物価高騰や将来の年金問題など、老後への不安が高まる中、ニュース等で「老後4000万円問題」という言葉を聞くようになりました。
数年前に話題となった「老後2000万円問題」がいつの間にか倍の金額になり、驚いた人も多いでしょう。
多額の老後資金を貯めるには、どのように資産運用をすればよいのでしょうか。
この記事では、40歳まで月5万円ずつ貯金をしてきた人を例に、40歳から老後に向けてどのような資産運用をすればよいかシミュレーションします。
40歳で貯金1000万円は多い?40歳からの資産運用をシミュレーション
マネーFix 編集部
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40歳で1000万円の貯金は多い?少ない?
Aさんは現在40歳、妻と子ども2人の4人家族です。
Aさんは23歳のときから17年間にわたって、毎月コツコツと5万円ずつ貯金をしてきました。
その結果、現在の貯蓄額は1000万円に達しています。
40歳で1000万円の貯金は多いのでしょうか、それとも少ないのでしょうか。
総務省の家計調査によると、40代の貯蓄額の平均は以下のようになっています。
出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」をもとに作成
これを見ると、Aさんの1000万円という貯金額は、40代の平均や中央値と比較して多いといえます。
しかし、老後資金として、2000万円や4000万円という金額が必要なのであれば、1000万円で十分とはいえません。
そこで、Aさんは今後60歳までの20年間で、どのようにして資産を増やしていけばよいのか、考えてみることにしました。
40歳からの資産運用方法
Aさんはいままでと同様に、60歳まで毎月5万円ずつ貯め続けようと思っています。
この場合、60歳でどれくらいの資産になるのかをシミュレーションしてみました。
Aさんが考えた資産運用法は主に2つ、貯金と投資です。
貯金を続けるケース
40歳から60歳まで毎月5万円ずつ貯金を続ける場合、20年間で貯められる金額は1200万円です。
普通預金金利(0.02%)を考慮すると、1202万4000円になります。
これに、40歳までに貯めた1000万円を加えると、60歳で2202万4000円になります。
このまま5万円ずつ貯金を続ければ、老後2000万円問題は解消できそうです。
積立投資するケース
次にAさんは、40歳から60歳までの20年間、毎月5万円ずつ積立投資するケースを考えてみました。
投資する商品によって想定利回りが異なるため、年利3%と5%の2パターンで試算してみます。
【年利3%の場合】
- 元本:1200万円
- 運用益:442万円
- 合計:1642万円
【年利5%の場合】
- 元本:1200万円
- 運用益:855万円
- 合計:2055万円
これに40歳までに貯めた1000万円を加えると、60歳時点の資産は以下の通りです。
- 年利3%の場合:2642万円
- 年利5%の場合:3055万円
積立投資すると、貯金する場合と比べて、より大きな資産形成が期待できることがわかりました。
一括投資するケース
最後にAさんは、40歳までに貯めた1000万円を一括で投資に回すと60歳のときにどれくらいの金額になるのかも気になりました。
【シミュレーション結果】
- 年利3%:1820万円
- 年利5%:2712万円
月5万円ずつ積立投資をした金額と合わせると、以下の通りです。
- 年利3%:3462万円(1820万円+1642万円)
- 年利5%:4767万円(2712万円+2055万円)
仮に年利5%で運用できた場合、銀行預金だけで貯金するよりも約2500万円も多くの資産を作ることができることがわかりました。
いろいろ考えた結果、Aさんは貯金と投資を組み合わせる方法で資産形成することにしました。
短期的に必要なお金は貯金で確保しつつ、長期的な資産形成には投資を活用する方針です。
Aさんのように、将来を見据えて資産運用の方法を考えることが、豊かな老後につながります。
収入や支出、ライフプランに合わせて、最適な資産運用方法を選択していきましょう。
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」