証券取引の心得がある人なら、「CFD取引」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
この記事では、CFD取引の基本的な概念やCFD取引のメリット・デメリット、さらにCFD取引におすすめの証券会社を8社ピックアップして解説します。CFD取引に関心があり、詳しく知りたい人はぜひ参考にしてください。
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【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩
一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。
証券取引の心得がある人なら、「CFD取引」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
この記事では、CFD取引の基本的な概念やCFD取引のメリット・デメリット、さらにCFD取引におすすめの証券会社を8社ピックアップして解説します。CFD取引に関心があり、詳しく知りたい人はぜひ参考にしてください。
CFDとは「Contract For Difference」の略で、日本語では差金決済取引(証拠金取引)と呼ばれています。実際に金融資産を保有するのではなく、「取引結果の差額」を取引することで利益を出す仕組みです。
まず投資者が少額の証拠金を証券会社に預け、注文するCFD銘柄、買建または売建の別、注文数量、価格等を指示します。その後タイミングを見はからって売買を行うことで、利益を生み出すのがCFDの基本的な流れです。
利益を生み出す仕組みは通常の株取引と似ていますが、現物を保有せず、取引結果の差額で利益を得るところがCFD取引のポイントです。
CFD取引で利用する証券会社を選ぶ際のポイントを紹介します。
証券取引では、売値と買値の差を「スプレッド」と呼んでいます。この差が小さくなることを「スプレッドが狭い」と表現し、スプレッドが狭いほど投資者側にとって有益です。
例えば、スプレッドが0.02円のA社と0.1円のB社を比較します。同じ銘柄を取引したとしても、A社では0.02円以上で利益が出ます。これに対し、B社ではその5倍の0.1円以上でなければ利益になりません。
スプレッドは狭ければ狭いほど利益が出やすいため、証券会社を選ぶうえで大きなポイントです。
CFD取引には、株価指数CFD、商品CFD、貴金属CFD、株式CFD、仮想通貨CFDなど多種多様な銘柄が存在します。証券会社の取引銘柄が豊富にあるかどうかも、利益に直結する大事なポイントです。
取引銘柄を国内外に多く持っている証券会社は、まざまな市場の動向に合わせてリスクを回避しながら取引を行えます。一方、取引銘柄が少ない証券会社は、市場の暴落や急騰などが起きた場合にリスクを回避できない可能性があります。
使い勝手の良い取引ツールを備えている証券会社を選ぶことで、CFD取引をスムーズに行え、利益も出やすくなります。
証券会社によっては、未来の相場予測ができるチャート分析ツールを用意しています。ほかにも、複数銘柄のチャートが確認できたり、テクニカル指標を組み合わせた高度な分析が行えたりと、工夫を凝らしています。
証券会社のサポートが充実しているかも大切なポイントです。特に、初めてCFD取引を行う人にとっては、口座開設から取引まで手厚いサポートを受けられるかどうかは、証券会社を選ぶうえで大きな違いになるでしょう。
ほかにも、FAQページがわかりやすい、24時間チャットで相談できる、希望があれば個別相談に乗ってくれるなど、サポート体制は証券会社によって異なります。
手数料と銘柄数を重視して厳選した、おすすめの証券会社を8社紹介します。
証券会社名 | 手数料 | 取り扱い銘柄数 | 取引ツールの充実度 |
---|---|---|---|
IG証券 | 無料 | 1万7000以上 | ◎ |
サクソバンク証券 | 無料 | 9,500以上 | ○ |
LINE証券 | 無料 | 194 | ○ |
GMOクリック証券 | 無料 | 147 | ◎ |
SBI証券 | 無料 | 32 | ○ |
DMM.com証券 | 無料 | 13 | ◎ |
楽天証券 | 無料 | 17 | ○ |
岡三オンライン | 30円~ | 7 | ◎ |
世界15ヵ国以上のトレーダーが利用する、IGグループの証券会社です。取引銘柄は1万7000以上と圧倒的な数字を誇り、世界中の市場からさまざまな利益獲得のチャンスを得られるのが魅力です。
1つのCFD取引システムで、FXから個別株、株価指数、金、原油、各種ETFまで取引できます。初心者向きというよりは、すでにトレードを始めている中級者向けです。
レバレッジが最大50倍と高く、レバレッジを利かせた取引をしたい人にもおすすめです。
取り扱い銘柄数 | 1万7000以上 |
---|---|
取引銘柄の種類 | 株価指数:○ 個別株:○ 商品:○ 債権:○ その他:○ |
手数料 | 無料(以下を除く) 株式CFD(日本株):最低110円 株式CFD(米国株):最低16.50ドル |
最大レバレッジ | 50倍 |
公式サイト | https://www.ig.com/jp/landing/japan-brand-lp |
サクソバンク証券は、日本国内株CFD取引の手数料が無料です。さらにヨーロッパや中国株の投資に挑戦したい人にもおすすめできます。
国内最多水準となる9,500銘柄以上を取り扱っており、デモ口座を利用したプレビュー運用もできるので初心者にも向いています。
