9月から、一部の企業で賃金の「デジタル払い」がスタートしています。
デジタル払いとは、2023年から解禁された制度で、スマホ決済アプリを利用して賃金を支払うことです。
厚生労働省は、決済大手「PayPay」を国内初の事業者に指定しました。
賃金をデジタル払いにするメリットはあるのでしょうか。
この記事では、賃金のデジタル払いのメリットについて解説します。
賃金のデジタル払いが一部の企業で解禁!どのようなメリットがある?
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
PayPayのデジタル給与払いとは?
PayPayは、企業から受け取る賃金をPayPayアカウントに直接振り込む「PayPay給与受取」サービスを導入しました。
企業から支払われる賃金のうち、上限20万円までをPayPayアカウントに直接振り込みます。
20万円を超える金額については、事前に登録している本人名義の銀行口座に送金されます。
賃金をデジタル払いにすると、以下のメリットがあります。
- チャージの手間がかからない
- 指定の銀行口座にも送金できる
従来は、給与が振り込まれた口座とPayPayアプリを連携し、PayPayにチャージする必要がありました。
賃金のデジタル払いによって、チャージする手間が省けます。
また、PayPayアカウントに振り込まれた賃金を別の銀行口座に送金することもできます。
月1回まで送金手数料がかからないので、現金化して使いたい場合も安心です。
年内にはすべての企業で導入できる見通し
9月時点では、ソフトバンクグループ10社において、希望者を対象に賃金のデジタル払いが実施されています。
年内には、ほかの企業もPayPay給与受取サービスが実施できるように、準備を進める予定です。
PayPay以外にも、以下の決済事業者が認可を申請、または申請の準備を進めています。
- au PAY
- 楽天ペイ
- d払い
- メルペイ
将来的には、あらゆる電子決済サービスで賃金のデジタル払いができるようになるでしょう。
賃金のデジタル払いでよくある疑問点
次に、賃金のデジタル払いでよくある疑問について確認しましょう。
Q.賃金は強制的にデジタル払いされるのか?
賃金のデジタル払いは強制ではありません。
事前にデジタル払いを希望した人だけが利用できます。
Q.電子決済サービス業者が倒産したらどうなるの?
万が一、電子決済サービスの事業者(PayPayなど)が破たんしても、第三者保証機関が給与に相当する保証金を支払います。
そのため、電子決済サービス事業者の倒産によって、給与が不払いとなるなどの問題は生じません。
Q.転職したらデジタル払いされた給与はどうなるの?
転職や退職をした場合、デジタル払いされていた給与の残高を現金に換金できます。
厚生労働省が定めた規定によると、最後に入出金してから最低10年間は、申し出をすれば払い戻しができます。
そのため、転職や退職のタイミングで申し出をすれば、デジタル払いされた賃金を現金で払い戻せます。
今後、賃金のデジタル払いがどこまで普及するのか、注目が集まります。