国は、「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」という補助金制度を設け、EVの購入促進を進めています。
CEV補助金は、電気自動車(EV)を購入する際に、最大85万円の補助金がもらえる制度ですが、2024年度から補助金の算定基準が見直されます。
この記事では、EVの普及における課題や、補助金の算定基準がどう見直されるのかについて解説します。
最大85万円のEV補助金。2024年度から適用条件が変わる。環境整備による普及率の上昇がねらい
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
EVの普及における課題
一般社団法人次世代自動車振興センターの調査によると、2022年のEV等(EV、PHV、FCV)の保有台数は、44万3865台でした。
保有台数は、前年比129%と増加傾向にあります。
また、2022年度のEV販売台数は約12万台で、前年比219%でした。
保有・販売台数ともに増加していますが、国内におけるEVの普及率は、国外と比べると低い水準にあります。
【EVの販売台数(2022年)】
- 中国:590万台
- ヨーロッパ:260万台
- アメリカ:99万台
日本でEVの普及が遅れている理由としては、以下の3つが考えられています。
- 航続距離
- バッテリーの寿命
- 車両価格
このほか、充電設備の少なさや、故障時の対応にも不安を抱いている人もいます。
こうした状況を改善し、EVの普及を促すため、補助金の算定基準が見直されます。
EVを普及させるうえで、質の低いEVが増えて業界への信頼が失われないよう、各メーカーに環境整備を促すねらいがあります。
新たな基準と補助金額
「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」は、対象のEVの購入に対して、補助金が支給される制度です。
EVの場合65万円、特定の条件を満たせば最大85万円の補助金が支給されます。
例えば、EVで85万円の補助を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 外部給電機能としての対応
- 1500Wの車載コンセント装備を有している
- 省エネ法トップランナー制度の対象車両
2024年度からは、以下の項目が補助金額の算出基準に加えられます。
- 充電設備の設置規模
- 管理や修理の対応力
- 自治体との災害時協定
- 使用済み電池の回収状況
- 車両データ保護の取り組み など
充電設備の数や修理・メンテナンスの対応力だけでなく、災害時に地元の自治体へ電動車を派遣する協定を結んでいることや、使用済み電池の回収に向けた努力なども考慮されます。
1台あたりの補助額は3月中旬以降に発表予定ですが、新たな基準によって、同じ種類のEVでもメーカーごとに補助額に差が出ることが考えられます。
補助金の算出基準や補助額の見直しを受けて、各メーカーがEVを普及するためにどう対策を講じるのかに注目が集まります。