政府は、子育て中の時短勤務をしている人に、現金を給付する制度を新設する方向で、検討を開始しました。
新たな給付支援策の概要について解説するとともに、女性がどのような子育て支援を求めているかの調査結果を紹介します。
子育て時短勤務者に現金給付を検討。4人に1人が「時短勤務制度」と「費用補助」を求めている
時短勤務の賃金に補填する見通し
時短勤務者の賃金は、一般的に労働時間に比例して下がります。
今回検討されている支援策は、時短勤務で少なくなった賃金の一定割合を穴埋めするというものです。
1日の所定労働時間が8時間、基本給30万円のケースで、時短勤務の賃金を考えてみましょう。
1日6時間の時短勤務を選択した場合、フルタイムと比べると、労働時間の比率は75%です。
6時間÷8時間=0.75
一般的に、時短勤務の賃金は労働時間の比率に応じて減少します。6時間の時短勤務であれば、賃金は22万5000円です。
30万円×75%=22万5000円
フルタイムと時短勤務の賃金の差は、7万5000円となります。
時短勤務によって減少した賃金(この場合7万5000円)の一定割合を、雇用保険から給付する方向で検討が進められています。
対象者は、雇用保険の被保険者です。
給付額や期間、対象となる条件の詳細などは明らかになっていませんが、どのような制度になるか、注目が集まります。
給付金で子育てと仕事の両立は可能か?
検討されている支援策は、「子育てと仕事の両立を支援すること」が狙いのようです。
時短勤務の人に対して現金給付を行うことが、子育てと仕事の両立につながるのでしょうか。
子育てと仕事の両立を図るために、どういった支援を欲しているのか、女性の目線から確認しましょう。
ソニー生命保険株式会社は、全国の20歳から69歳の女性を対象に「女性の活躍に関する意識調査2022」を行いました。
出典:ソニー生命保険株式会社 「女性の活躍に関する意識調査2022」(以下同)
調査によると、「勤め先で女性の活躍支援のために行ってほしいと思うこと」については、「短時間勤務制度の導入」(29.8%)が最も多く、「子育て関連の費用補助」(26.4%)と続きました。
4人に1人は、「子育て関連の費用補助」を要望しており、時短勤務の人に対する現金給付は、一定の需要があると考えられます。
また、「家庭と仕事を両立するために必要だと思うこと」については、「休暇が取得しやすい職場環境」(70.1%)が最多でした。
以降、「男性の家事・育児参加」(69.0%)「職場の理解・協力」(67.4%)「子どもを預けられる環境の整備」(64.6%)「柔軟な働き方(在宅勤務やフレックスタイム制度など)」(61.6%)と続きました。
家庭と仕事を両立するためには、横断的な環境の整備やサポートが必要であることが伺えます。
政府が検討している、時短勤務をする人への現金支給制度は、「子育てと仕事の両立」に一定の効果が期待できそうです。
一方で、金銭面だけでなく、「意識」や「制度」といった職場の環境面についても、整備を進めていくことが必要といえるでしょう。
- ソニー生命保険株式会社 「女性の活躍に関する意識調査2022」