退職や転勤、子育てが終わったなどライフスタイルの変化による住み替えを検討中の人、相続で家を引き継いだなど、しばらく住む予定のない家を持っている人もいるでしょう。
家の所有は、お金も手間もかかるため売却したいけれど「売るのはもったいない」と考える人もいるかもしれません。
そのような人には、「マイホーム借上げ制度」という方法があります。
この記事では、マイホーム借上げ制度の概要やメリット・デメリット、利用条件を解説します。
マイホーム借り上げ制度とは?デメリットある?
マネーFix 編集部
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マイホーム借上げ制度とは
マイホーム借上げ制度とは、空き家となっている住宅を借上げ、安定した賃料収入を保証する制度です。
一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)が実施しています。
JTIは、国のサポートを得てマイホーム借上げ制度等の業務を行っている公的な機関です。
使われていない住宅を借り上げて賃貸することによって、資産の有効活用と、住宅が循環する社会を目指しています。
マイホーム借上げ制度のメリット
マイホーム借上げ制度のメリットは以下の4点です。
- 空室でも、毎月賃料収入を得ることができる
- 賃貸に出すのは事前に設定した期間のみ
- 万一に備え国の基金があるから安心
- トラブル対応の心配がない
空室でも、毎月賃料収入を得ることができる
マイホーム借上げ制度の最大のメリットは、空室時の賃料保証があることです。
通常の賃貸であれば、空室が発生すると、その間は家賃が入ってきません。
借主がいない期間にも、JTIが家主に賃料を支払います。
賃貸に出すのは事前に設定した期間のみ
JTIと借主との間の契約は「定期借家契約」です。
定期借家契約とは、契約期間があらかじめ決まっている賃貸借契約のことです。
そのため、「入居者が退去しない」「立ち退き料を請求された」などのトラブルが発生することもありません。
定期借家契約が終了したあとは、マイホームとして利用することも可能です。
国の基金があるから安心
国の予算で(一財)高齢者住宅財団に債務保証基金が設定されています。
JTIは基金の登録事業者になっているので、安心して利用ができます。
トラブル対応の心配がない
住宅は、JTIが借上げて貸すため、入居者とのトラブルはすべてJTIが対応します。
一般的な賃貸契約とは違ってオーナーが住居者と関わることがないため、トラブル対応の心配がありません。
マイホーム借上げ制度のデメリット
マイホーム借上げ制度のデメリットは以下の3点です。
- 賃料保証の開始は最初の入居者が入居してから
- 空室時の保証賃料は毎年見直される
- 初期費用やメンテナンス費用を負担する必要がある
賃料保証の開始は最初の入居者が入居してから
マイホーム借上げ制度の利用開始時期は、最初の入居者が入居したときからになります。
そのため、賃料保証が開始するのは、入居時からになります。
制度利用の申し込みと同時に賃料が保証されるわけではないので注意が必要です。
空室時の保証賃料は毎年見直される
賃料は、賃貸市場の動向や建物の状況などから相対的に判断して、第三者機関が査定します。
空室時の保証賃料は原則として毎年見直されます。
そのため、賃料保証があるとはいえ、賃料収入は減少する可能性があるので注意が必要です。
初期費用やメンテナンス費用を負担する必要がある
マイホーム借上げ制度の利用要件として、建物診断の実施があります。
旧耐震基準(昭和56年5月31日以前に建てられたもの)の建物は、家主の負担で耐震診断と劣化診断が必要です。
診断の結果、耐震補強やその他の改修が必要となれば、家主負担で改修工事が必要です。
また契約前には1万8700円の申込手数料かかります。
さらに、家主が設備として残していったもの(エアコン、トイレ、ガスコンロなど)に故障が発生した場合は、家主負担で修繕が必要となる点にも注意が必要です。
利用条件
利用条件は以下の通りです。
- 50歳以上(原則として国籍は問わない)
- 単独所有、または第三者と共同所有する、日本国内にある住宅を持っていること
- 土地について所有権または借地権、長期の定期借地権などを持っていること
- 住宅の建物診断(劣化・耐震診断)を受けること
次の特例制度要件を満たす場合に限り、50歳未満の人の利用が可能となります。
- 相続した空き家を持っている
- 生前贈与した家を持っている
- 海外に転勤が決まった
- 起業支援金・移住支援金を受け取る予定
- 急な減収で住宅ローンの返済が厳しくなっている
- 新築住宅時にJTIが認めた耐久・耐震性基準を満たし、長期にわたるメンテナンス体制を備えた新築住宅「かせるストック」として認定された
マイホーム借上げ制度の利用にあたっては、耐震工事などリフォームが必要な場合があります。
空き家のリフォームやリノベーションについては、こちらの記事「空き家のリフォーム・リノベにかかる費用相場」も参考にしてみてください。