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【令和6年度】年金額が2.7%引き上げ。国民年金は1,750円、厚生年金は6,000円の増額へ

執筆者:川辺 拓也

【記事執筆】FP川辺 拓也

3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。

厚生労働省は2024年1月19日、4月から支給する年金額を発表しました。

2023年度と比較して2.7%引き上げとなり、支給額は2年連続で増加する見込みです。

この記事では、2024年4月から支給される年金額について解説します。

4月以降の年金支給額

厚生労働省は、4月から支給する年金額を発表しました。

2024年4月から支給される年金額は、国民年金だと満額で月額6万8000円となる見通しです。

2023年度より、毎月の受給額が1,750円増額されました。

2023年度と比較して2.7%の引き上げとなり、1993年度以来最も高い引き上げ率となります。
 
出典:厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」

厚生年金については、夫婦2人分の標準モデルだと23万483円になります。

標準モデルは、以下のケースで試算されています。

  • 夫:月収43万9000円、40年勤務
  • 妻:専業主婦

69歳以上の国民年金の支給額は、月額6万7808円で、2023年度に比べて1,758円増額となる見通しです。

実質目減りする仕組み

年金額は増額となりますが、物価や賃金の上昇分に追いつかず、実質は目減りとなる見通しです。

年金額が実質目減りする理由は「マクロ経済スライド」が発動されるためです。

マクロ経済スライドは、公的年金の給付と保険料のバランスが崩れないように、年金額の伸び率を自動的に調整する仕組みです。
 
出典:厚生労働省「いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~」

年金受給額の参考指標となる「物価変動率」「名目手取り賃金変動率」「マクロ経済スライドによる調整率」は、以下の通りです。

  • 物価変動率:3.2%
  • 名目手取り賃金変動率:3.1%
  • マクロ経済スライドによる調整率:-0.4%

2024年度は、名目手取り賃金変動率は3.1%ですが、マクロ経済スライドによる調整率が-0.4%となったので、改定率は2.7%にとどまりました。

そのため、年金額は増額したものの、物価の伸びには追いついていない状況です。

2024年度に支給される公的年金は、6月に支給される予定です。

2024年も、物価高が続く可能性がある中で、年金生活者の家計にも少なからず影響が生じるでしょう。

なお、公的年金の保険料を支払っている現役世代が減少しているため、今後も年金の支給額は、実質的に目減りしていく可能性があります。

厚生労働省は、5年ぶりに実施する「財政検証」の結果を踏まえて、年金の給付水準を抑える制度改正を検討しています。

公的年金の制度に、今後も注目が集まります。

出典
  • 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
  • 厚生労働省 「いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~」

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