労災に加入できるフリーランスの対象が拡大される見通しです。
厚生労働省は、10月4日に行われた労働政策審議会において、フリーランスが労災保険に入れる特別加入制度の対象を拡大する方針を決めました。
この記事では、労災保険の特別加入制度について解説します。
フリーランスも労災保険に加入できる。2024年秋に労災特別加入の対象が拡大へ
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
労災保険の特別加入制度とは
労災保険は、労働者が仕事中や通勤途中にケガや病気をした場合に、治療費を補償する給付制度です。
一般的に、以下の給付が受けられます。
- 遺族給付:死亡した場合に遺族に給付
- 療養給付:病気やケガの治療をする場合に給付
- 休業給付:仕事ができない場合に給付
- 障害給付:障害が残った場合に給付
- 介護給付:介護を受けている場合に給付
保険料は事業主が支払うので、雇用関係にある労働者は保険料を負担する必要はありません。
一方、フリーランスも労災保険に任意で加入できる「特別加入制度」があります。
特別加入制度は特定の条件を満たしている業種でないと、利用することができません。
現行の特別加入制度で対象となっている業種の一例は、以下の通りです。
- 自動車を使用する運送業やタクシー業
- 自転車を使用する配達業(フードデリバリーなど)
- 芸能関係作業者
- アニメーション制作者
- 柔道整復師
- ITフリーランス
特別加入をする場合は、業種ごとの団体に任意で申し込みを行い、保険料は補償される内容によって異なります。
そのほかの特徴は、以下の通りです。
- 組合員としての会費が必要
- 保険料に応じて16段階の補償を用意
- 保険料はフリーランスが支払う
これまでは特定の業種に限り労災の特別加入が認められていましたが、対象の業種を大幅に拡大する方針です。
どのような業種が対象になるのか確認しましょう。
特別加入制度の拡大
厚生労働省の方針では、「企業から継続的に業務委託を受けているフリーランス」は、原則すべての人が特別加入制度の対象となる見通しです。
個人事業主やフリーランスをめぐる労働環境は、近年目まぐるしく変化しています。
2023年10月には、アマゾンの商品配達を請け負うフリーランスドライバーが、仕事中のけがについて労災認定を受けました。
今後のフリーランスの労災をめぐって、影響を及ぼす前例になったといえるでしょう。
厚生労働省は、特別加入制度の拡大について、2024年の秋までに開始させる方針です。
一人起業のビジネスモデルについてはこちらの記事で詳しく解説されています。あわせてご確認ください。
参考:一人起業のビジネスモデルとは?成功のポイントも解説|バーチャルオフィス1