公的年金の積立金を運用、管理している独立行政法人「GPIF」は、現在投資対象にしていない「金」や「ビットコイン」などの情報収集を開始しました。
GPIFは、株式や債券などの代表的な資産を運用対象としていますが、金やビットコインが新たな投資対象になる可能性があるのでしょうか。
ビットコインや金も投資対象に? GPIFが情報収集を開始
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
「オルタナティブ資産」への投資も行うGPIF
GPIFは、厚生労働大臣から委託を受けて、公的年金の積立金を運用、管理している独立行政法人です。
長期・分散投資によって積立金を増やしており、2023年度第3四半期までの収益率と収益額は、以下の通りです。
- 収益率:3.99%(年率)
- 収益額:132兆4113億円
GPIFは、長期の資産形成を目的にしているので、複数の資産に分散して運用しています。
基本となるポートフォリオは、以下の通りです。
- 外国株式:25%
- 外国債券:25%
- 国内株式:25%
- 国内債券:25%
2013年度以降は、債券や株式といった代表的な資産に代わる「オルタナティブ資産」(インフラ、不動産など)にも全体の1.38%を投資しています。
オルタナティブ資産は、株式や債券に比べて流動性が低いため、保有割合は少なくなっています。
GPIFは「オルタナティブ資産」も含むさまざまな資産に分散投資をすることで、長期的な視点で積立金を増やしています。
前述の通り、2023年度第3四半期までの収益率は年3.99%で推移しており、GPIFが設定している最低限の目標利回り1.7%を上回っています。
金やビットコインも投資対象になる?
「オルタナティブ資産」を投資対象としているGPIFは、これまで運用対象にしていない資産についての情報収集を開始しました。
対象としている資産は、以下の通りです。
- 金
- 暗号資産(ビットコインなど)
- 森林、農地
集めている情報の内容は、以下の通りです。
- 資産に関する基本的な知識
- 海外年金基金がどのようにポートフォリオに組み込んでいるか
- 実際の投資事例
情報提供を求めているだけなので、すぐに投資対象が拡大されるわけではありません。
しかし、海外の年金運用機関が金やビットコインへの投資比率を高めれば、GPIFでもこれらの資産を投資対象にする可能性があるでしょう。
実際に、海外の年金運用機関が収益率を向上するために、オルタナティブ資産へ投資比率を高めた際、GPIFもオルタナティブ資産への投資を始めました。
GPIFの投資対象となる資産が多様化するのか、今後の動向に注目が集まります。