政府は10月18日の観光立国推進閣僚会議で、旅行者が集中して地元の住民に影響が出る「オーバーツーリズム」の対策パッケージ案を取りまとめました。
今後は、取り決めたパッケージ案を、全国約20ヵ所の地域で先駆けて実施する見通しです。
この記事では、オーバーツーリズムの対策パッケージ案と、日本人観光客人への影響について解説します。
オーバーツーリズム対策で日本人観光客にも影響か。混雑時は公共交通機関の料金が値上げ?
【記事執筆】FP川辺 拓也
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訪日観光客の推移
2023年の訪日観光客は9月までで約1737万人と、新型コロナウイルスの流行前の水準に回復しています。
出典:国土交通省「観光の現状について」
円安傾向も影響し、2023年9月だけでも約218万人と、コロナ禍前の96%まで回復しました。
一方で都市部を中心に観光客が集中し、過度の混雑やマナー違反によって、地域住民の生活に影響する「オーバーツーリズム」が問題となっています。
特に、公共交通機関の混雑やマナー違反が問題となっています。
政府がオーバーツーリズム解消のために取りまとめた対策について確認しましょう。
オーバーツーリズムの対策案と国内旅行への影響
政府が取りまとめた対策パッケージ案は、次の3つを柱としています。
- 観光客の集中による過度の混雑やマナー違反への対応
- 地方部への誘客の推進
- 地域住民と協働した観光振興
特に、観光地での混雑状況を回避するために、以下の対策を取り入れる予定です。
- 混雑状況に応じた公共交通機関の運賃値上げ
- 高速道路の料金割引の適用条件や運用方法の見直し
- 受入環境整備のための入域料の導入
鉄道運賃とバス運賃について、混雑時に運賃を値上げできるように規制緩和する見通しです。
高速道路については、平日の周遊パスにおける割引率を拡充する方向で検討が進められています。
入域料は、国立公園や国定公園、景勝地などの自然環境を保全する目的で、入場者から徴収する料金です。
これまでも、富士山や北海道の知床五湖などで徴収されています。
政府は、観光客の受入環境を整備する目的で、入域料を徴収する見通しです。
今回の対策パッケージが導入されると、海外からの観光客だけでなく、日本人旅行客も値上げした料金の負担が必要になります。
そのため、値上げに反対する声も多数あがっています。
オーバーツーリズムの対策パッケージの具体的な値上げ幅や入域料の導入は、2023年度中をめどに策定する予定です。
どのような制度になるのか、今後も注目が集まります。
- 国土交通省「観光の現状について」