2022年12月の東京都区部における消費者物価指数は、総合指数(生鮮食品を除く)で103.9となりました。
2021年12月と比べて4.0%上昇し、1982年4月以来40年8ヵ月ぶりの高水準です。
2023年の物価はどのように推移していくのでしょうか。
食品業界の見通しを解説しながら、賃金や家計にどのように影響するか解説します。
食品の値上げラッシュが止まらない。2月は5,000品目超え、4月中に1万品目に達する見通し
【記事執筆】FP川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
2月以降も続く食品の値上げラッシュ
帝国データバンクは、食品メーカー主要195社を対象に2023年の価格改定動向を調査しました。
出典:帝国データバンク「価格改定動向調査―2023年2月」(以下同)
その結果、2023年2月は加工食品を中心に5,463品目が値上げとなる見通しです。
1,420品目が値上げとなった2021年2月と比べ、約3.8倍の品目数に達しました。
2023年に入っても続く値上げラッシュですが、複数の原因があります。
値上げの原因は、「原材料高」「エネルギー」「包装・資材」「物流」「円安」となりました。
原材料やエネルギー価格の高騰、物流や包装にかかわるコスト増が影響しています。
こうした原因を背景に、2023年3月以降も値上げが続く見通しです。
主な値上げ品目は、下表の通りです。
出典:帝国データバンク「価格改定動向調査―2023年2月」
2023年4月中には、値上げ品目数が累計で1万品目を超え、2022年と比べて3ヵ月早く1万品目に到達する見通しです。
相次ぐ物価高の影響を受けて、家計への圧迫も懸念されます。
家計を支える賃金の状況は、物価高が続く中でどのように推移しているのでしょうか。
実質賃金の目減りから脱却なるか
厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査」では、2022年11月の実質賃金は前年比でマイナス2.5%でした。
物価の上昇に賃金が追いつかず、実質目減りした状態です。
2022年4月以降、実質賃金はマイナス推移が続き、家計への圧迫が続いているといえます。
東京都区部の消費者物価指数を見ると、2022年11月は生鮮食品を除く総合指数で103.6でした。
2022年12月の103.9と0.3ポイントしか変わらないので、同程度の水準といえます。
消費者物価指数の水準が同じであれば、賃上げが行われない限り、実質賃金はマイナス推移が続くでしょう。
2023年の夏までは、5月を除いて月間2,000品目以上の値上げが続く見通しです。
実質賃金の目減りを避けるために、物価高への対策が行われるのか、今後も注目していきましょう。
- 帝国データバンク「価格改定動向調査―2023年2月」
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年11月分結果確報」