「妊娠時・出生時」に5万円支給。2023年1月以降の出産が対象。4月以降は出産一時金が50万円にアップ

執筆者:マネーFix 編集部

長らく日本の課題とされている少子化対策について、岸田首相は2023年1月4日の記者会見で、「異次元の少子化対策に挑戦する」と述べました。

少子化対策については、松野官房長官が5日の記者会見で、「全世代型社会保障構築会議の報告書において、『恒久的な財源と合わせて検討』とされていて、政府としては報告書もふまえ検討していく」と述べています。

この記事では、「全世代型社会保障構築会議の報告書」に記載されている少子化対策や、2023年に具体的に実施される支援について解説します。

「異次元の少子化対策」を表明した背景

待機児童の解消や教育費の軽減を目的とした支援はこれまでも行われてきました。

2019年以降に行われた主な支援策は、以下の2点です。

  • 幼児教育・保育の無償化:少子化の要因となっている教育費用の軽減が目的
  • 新子育て安心プラン:待機児童の解消と女性の就業率の上昇が目的


待機児童数については、支援策の効果もあり、2022年4月1日時点で過去最少の2,944人となりました。

一方、2022年の出生数は過去最少の80万人を下回る見通しで、少子化への歯止めがかからない状況が続いています。

具体的な子育て支援策

内閣官房で行われている「全世代型社会保障構築会議」では、さまざまな子育て支援策が検討されています。

支援策として検討されている項目は、下表の通りです。

 
出典:内閣官房「全世代型社会保障構築会議報告書」より作成

この中で、「伴走型相談支援と経済的支援の充実」と「出産一時金の増額」については、2023年からの実施が決まっています。

「伴走型相談支援と経済的支援の充実」については、妊娠から出産後まで継続的な子育て支援を行うことで、少子化の解消を図る狙いがあります。


出典:厚生労働省「妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施(出産・子育て応援交付金)」

「伴走型相談支援と経済的支援の充実」の一環として、「出産・子育て応援交付金」の支給が決定しています。

「出産・子育て応援交付金」は、妊娠届時と出生届時にそれぞれ5万円ずつ、合計10万円分の現金もしくはクーポンを受け取ることができる制度です。

2023年1月以降に出産した人が対象ですが、2022年4月から12月に出産した人についても、出生時の5万円分を受け取ることができます。

また、「出産一時金の増額」は2023年4月に実施予定です。現行の42万円から50万円へ引き上げられます。

一連の子育て支援を継続して行うには、財源の確保が必要になります。

前述の通り、子育て支援を拡充させるために「恒久的な財源と合わせて検討が必要」と述べられています。

恒久的な財源については今後の議論で検討される予定ですが、消費税の引き上げも検討の対象になるようです。

少子化対策を行う一方で、日々の生活にかかる消費税の負担が増えると、手放しで喜べない現状もあります。

継続的な子育て支援の評価が得られるかどうかは、支援の内容だけでなく、財源をどこから充てるのかもポイントになるでしょう。

出産時に準備すべきものについてはこちらの記事で詳しく解説されています。あわせてご確認ください!

出典
  • 内閣官房「全世代型社会保障構築会議報告書」
  • 厚生労働省「妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施(出産・子育て応援交付金)」

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