政府は、高速道路の料金を時間帯や曜日によって変える、「ロードプライシング」の導入を決定しました。
現在は一部の区間で試験的に導入されていますが、2025年度から順次全国で導入する予定です。
実際に、高速料金はどのように変動するのでしょうか。
この記事では、ロードプライシングの効果や、導入のスケジュールについて解説します。
【高速道路】最大半額になる「ロードプライシング」を全国展開へ。2025年度から順次拡大
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
ロードプライシングとは?
ロードプライシングは、高速道路の渋滞緩和を目的に導入されている制度です。
一般的に、時間帯や曜日で高速道路の料金を変動させます。
実際にロードプライシングを導入した効果や、試験導入されている事例を確認しましょう。
ロードプライシングの効果
海外では、ロードプライシングによって渋滞が緩和されています。
出典:国土交通省「諸外国における高速道路料金の動向」
世界で初めてロードプライシングを導入したのは、シンガポールです。
都心部に流入する車両に課金を行い、渋滞状況に応じて、3ヵ月ごとに料金を見直します。
イギリスでは、特定のエリアに平日の9時から18時30分、通行料を課すロードプライシングを導入しました。
その結果、交通渋滞は30%緩和されています。
このように、海外ではロードプライシングの効果が見られます。
では、日本で試験導入されているロードプライシングについて確認しましょう。
日本で試験導入されたロードプライシング
日本では、千葉県木更津市と神奈川県川崎市を結ぶ東京湾アクアラインで、ロードプライシングを試験的に導入しています。
出典:NEXCO東日本「【CA】東京湾アクアライン上り線(木更津→川崎方面)におけるETC時間帯別料金の実施について」
通常の料金は、ETC搭載の普通車で800円ですが、土日祝日の13~18時は、上り線の料金が1,200円に割増となります。
一方、20~24時は、600円に引き下げられます。
政府は、順次ロードプライシングを適用するエリアを全国に拡大する見通しです。
料金は安くする場合、最大で半額にする方針です。
ロードプライシングの開始時期
ロードプライシングの正式な導入に向けて、政府は以下の計画で進める予定です。
- 2025年度:試験導入中の東京湾アクアラインで料金の変動幅を拡大
- 2026年度:ロードプライシングの適用路線を順次拡大、通勤割引を全国に拡大
- 2030年度:ロードプライシングの適用路線を全国に拡大
2026年度から全国に拡大を予定している通勤割引とは、すでに6道県で実施されている割引制度「定期パス」です。
高速道路の通勤割引については、こちらの記事も参考にしてください。
国土交通省は、8月頃に行われる審議会で対象エリアなどの制度設計に関する議論を始めます。
具体的な料金体系も、8月頃に定められる見通しです。
- 国土交通省「諸外国における高速道路料金の動向」
- NEXCO東日本「【CA】東京湾アクアライン上り線(木更津→川崎方面)におけるETC時間帯別料金の実施について」