2023年7月5日、厚生労働省は、2023年4月に生活保護を申請した件数が1万9633件と発表しました。
2022年4月と比較すると、申請件数は10.6%増加しており、新型コロナウイルスや物価高の影響が伺えます。
この記事では、生活保護の受給要件や、実際に生活保護を受けるといくら受け取れるのかについて解説します。
生活保護はいくらもらえる?申請件数が昨年比約10%増加。知っておきたい手続き方法や受給要件
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
生活保護の受給要件や手続き方法
生活保護は、病気や年齢を理由に働けず生活ができない場合に、日常生活に必要な費用や医療にかかる費用などを支給する制度です。
生活保護の受給要件や保護の種類、手続き方法について確認していきましょう。
生活保護の受給要件
生活保護の申請は国民の権利なので、申請や相談は自由に行えます。
とはいえ、生活保護を受給する必要がある世帯なのか、以下の項目に当てはまるか確認を行います。
- 資産(預貯金や土地などお金に換えられるもの)が活用できない
- 病気等が理由で就労できない、就労していても必要な生活費を得られない
- 年金や手当といった社会保障給付を活用しても必要な生活費を得られない
- 扶養義務者となる親族から援助が得られない
生活保護の申請が行われると、扶養義務者となる親族に福祉事務所のケースワーカーが会い、生活保護の申請者を扶養できないか照会するケースがあります。
生活保護の種類
生活保護は、生活をするうえで生じる費用に応じて、扶助の種類や内容が異なります。
生活保護の種類は下表の通りです。
出典:厚生労働省「生活保護制度」(以下同)
生活保護の手続き方法
生活保護の手続き方法は、以下の通りです。
- 相談:自治体の福祉事務所で相談
- 申請:自治体の福祉事務所で申請
- 調査:訪問調査や資産調査を行い、支給額を審査
- 決定:14日以内に調査結果を通知
生活保護の受給が開始したら、収入状況を毎月申告し、ケースワーカーによる訪問調査や生活指導が行われます。
では、実際に生活保護で受け取れる金額はいくらになるのか確認していきましょう。
生活保護はいくらもらえる
生活保護は、収入が最低生活費に満たない場合、最低生活費から収入を差し引いた金額が支給されます。
生活保護の算定基準となる最低生活費は、住んでいる地域や世帯の状況によって異なるため、支給額が一律に決まっていません。
最低生活費は、地域における生活様式や物価差による生活水準の差を「級地」に反映させて計算しています。
モデルケース別に見た級地ごとの最低生活費は、下図の通りです。(2021年4月現在)
出典:厚生労働省「生活保護制度の概要等について」
「級地」の例は以下の通りです。
- 1級地-1:東京都23区、横浜市、大阪市
- 1級地-2:札幌市、千葉市、福岡市
- 2級地-1:秋田市、静岡市、高知市
- 2級地-2:長岡市、三島市、佐世保市
- 3級地-1:弘前市、福知山市、今治市
- 3級地-2:結城市、篠山市、宇和島市
例えば、東京都23区に住む3人世帯の場合、生活最低費の合計は22万8560円となります。
したがって、世帯収入が22万8560円を下回っている場合、差額が保護費として支給されることになります。
ただし、上記はあくまで一例です。
生活保護を受けた場合の受給額が知りたい人は、まず自治体の福祉事務所へ相談してください。
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省「生活保護制度の概要等について」