2024年8月から9月にかけて、国民健康保険や後期高齢者医療保険の保険証が一斉に更新されます。
今回発送される健康保険証の有効期限が切れると、以降、紙の健康保険証は使用できなくなります。
この記事では、紙の健康保険証が今後どのように運用されるのかについて解説します。
紙の健康保険証が最後の更新。2025年12月以降は新規発行終了。その後どうなる?
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
健康保険証の一斉更新のスケジュール
健康保険証の一斉更新のスケジュール例は、以下の通りです。
- 東京都板橋区:8月下旬から9月下旬に送付(国民健康保険証)
- 東京都稲城市:9月上旬から送付(国民健康保険証)
- 福島県郡山市:9月中旬以降に発送(国民健康保険証)
- 群馬県高崎市:7月中旬以降に発送(国民健康保険証)
- 愛知県名古屋市:10月上旬から発送(国民健康保険証)
一斉更新された健康保険証の有効期限は、発行日から1年間です。
そのため、自治体によって健康保険証の有効期限が異なります。
有効期限が切れると、以降、紙の健康保険証は使用できなくなります。
紙の健康保険証はいつ廃止?
また、紙の健康保険証は、2024年12月2日から新規発行を終了します。
そのため、紙の健康保険証は2024年12月1日までに発行された日から1年間となります。
例えば、2024年12月1日に発行された健康保険証の有効期限は、2025年11月30日です。
有効期限が2024年12月2日以降の健康保険証は、次に有効期限をむかえると使用できません。
紙の保険証の廃止後、病院等を受診するには、マイナ保険証か資格確認書の提示が必要です。
マイナ保険証を持っていない人には「資格確認書」を発行
マイナンバーカードを持っていない人や保険証とひもづけしていない人には、健康保険証の代わりとなる「資格確認書」が発行されます。
出典:厚生労働省「マイナンバーカードと健康保険証の一体化について」
申請は不要で、該当する人には無料で交付されます。
資格確認書は、属性によって発行元が異なります。
- 会社員:勤務先の健康保険組合から発行
- 個人事業主:市区町村の国民健康保険から発行
- 75歳以上:後期高齢者医療広域連合から発行
健康保険組合から発行される資格確認書の有効期限は最長5年間、その他の資格確認書の有効期限は1~2年です。
「資格確認書」だと医療費が高くなる
マイナ保険証を利用せず、資格確認書を利用して病院等を受診する場合、窓口の負担が高くなります。
診療報酬の加算
出典:厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」をもとに作成
マイナ保険証を利用しないと、医療費に上乗せされる「診療報酬の加算」が増えます。
政府は診療報酬に差をつけることで、マイナ保険証の利用促進を図っています。
しかし、トラブルや個人情報の流出を不安視する国民が多く、マイナ保険証の利用率は7月時点で11.13%と依然として低いままです。
このままマイナ保険証の利用率が高まらなければ、「資格確認書」が利用できるように制度を維持し続ける必要があるでしょう。
紙の保険証が廃止されたあと、マイナ保険証や資格確認書の利用率がどのように推移するのか、注目が集まります。
- 厚生労働省「マイナンバーカードと健康保険証の一体化について」
- 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」