遺族厚生年金は、厚生年金の加入者が亡くなったとき、遺族が受け取ることのできる年金です。
しかし、遺族厚生年金制度は、夫と妻とで、相手が亡くなったときの保障に大きな差があります。
共働き世帯にとって、妻が亡くなった際の経済的リスクや保障を考えるのは重要です。
この記事では、共働き世帯が知っておくべき遺族厚生年金の注意点について、わかりやすく解説します。
妻が死亡しても遺族厚生年金がもらえない!?共働き世帯が知っておくべきリスクと注意点
マネーFix 編集部
マネーFix 編集部は、FP有資格者や「ビジネス書」や「学習参考書」などさまざまなジャンルの編集経験者で構成されています。わかりやすく確かな情報を発信し「人生におけるお金の決断」の判断基準となる、信頼できるメディアを目指します。
収入差が少ない夫婦は要注意!
ブロードマインド株式会社は、働きながら子育てをする20~50代の男女1,000名を対象に「遺族年金の男女差に関する実態調査」を実施しました。
出典:ブロードマインド株式会社「遺族年金の男女差に関する実態調査」(以下同)
調査によると、回答者の73.6%が正社員として共働きをしていることがわかりました。
夫婦の年収差については、妻より夫の年収が高い世帯が82.8%でした。
しかし、年収差が300万円未満の世帯は41.8%にのぼっており、もし妻が死亡した場合、家計に大きな影響を及ぼす世帯が多いことが伺えます。
夫は遺族厚生年金をもらえない?
遺族年金は家計の担い手が死亡した場合、遺族がお金に困らず暮らせるよう考えられた制度です。
しかし、この制度は「会社員の夫と専業主婦の妻と子」をモデルにしており、働く妻の死亡リスクは考慮されていません。
以下、妻が死亡した場合の遺族厚生年金について、夫の年齢と子どもの有無を基準に解説します。
夫が55歳未満、子どもはいない
夫に遺族厚生年金は支給されません。
夫が55歳未満、未成年の子どもがいる
子どもに対してのみ、18歳になった年の3月末まで遺族厚生年金が支給されます。
夫が55歳以上、子どもはいない
夫に対して60歳から遺族厚生年金が支給されます。
夫が55歳以上、未成年の子どもがいる
子どもに対しては18歳になった年の3月末まで、夫に対しては60歳から遺族構成年金がされます。
もし夫が死亡した場合は、子どもの有無にかかわらず妻は遺族厚生年金を受給できるため、男女差がある制度といえます。
なお、遺族基礎年金については、支給対象者は「子のある配偶者」となっており、男女差はありません。
先の調査によると、遺族厚生年金の受給額に夫婦間で差があることを「知らない」人は65.6%にのぼっています。
妻死亡時の家計のリスク
妻が死亡した場合、その経済的なリスクは単に収入が減ることだけにとどまりません。
例えば、夫名義の住宅ローンがある場合、団体信用生命保険に加入していない妻が死亡したとしても、ローンの返済は免除されません。
収入が減るにもかかわらず、ローンを払い続ける必要があります。
また、保険の死亡保障額についても、妻より夫の方が死亡保障額が大きいケースが多いようです。
もしもの事態に備えて保険の見直しをしたり、預貯金を増やしたりするなど、生活費を工面する手立てを考えておくとよいでしょう。
家計の見直しにあたっては、ファイナンシャルプランナーに相談することがおすすめです。
こちらの記事「ファイナンシャルプランナー(FP)相談サービスのおすすめ8選!」も参考にしてください。
- ブロードマインド株式会社「遺族年金の男女差に関する実態調査」