い結果になりました。
転職時の給与はその時点でのスキルや経験値がベースにはなるものの、成長の期待も含めて若手の囲い込みをしたいという企業側の意図も感じられます。
なお、転職を成功とする理由は、年収アップばかりではありません。
「テレワークで働けた」「残業が減った」といった働き方の改善や、「気の合う仲間ができた」「上司の相性が良かった」といった人間関係の充実に関する意見も多く見られました。
転職未経験の5人に4人は転職予定
転職をしたことが無い人に、今後の転職の予定を訊いたところ、60%もの人が「今後転職の予定がある」と回答しています。
特に30代では80.4%の人が転職を考えているという結果に。
一つの会社に居続けることにこだわらず、様々な環境でスキルや経験を積む、という考え方はすでに一般的になっています。
また、クラウドソーシングのサービスも増えており、空いた時間に副業をしながら収入もスキルも広げる、という働き方も認知されてきました。
働き方が多様化して選択肢も広がったことで、どのようにキャリア形成をするかが問われていると言えそうです。
- 総務省統計局ホームページ https://www.stat.go.jp/data/roudou/topics/topi1230.html
- 株式会社マイナビ 「転職動向調査2022年版」
- JOB総研 「転職と年収に関する実態調査」 https://job-q.me/articles/13610