国家公務員の配偶者を対象とした扶養手当が、廃止される方向で検討されています。
現行の扶養手当から、どのように変更されるのでしょうか。
この記事では、扶養手当の見直し案と、影響を受ける世帯について解説します。
国家公務員の配偶者手当が廃止へ。いつからどう変わる?
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
現行制度と検討案
国家公務員の扶養手当は、年収130万円未満の親族を対象に支給されています。
対象となる親族と支給額は、以下の通りです。
出典:人事院「国家公務員の諸手当の概要」
配偶者と父母等については月6,500円が支給されますが、管理職になると減額もしくは無支給となります。
子どもは月1万円で、16~22歳は5,000円を加算され、1万5000円が支給されます。
配偶者の扶養手当については、2017年度から段階的に減額されてきました。
それまで配偶者の扶養手当は月1万3000円でしたが、2017年度に月1万円、2018年度に月6,500円に減額しました。
今回の改定案では、共働き世帯が増加している実態を踏まえ、配偶者の扶養手当が廃止される見通しです。
配偶者の扶養手当を廃止する代わりに、子どもの扶養手当を増額させる案を、給与改定勧告に盛り込む予定です。
具体的な金額は、民間企業と国家公務員の給与実態の調査結果をもとに検討されます。
では、配偶者の扶養手当を廃止した場合、どのような人が影響を受けるのでしょう。
影響を受けるのはだれ?
人事院が2023年8月に実施した「国家公務員給与の実態」によると、扶養手当を受け取っている人は、11万4080人でした。
そのうち、配偶者を扶養している職員は6万8629人、子どもを扶養している職員は8万9637人です。
これまで、配偶者の扶養手当を受け取っていた人は、行政職俸給表で8級以下に相当する国家公務員です。
出典:総務省「地方公務員の職務の級の構成について」
課長職以上の場合は、配偶者の扶養手当が支給されません。
そのため、8級以下の職員については、配偶者手当が廃止されて手取りが少なくなる可能性があります。
具体的に影響が生じる世帯は、以下の通りです。
- 8級以下で子どものいない夫婦世帯
- 8級以下で23歳以上の子どもがいる夫婦世帯
一方、子どもへの扶養手当が増額すれば、子どもがいる世帯は、手取りが増える可能性があります。
手取りが増える可能性ある世帯は、以下の通りです。
- 配偶者の扶養手当が支給されていない子どもがいる世帯
- 9級以上で子どもがいる世帯
扶養手当を受給している国家公務員の平均手当額は、約2万円でした。
配偶者や子どもの扶養手当が変わることで、手取り額や平均受給額にどのような影響があるのでしょうか。
引き続き注目が集まります。
- 人事院「国家公務員の諸手当の概要」
- 総務省「地方公務員の職務の級の構成について」