国土交通省は、「通勤割引」に代わる割引施策として実施している「通勤パス割引」の対象エリアを拡大すると発表しました。
通勤に高速道路を利用する場合、一定の条件を満たすことで最大50%の割引を受けることができます。
この記事では、高速道路の「通勤割引」と、社会実験が行われている「通勤パス割引」について解説します。
【最大50%割引】2024年4月から高速道路の「通勤パス割引」が拡充。対象エリアはどこ?
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
高速道路の「通勤割引」とは
高速道路の「通勤割引」は、平日の6~9時、または17~20時に高速道路を利用すると、料金が割引される制度です。
高速道路に入ったとき、もしくは高速道路から出たときに割引対象時間内であれば、通勤割引の対象となります。
ただし、同日の同時間帯に2回目の利用をした場合は、割引の対象外です。
割引率と対象エリア
通勤割引の割引率は、1ヵ月あたりの利用回数によって変わります。
- 利用回数5回未満:割引なし
- 利用回数5~9回:割引率30%
- 利用回数10回以上:割引率50%
上記の通り、同時間帯での2回目の利用は割引対象外となるため、1日の上限は2回までです。
2024年2月現在、通勤割引が適用される高速道路は以下の通りです。
- NEXCO東日本・中日本・西日本が管理する高速道路(東京・大阪近郊を除く)
- 仙台松島道路
- 本州四国連絡高速道路(神戸淡路鳴門自動車道、瀬戸中央自動車道、西瀬戸自動車道)
なお、ETCで走行しないと割引されません。
割引額をシミュレーション
通勤割引は、高速道路の利用月の翌月に、割引された金額が還元されます。
例えば、以下のケースでシミュレーションしてみましょう。
- 1ヵ月の利用回数:10回
- 1回あたりの高速料金:2,000円
今回のケースでは、利用回数が10回なので割引率は50%です。
そのため、1回あたりの高速料金は、1,000円の割引となります。
1ヵ月の利用回数は10回なので、1ヵ月あたりの割引額は1万円です。
翌月に、1万円が無料通行分として付与されます。
「通勤パス割引き」とは
「通勤割引」に代わる割引施策として「フリータイム通勤パス割引」の社会実験が実施されています。
「フリータイム通勤パス割引」は、指定の区間を50%割引で利用できるようになる制度です。
申し込んだ区間について、月初から月末までの1ヵ月間、10回分の料金で20回まで利用できます。
「通勤割引」と違って、利用する曜日や時間帯に制限はなく、1日3回を上限に利用できます。
また、利用回数が20回を超えた場合も、申し込んだ区間については50%割引の料金で利用することができます。
すでに実施されている石川県に加えて、2024年4月から北海道、新潟県、山梨県、香川県、長崎県が追加されます。
対象区間は、下表の通りです。
出典:国土交通省「『通勤パス』の社会実験を実施」
政府は、新たに追加されるエリアでの利用状況を踏まえ、2026年に全国への拡大を目指しています。
- 国土交通省「『通勤パス』の社会実験を実施」