東京都は、都内に在住している高校生を対象に、すべての高校授業料を実質無償化する方針を固めました。
現行制度で、支給を受けるために設けられている所得制限を、撤廃する見通しです。
この記事では、東京都の高校授業料無償化の概要と、注意点について解説します。
東京都が高校の授業料を無償化。所得制限の撤廃で全世帯に恩恵。私立高校も対象
【記事執筆】FP川辺 拓也
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東京都の高校授業料無償化
文部科学省は、高校生への修学支援として「高等学校等就学支援金」制度を設けています。
この制度は、一定条件を満たす世帯の高校生の授業料を支給する制度です。
制度を利用するためには、国公私立を問わず、高校や高等専門学校、専修学校などに在学している必要があります。
全日制や定時制、通信制は問われません。
また、支給を受けるには、世帯の状況に応じて所得要件を満たす必要があります。
所得制限の基準額は、世帯の状況によって変わります。
- 共働きかどうか
- 子どもの人数
- 控除対象の人数
世帯の状況における年収の目安は、以下の通りです。
出典:文部科学省「高等学校等就学支援金制度」
例えば、子どもが2人いる世帯で、両親のうち一方が働いている場合、年収の上限額は910万円となります。
支給額は、国公立の場合最大11万8800円、私立の場合最大39万6000円です。
東京都の高校の授業料は、公立高校で年約12万円、私立高校で平均48万円です。
現在東京都では、この金額を上限に、国の給付と都独自の給付を合わせて、助成を行っています。
しかし、東京都は、2024年度から所得制限を撤廃する方針を固めました。
これによって、都内在住の高校生の授業料は、実質無償化される見通しです。
無償化されるのは授業料のみ
東京都の高校で無償化されるのは「授業料」のみです。
入学金や、受験にかかる費用、学校の施設にかかわる整備費などは無償化されません。
特に、私立高校に通う場合、授業料以外の費用がかかる傾向があるので注意が必要です。
出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」
文部科学省が発表している「学習費調査」によると、授業料は全体の支出のうち、38.4%でした。
私立高校の学習費は、約6割が「授業料」以外の項目です。
高校の授業料が無償化されるといっても、特に私立高校の場合は、教育資金を前もって準備しておく必要があるといえます。
なお、東京都は「チルドレンファースト」を推進しており、2024年1月からは、子ども1人あたり月5,000円を支給する「018サポート」も開始します。
詳しくはこちらの記事「東京都【018サポート】受付開始。子ども1人最大6万円を支給。申請期日は12月15日」を参考にしてください。
- 文部科学省「高等学校等就学支援金制度」
- 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」