【所得格差】が過去最大の水準に悪化。社会保険料の増加や非正規労働者の増加が要因か

執筆者:川辺 拓也

【記事執筆】FP川辺 拓也

3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。

厚生労働省が「2021年 所得再分配調査」の結果を公表しました。

世帯ごとの所得格差を示す指標が、前回調査の2017年から悪化し、過去最大の水準になっていることがわかりました。

所得格差が広がるのは、どのような要因が考えられるのでしょうか。

この記事では、厚生労働省の調査報告をもとに、所得格差が広がる要因について解説します。

所得格差を表すジニ係数

所得格差を表す指標は「ジニ係数」とよばれ、係数の値が1に近づくほど、所得格差が大きいことを示します。

ジニ係数には、年金や社会保障による再分配が行われる前の「当初所得」と、再分配が行われたあとの「再分配後の所得」があります。

所得再分配によるジニ係数の変化

出典:厚生労働省「令和3年 所得再分配調査報告書」

2021年における、それぞれのジニ係数は以下の通りです。

  • 当初所得のジニ係数:0.5700
  • 再分配後の所得のジニ係数:0.3813

当初所得に関しては、過去最大の開きがあった2014年(平成26年)と同じ水準まで悪化しました。

再分配後の所得のジニ係数と当初所得のジニ係数を比較すると、税金や社会保障によって格差が一定程度是正されていることがわかります。

しかし、再分配後のジニ係数は0.3813で、2014年(平成26年)よりも悪化しています。

所得格差が生じている要因

所得格差が生じている主な要因として考えられるのは、以下の3点です。

  • 非正規労働者の増加
  • 社会保険料の負担
  • 都市と地方の格差

それぞれの要因について解説します。

非正規労働者の増加

非正規労働者の増加は、所得格差が生じやすくなる要因です。

新型コロナウイルスにより非正規労働者の所得に影響があったことは、所得格差が拡大した要因の1つといえます。

非正規雇用の場合、正規雇用と比べて社会保障の待遇面も充実していないため、非正規労働者が増加すると、所得格差が生まれやすくなります。

社会保険料の負担

社会保険料の負担が増えている点も、所得格差が拡大する要因の1つです。

社会保険料の負担は、2023年は18.7%で徐々に負担が上昇しています。

社会保険料の負担が増えると、低所得者の可処分所得が少なくなるため、所得格差が生じやすくなります。

(※可処分所得とは、収入のうち税金や社会保険料などを除いた所得のこと。)

都市と地方の格差

都市と地方の所得格差も、所得格差が生じてしまう要因です。

企業や人口が集まりやすい都市とそれ以外の地方では、1人あたりの所得に差があります。

最低賃金の結果を見ても、地域差は明らかです。

東京都の最低賃金は1,072円ですが、青森県や秋田県では853円です。

こうした賃金の差が、そのまま所得格差にも表れているといえるでしょう。

「所得再分配調査」の結果が、今後の経済対策や税制に影響を与えるかどうかはわかりませんが、所得格差について政府がどのような対応を進めていくのか、注目が集まります。

出典
  • 厚生労働省「令和3年 所得再分配調査報告書」

キーワードで記事を検索