2023年後半から、住宅ローンの固定金利が上昇傾向にあります。
住宅金融支援機構の「フラット35」では、2024年2月から、子育て世帯を対象にした金利優遇を始めています。
金利が優遇されることで、返済額はどのくらい軽減するのでしょうか。
この記事では、「フラット35」の金利優遇について解説します。
2月から「フラット35」の金利優遇が拡充。子ども1人につき0.25%引き下げ。子どもの人数に上限なし
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
フラット35の金利優遇
「フラット35」は、住宅性能等によってポイントが定められており、合計ポイント数に応じて、住宅ローンの金利が引き下げられています。
新たな金利優遇制度として、2024年2月13日から、「【フラット35】子育てプラス」が新設されました。
対象となるのは、以下に該当する世帯です。
- 子育て世帯:18歳未満の子どもがいる
- 若年夫婦世帯:夫婦のいずれかが40歳未満
子どもの人数が1人増えるごとに、1ポイント加算されます。
例えば、子どもが2人いる世帯では2ポイント、子どもが3人いる世帯では3ポイント付与されます。
若年夫婦の場合は、1ポイント付与されます。
「【フラット35】子育てプラス」は、ほかの金利引き下げメニューと併用が可能です。
「家族構成」「住宅性能」「管理・修繕」「エリア」の合計ポイント数で、最終的な金利の優遇幅が決まります。
出典:住宅金融支援機構「フラット35」をもとに作成
例えば、子どもが3人いる世帯で、ZEH住宅の場合、ポイント数は6ポイントになります。
- 【フラット35】子育てプラス:3ポイント
- 【フラット35】S:3ポイント
ポイントが1ポイントずつ増えるごとに、金利が0.25%ずつ優遇されます。
1.00%まで達したら、次の5年間の金利が0.25%ずつ優遇される仕組みです。
- 1ポイント:当初5年間▲0.25%
- 2ポイント:当初5年間▲0.50%
- 3ポイント:当初5年間▲0.75%
- 4ポイント:当初5年間▲1.00%
- 5ポイント:当初5年間▲1.00%、6~10年目▲0.25%
- 6ポイント:当初5年間▲1.00%、6~10年目▲0.50%
- 7ポイント:当初5年間▲1.00%、6~10年目▲0.75%
- 8ポイント:当初5年間▲1.00%、6~10年目▲1.00%
- 9ポイント:当初5年間▲1.00%、6~10年目▲1.00%、11~15年目▲0.25%
金融機関が2024年2月に適用しているフラット35の金利水準は、年1.820~3.470%です。(借入期間21年以上35年未満で融資率9割以下の場合)
では、金利優遇を受けると返済総額がどこまで変わるのか、シミュレーションしてみましょう。
返済総額をシミュレーション
フラット35の金利優遇を受けると、どの程度返済総額が変わるのか、シミュレーションします。
- 借入金4000万円
- 返済期間35年
まず、比較する金利をそれぞれ確認します。
「【フラット35】子育てプラス」を利用しない場合の金利を、年1.820%とします。
次に、「【フラット35】子育てプラス」のみ利用する場合の金利は、以下の通りです。
- 子どもが1人:1.57%
- 子どもが2人:1.32%
- 子どもが3人:1.07%
当初5年間の金利が0.25%下がるだけで、利息差はおよそ53万円になります。
子どもが3人いる場合の利息差は、約160万円でした。
また、金利引下げメニューを組み合わせて、8ポイントの金利優遇を受ける場合、返済総額は5016万1127円です。
金利優遇がない場合との差額は、約400万円になります。
住宅購入時に使える補助金や優遇制度については、こちらの記事で詳しく解説しています。
- 住宅金融支援機構「フラット35」