政府は、ひとり親世帯などに支給する児童扶養手当を拡充する方針を固めました。
異次元の少子化対策の支援策として、第3子以降の支給額を引き上げる見通しです。
現行制度から、どのように変わるのでしょうか。
この記事では、児童扶養手当の現行制度と拡充案について解説します。
【児童扶養手当】第3子以降の支給額増額へ。所得制限も緩和の方向。2025年から
【記事執筆】FP川辺 拓也
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児童扶養手当の現行制度
児童扶養手当は、ひとり親世帯の子どもに対して支援をする制度です。
前年の所得によって満額が支給される「全部支給」と、所得に応じて一部が支給される「一部支給」があります。
養育する18歳未満の子どもの人数に応じて支給額が加算されますが、加算額は人数が増えるにつれて減額します。
出典:大阪府「児童扶養手当」をもとに作成
子どもが3人いる場合、児童扶養手当を満額受給すると月額6万810円になります。
児童扶養手当は低所得のひとり親世帯を支援するための制度なので、すべての子育て世帯には支給されません。
政府は、ひとり親世帯の生活の安定を目的に、児童扶養手当の給付額を増額する方針です。
では、新たに検討されている拡充案は、どのような制度になるのか確認しましょう。
第3子以降の児童扶養手当が増額
政府は、第3子以降の児童扶養手当を拡充する方針です。
子どもが2人以内の世帯の場合、受給額はこれまでと変わりません。
現行制度では、全部支給の加算額は1人につき6,250円ですが、拡充案では第2子と同じ1万420円まで引き上げる見通しです。
これによって、子どもが3人いる世帯の場合、児童扶養手当を満額受給すると月6万4980円になります。
現行制度と比較すると、月4,170円、年5万40円増額されることになります。
所得制限も緩和へ
児童扶養手当の支給要件となる所得制限についても、緩和される見通しです。
全部支給となる年収目安を、現行の「年収160万円」から「年収190万円」に引き上げます。
ひとり親家庭の生活を安定させるために、所得制限をさらに緩和できないかとの意見も出ています。
政府は2025年1月支給分からの開始を目指し、年内に制度設計を固める方針です。
- 大阪府「児童扶養手当」