金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」では、貯蓄のない60代は21%、70代は19.2%でした。
老後に十分な貯蓄を準備しておかないと、日々の生活が苦しくなり、いわゆる「老後破産」に陥るリスクが高まります。
この記事では、老後破産しやすい人の特徴や、どうすれば老後破産を防げるのかについて解説します。
当てはまるとヤバい、老後破産に陥りやすい人の特徴。老後を安心して過ごすための3つの対策
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
老後破産とは?
「老後破産」とは、老後に貯蓄がなくなって生活に行き詰まっている状態を意味します。
老後破産に陥ると、家計の収支バランスが悪化し続け、生活が成り立ちません。
そのため、自己破産や生活保護を申請する可能性が高まります。
日本弁護士連合会は、60歳代と70歳代で自己破産した割合を調査しました。
「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」によると、自己破産した高齢者は、以下の通りでした。
- 60歳代:16.37%
- 70歳代:9.35%
自己破産した人のうち、およそ25%が60代以上となっています。
では、老後破産に陥りやすい人には、どのような特徴があるか確認しましょう。
老後破産しやすい人の特徴
老後破産しやすい人の主な特徴は、以下の3つです。
- 貯蓄が少ない
- 生活水準を変えられない
- 病気や介護にかかる費用への備えがない
まず、貯蓄が少ないと老後破産に陥る可能性が高いです。
一般的に老後の生活は、それまで蓄えた資産を切り崩しながら生計を立てます。
公的年金だけでは生活費をカバーしきれないため、老後破産のリスクが高まるでしょう。
次に、現役世代の生活水準を落とせない人も、老後破産しやすいです。
一般的に、老後の収入は現役世代に比べて少なくなります。
現役世代よりも支出を減らす工夫をして、老後破産するリスクを抑える必要があります。
最後に、病気や介護といった「予期せぬ出費」への対策ができていない人も、老後破産に陥りやすいです。
平均寿命の伸びにともない、治療費や介護費用の負担が大きくなる可能性があります。
本来は生活費用として貯めていたお金を、医療費や介護費用に使うと、想定よりも早く貯蓄がなくなってしまいます。
そのため、生活資金とは別に、医療費や介護費用への備えが必要でしょう。
老後破産しないための対策
老後破産にならないためには、以下の対策が必要です。
- 負債をなくす
- 浪費をしない
- 資産形成をしておく
住宅や車のローンといった負債があると、収入の少ない老後では重い負担となります。
できるだけ、老後を迎える前に完済しておきましょう。
また、無駄遣いはできるだけ避けて、不要な支出を減らすことも大切です。
最後に、ゆとりを持って生活できるだけの貯蓄を、早くから準備しておくようにしましょう。
近年の物価高や円安の影響で、老後に向けた貯蓄がより多く必要になる可能性があると指摘されています。
老後破産に陥らないように、将来を見据えた対策が必要です。