12月14日、政府は2024年度税制改正大綱を公表しました。
今回の改正では、「既存住宅のリフォームに係る特例措置」の拡充と延長が行われます。
リフォームにかかわる特例措置は、リフォームする際に、税金を安くできる制度です。
この記事では、住宅のリフォームをするときに受けることができる税制優遇について解説します。
リフォーム減税が2年延長。対象が子育て世帯に拡充。所得要件は縮小へ
マネーFix 編集部
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現行制度の概要
現行制度では、既存住宅のリフォームをした場合に税制優遇を受けることができます。
対象となる工事
- バリアフリー改修工事
- 三世代同居対応改修工事
- 省エネ改修工事
- 耐震改修工事
上記の工事を行った場合、標準的なリフォーム費用の10%相当額を、その年分の所得税額から控除することができます。
ただし、対象物件は「個人の居住用」である必要があります。
また、控除を受ける人の所得金額が、3000万円以下である必要があります。
さらに、次のいずれか低い金額の5%相当額についても控除できます。
1.aとbの合計額
- a.各改修工事費用のうち、控除対象限度額を超える額の合計額
- b.各改修工事と併せて行う増築、改築などの費用(補助金等の交付がある場合には当該補助金等の額を控除した後の金額)の合計額
2.各改修工事の標準的な費用の合計額
h3:バリアフリー改修工事
バリアフリー改修工事の具体例は、以下の通りです。
- 廊下の拡幅
- 階段の勾配の緩和
- 浴室改良
- トイレ改良
- 手すりの設置
- 屋内の段差の解消
- 引き戸への取替工事
- 床表面の滑り止め化
バリアフリー改修工事の対象者は、以下のいずれかを満たす人です。
- 50歳以上
- 要介護または要支援の認定を受けている
- 障害者
- 居住者または親族のうち2もしくは3に該当する、または65歳以上の者のいずれかと同居している
三世代同居対応改修工事
三世代同居対応改修工事は、「キッチン」「浴室」「トイレ」「玄関」のいずれか2つ以上の増設工事を実施した場合が対象です。
省エネ改修工事
省エネ改修工事の具体例は、以下の通りです。
- 窓の改修工事
- 床の断熱工事
- 天井の断熱工事
- 壁の断熱工事
- 一定の太陽光発電装置設置工事
- 一定の太陽熱利用冷温熱装置等の設置工事
耐久性向上改修工事
耐久性向上改修工事の対象は、「小屋裏」「外壁」「浴室や脱衣室」「土台や軸組」「床下」「基礎もしくは地盤に対する劣化対策工事」「給排水管や給湯管に関する維持管理もしくは更新を用意にするための工事」です。
耐震改修工事または、省エネ改修工事と合わせて行うものに限ります。
それぞれの対象工事の限度額は以下の通りです。
- バリアフリー改修工事:200万円
- 三世代同居対応改修工事:250万円
- 省エネ改修工事:250万円(※)
- 耐震改修工事+耐久性向上改修工事:250万円
- 省エネ改修工事+耐久性向上改修工事:250万円(※)
- 耐震改修工事+省エネ改修工事+耐久性向上改修工事:500万円(※)
(※)太陽光発電装置を設置すると+100万円
2024年に変化するポイント
2024年税制改正大綱によって、上記の税制優遇措置が2年延長(2026年12月31日まで)されることになりました。
また適用対象者の合計所得金額の上限が3000万円から2000万円に引き下げとなります。
さらに、「子育てに対応した住宅のリフォーム」も新たに対象となっています。
2024年12月31日までに子育て世帯が子育てに対応した住宅へのリフォームを行う場合、標準的な工事費用相当額の10%(対象工事限度額は250万円、最大控除額は25万円)が控除されます。
対象となる条件は、以下のいずれかです。
- 夫婦のどちらかが40歳未満
- 19歳未満の扶養親族がいる
対象となる工事の具体例は、以下の通りです。
- 住宅内における子どもの事故を防止するための工事(手すり設置など)
- 対面式キッチンへの交換工事
- 開口部の防犯性を高める工事
- 収納設備を増設する工事
- 開口部・界壁・床の防音性を高める工事
- 間取り変更工事(一定のものに限る)
控除を受けるためには、「標準的な工事費用相当額が50万円を超える」など、一定の要件を満たす必要があります。
「標準的な工事費用相当額」とは、子育て対応改修工事の種類ごとに定められた金額に、工事を行った箇所の数を乗じた金額のことです。
- 財務省「住宅税制に関する資料」
- 財務省「令和6年度税制改正の大綱」出典:国税庁「耐久性向上改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」