生活が成り立たない状況が続き、老後破産状態に陥ると、自己破産や生活保護の申請ができないか検討する人もいるでしょう。
特に、高齢者は生活保護の受給割合が高いため、老後破産と生活保護は関心の高いテーマといえます。
老後破産の状態に陥った場合、生活保護の受給にはどのような影響を及ぼすのでしょうか。
老後破産したら生活保護が受けられない? 申請条件や受給額に影響はある?
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
老後破産しても生活保護は受けられる?
「老後破産」とは、老後に貯蓄がなく生活に行き詰まっている状態のことです。
生活保護は、生活に困窮している人に対して、必要な保護を行う制度です。
そのため、老後破産状態に陥ってしまった場合、生活保護を受給することができます。
では、「自己破産」をした場合はどうでしょうか?
自己破産とは、借金の返済が困難な場合に、破産申立をすることで、すべての借金をゼロにすることです。
自己破産した場合でも、生活保護の受給に影響はありません。
また、生活保護を受給中に、自己破産することも可能です。
このように、老後破産でも自己破産でも、生活保護におけるデメリットはありません。
ただし、借金があり老後破産状態で生活保護を受ける場合、注意すべきポイントがあります。
老後破産して生活保護を受ける際の注意点
借金があり老後破産状態で生活保護を受ける場合の注意点は、以下の通りです。
- 生活保護費は借金の返済に充てられない
- 生活保護の受給中に新たな借金はできない
- 生活保護を受けても督促は来る
生活保護費は借金の返済に充てられない
生活保護は、収入が最低生活費に満たない場合、最低生活費から収入を差し引いた金額が支給されます。
生活保護は、最低限の生活を保障する目的で支給されるため、借金の返済に充てることはできません。
生活保護の受給中に新たな借金はできない
生活保護を受けている間は、新たな借金はできません。
生活保護を受給していると、毎月の収入や世帯状況を報告する必要があります。
金融機関などでお金を借りたことがわかると、生活保護の支給が打ち切られます。
生活保護を受けても督促は来る
自己破産をしていれば、借金がなくなるため督促が来ることはありません。
しかし、自己破産をしていないのであれば、生活保護の受給中でも借金返済の督促が来ます。
老後破産をしたとしても、生活保護に影響はありません。
しかし、そもそも生活保護は、誰もが必ず受給できるわけではありません。
「老後破産しても生活保護があるから大丈夫」と過信せず、将来を見据えた計画を立て、老後破産に陥らないよう対策をしておく必要があります。