2024年10月から医療保険制度が見直され、患者に処方する薬は、原則ジェネリック医薬品となります。
これによって、保湿剤の「ヒルドイド」や、インフルエンザの治療薬「タミフル」の患者負担が、引き上げられる見通しです。
どのようなケースで患者の負担額が引き上げられるのでしょうか。また負担額はどの程度になるのでしょうか。
この記事では、医療保険制度の見直しによって、自己負担額が引き上げられる医薬品について解説します。
10月から薬の自己負担額が増える。 ヒルドイドやタミフル、モーラステープなど1,095品目
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
医療保険制度の見直しについて
処方薬には、価格の高い「先発医薬品」と、価格の低い「ジェネリック医薬品」があります。
どちらの薬を処方してもらうかは、患者が決められます。
しかし、2024年10月以降は、原則としてジェネリック医薬品が処方されるようになります。
価格の高い先発医薬品の利用が多いと、医療費の公費負担がかさみます。
そのため、価格の安いジェネリック医薬品の利用を促し、医療費を抑える狙いがあります。
患者が価格の高い先発医薬品を希望する場合、自己負担額を引き上げます。
自己負担額引き上げの対象となるのは、以下の医薬品です。
- 特許が取れた先発医薬品のうち、ジェネリック医薬品の発売から5年以上経っている
- ジェネリック医薬品の使用割合が5割以上になっている
自己負担額が引き上げられる医薬品の例
自己負担額引き上げの対象となる薬剤は1,095品目です。
主な先発医薬品は、以下の通りです。
- ヒルドイド:アトピー性皮膚炎や皮膚障害のための保湿剤
- タミフル:抗インフルエンザ薬
- デパス:不安障害および睡眠障害の治療に用いられる抗不安薬
- アリセプト:認知症治療薬
- モーラステープ:腰痛や変形性関節症、筋肉痛などに使用する湿布薬
インフルエンザの治療薬であるタミフルや、抗不安薬のデパスも対象となりました。
保湿剤として利用されるヒルドイドは、美容目的で処方を希望する人も多く、治療と関係ない目的での利用を減らす目的もあります。
ただし、治療のため医師の判断で先発医薬品を処方する場合、自己負担額の引き上げの対象とはなりません。
負担額はどのくらい増える?
10月以降、先発医薬品の自己負担額は「先発医薬品とジェネリック医薬品の差額25%を保険適用外」として計算します。
[先行医薬品の価格]×[自己負担割合]+[先発医薬品とジェネリック医薬品の差額25%]
例えば500円の先発医薬品の場合、3割負担だと現在の自己負担額は150円です。
200円のジェネリック医薬品がある場合、自己負担額は以下のようになります。
[500円×30%]+[(500円-200円)×25%]=225円
自己負担額が75円増加することになります。
- 厚生労働省「長期収載品の処方等又は調剤について」