2024年9月10日、松本総務大臣は地方公務員の地域手当の見直しを発表しました。
自治体間の給与格差が生じ、人材確保ができない自治体があるという問題を解消する狙いがあります。
では、地域手当はどのように見直されるのでしょうか。
この記事では、地方公務員の地域手当について、現行制度と見直し案について解説します。
【2024最新】地方公務員の地域手当が見直しへ。都道府県内の自治体間格差を是正
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
地方公務員の地域手当とは?
地域手当とは、民間企業の賃金水準が高い地域に勤める地方公務員に支給される手当です。
地域によって、給料の3~20%が地域手当として支給されます。
地域手当はなぜ支給されるのか?
地方公務員の給料は、全国一律で定められています。
しかし、都市部など、地域によっては物価が高かったり、民間企業の賃金が高かったりします。
勤務地によって生活にかかる費用が異なるという不公平を解消するために、地域手当が支給されています。
地域手当の支給率
地域手当は7つの区分に分けられており、支給率が異なります。
- 1級地:20%(東京23区)
- 2級地:16%(横浜市、大阪市など)
- 3級地:15%(さいたま市、名古屋市など)
- 4級地:12%(鈴鹿市、神戸市など)
- 5級地:10%(京都市、福岡市など)
- 6級地:6%(仙台市、静岡市など
- 7級地:3%(札幌市、新潟市など)
例えば、基本給が50万円の場合、地域手当の支給額は以下の通りです。
- 1級地:10万円
- 2級地:8万円(横浜市、大阪市など)
- 3級地:7万5000円(さいたま市、名古屋市など)
- 4級地:6万円(鈴鹿市、神戸市など)
- 5級地:5万円(京都市、福岡市など)
- 6級地:3万円(仙台市、静岡市など
- 7級地:1万5000円(札幌市、新潟市など)
地域手当は市区町村ごとに異なる
地域手当の支給率は市区町村ごとに異なります。
そのため、同じ都道府県でも地域手当に差が生じています。
東京都の地域手当の支給率は、以下の通りです。
- 23区(1級地):20%
- 武蔵野市(2級地):16%
- 八王子市(3級地):15%
- 立川市(4級地):12%
- 三鷹市(5級地):10%
- 東久留米市(6級地):6%
- 武蔵村山市(7級地):3%
例えば、三鷹市は、杉並区、世田谷区、小金井市、調布市、武蔵野市と隣接しています。
それぞれの支給率は以下の通りです。
- 三鷹市:10%
- 杉並区、世田谷区:20%
- 調布市、武蔵野市:16%
- 小金井市:15%
このように、隣接している自治体で地域手当の支給率が異なる現象は、全国的に見受けられます。
そのため、地域手当の支給率が高い自治体に、人材が流れる問題が指摘されていました。
地域手当はどのように見直される?
地域手当の支給区分を、自治体単位から都道府県単位に変更する方針です。
都道府県ごとに地域手当の支給率を統一するため、同じ都道府県内のどの地域に勤務しても、地域手当に差が生じなくなります。
仮に、東京都が1級地に統一された場合、東京都内で働くすべての地方公務員の地域手当は基本給の20%となります。
地域手当の見直しはいつ?
松本総務大臣は、地域手当の支給率について、2025年4月から見直すと発表しました。
しかし、都道府県ごとの地域手当の支給率については、未定です。
地域手当の支給率がどうなるか、注目が集まります。