岸田首相は、2024年6月7日の「新しい資本主義実現会議」において、年末までにiDeCoの改革案を出すと表明しました。
老後の資産形成や節税につながるiDeCoですが、2024年12月には制度の一部が拡充されます。
それに加えて、来年以降どのような改革が検討されているのでしょうか。
この記事では、iDeCoの2024年12月からの変更点と、その後の改革案について解説します。
現行制度についても解説するので、iDeCoについておさらいしたい人も、ぜひ参考にしてください。
iDeCoの金額は2024年にどう変わりますか?2025年以降の拡充見通しも解説
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
2025年以降のiDeCoはどうなりますか?
2025年以降に向けて、政府が新たに検討するiDeCoの改革案は、以下の通りです。
- 加入年齢の引き上げ
- 掛金を拠出できる年齢の引き上げ
- 掛金上限の引き上げ
現行のiDeCoは、国民年金の加入種類によって加入年齢が異なります。
出典:国民年金基金連合会「2022年の制度改正の概要」をもとに作成
また、掛金を拠出できる年齢の上限は65歳です。
改革案によれば、加入できる年齢、掛金を拠出できる年齢の上限を引き上げられないか、検討が行われます。
また、掛金の上限額を引き上げる案も打ち出されています。
現行制度では、掛金の上限額は以下の通りです。
出典:国民年金基金連合会「iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等」をもとに作成(以下同)
それぞれの改革案は、2024年の年末までに結論を出す予定です。
なお、新たな改革案の検討に先がけて、2024年12月に、拠出限度額の一部引き上げが決まっています。
2024年12月にiDeCoの上限額はいくらになりますか?
2024年12月からは、拠出限度額の一部が引き上げられます。
2024年11月までの限度額と、12月以降の限度額は以下の通りです。
上限額がそれぞれ月8,000円の増額となります。
iDeCoの内容をおさらい
iDeCoに加入するメリットとデメリットについて、おさらいしておきましょう。
iDeCoのメリット
iDeCoのメリットは、以下の2点です。
- 掛金が所得から控除される
- 運用益が非課税となる
iDeCoにおけるメリットの1つが、掛金の全額を所得控除できる点です。
そのため、節税対策に活用できます。
また、運用で得られた利益は、非課税で受け取れる点もメリットです。
iDeCoのデメリット
iDeCoのデメリットは、以下の4点です。
- 原則60歳まで引き出せない
- NISAより事務委託や管理手数料が割高
まず、iDeCoで運用している資産は、原則として60歳以降にならないと引き出せません。
そのため、老後の資産以外の目的では活用できないので、注意が必要です。
また事務委託や管理手数料が、NISAに比べると高い点がデメリットです。
口座開設や管理にかかる手数料をはじめ、加入時に手数料を支払う必要があります。
NISAに比べて管理コストが高くなる分、運用効率が悪くなる可能性がある点には注意しましょう。
とはいえ、iDeCoはNISAと並ぶ資産運用の柱といえる制度です。
今後、掛金や加入年齢の引き上げだけでなく、デメリットとなるポイントが改良されるのか、注目が集まります。
- 国民年金基金連合会「2022年の制度改正の概要」
- 国民年金基金連合会「iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等」