取り扱い銘柄数 | 9,500以上 |
---|---|
取引銘柄の種類 | 株価指数:○ 個別株:○ 商品:× 債権:○ その他:× |
手数料 | 無料(以下を除く) 株式CFD(米国株):取引額の0.15% 株式CFD(中国株):取引額の0.2% CFD(欧州株):取引額の0.25% |
最大レバレッジ | 10倍 |
公式サイト | https://www.home.saxo/ja-jp |
LINEで利用できる証券会社です。LINEユーザーには大変使い勝手が良く、経済指標や急な変動をLINEで知らせてくれるため、最適な取引タイミングを逃しにくいです。
LINEでのAIチャットで、24時間無料サポートが受けられるのも魅力です。預かった証拠金は分割管理(信託保全)する仕組みで、会社が破綻しても資産は守られるため、安心して取引できます。
LINE証券の口座を持っていれば、最短1分でCFD口座を作ることが可能です。
取り扱い銘柄数 | 194 |
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取引銘柄の種類 |
株価指数:○ |
手数料 | 無料 |
最大レバレッジ | 20倍 |
公式サイト | https://line-cfd.com/ |
GMOクリック証券は、日経平均などの株価指数や外国株、金や原油などの商品先物を含む世界各国140銘柄へCFD投資が行えます。手厚いサポートと豊富な取引ツールが魅力で、初心者から上級者まで誰でも使いやすい証券会社です。
預けた証拠金は三井住友銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、日証金信託銀行の4行の信託口座に分けて管理されます。万が一証券会社が破綻しても資産は守られるため、多額の取引をする人に特におすすめです。
取り扱い銘柄数 | 147 |
---|---|
取引銘柄の種類 | 株価指数:○ 個別株:○ 商品:○ 債権:× その他:○ |
手数料 | 無料 |
最大レバレッジ | 20倍 |
公式サイト | https://www.click-sec.com/corp/lp/cfd/ |
SBI証券は、口座開設数720万を超える国内最大手の証券会社です。CFD取引に関しては、個人取引シェアNo.1の実績を誇ります。SBI証券の口座をすでに持っている人はすぐに取引が開始できるため、特におすすめです。
レバレッジが最大60倍と高く設定されているので、レバレッジを効かせた取引をしたい上級者にも向いています。
取り扱い銘柄数 | 32 |
---|---|
取引銘柄の種類 | 株価指数:○ 個別株:× 商品:○ 債権:× その他:○ |
手数料 | 無料 |
最大レバレッジ | 60倍 |
公式サイト | https://site0.sbisec.co.jp/marble/cfdwarrant/top/cfd.do? |
DMM.com 証券は、DMM.comグループの証券会社です。CFD取引ツールとして「DMMCFD PLUS」「DMMCFD STANDARD」「プレミアチャート」「スマホアプリ DMM CFD」「DMMCFD スマホ」を提供しています。どれも操作性に優れ、使い勝手が良いと評判です。
高機能な取引ツールを利用したい人に特におすすめの証券会社です。また、最短即日から取引が可能なので、いますぐCFD取引を始めたい人にも向いています。
取り扱い銘柄数 | 13 |
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取引銘柄の種類 | 株価指数:○ 個別株:× 商品:○ 債権:× その他:× |
手数料 | 無料 |
最大レバレッジ | 20倍 |
公式サイト | https://fx.dmm.com/cfd/ |
楽天証券は、楽天グループに属する証券会社です。総口座開設数は、800万口座以上あります。
楽天証券では、人気のプラットフォーム「MT4」でCFD取引できることに加え、独自のサービス「iSPEED」を利用することも可能です。楽天グループのネットワークを活かした、相場情報の豊富さには定評があります。
また、CFD取引初心者に向けたセミナーや入門講座なども充実しています。
取り扱い銘柄数 | 17 |
---|---|
取引銘柄の種類 | 株価指数:○ 個別株:× 商品:○ 債権:× その他:○ |
手数料 | 無料 |
最大レバレッジ | 20倍 |
公式サイト | https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fx/lp_cfd/ |
老舗の証券会社である岡三証券は、ネット証券会社「岡三オンライン」でCFD取引が行えます。取り扱い銘柄は少ないものの、証券取引の長い実績に基づく親切丁寧なサポートが好評で、初心者でも安心です。
レバレッジが最大100倍というのも魅力です。また、「Web版」「ネットトレータ゛ー365FX」「くりっく365専用スマートフォンアフ゜リ」「RSS 365FX」「e-profit FX、e-profit+」など多様なツールが用意されています。
取り扱い銘柄数 | 7 |
---|---|
取引銘柄の種類 | 株価指数:○ 個別株:× 商品:○ 債権:× その他:× |
手数料 | 30円~ |
最大レバレッジ | 100倍 |
公式サイト | https://www.okasan-online.co.jp/lp/cfd/ |
CFD取引を利用するメリットは、以下の3点です。
株式や貴金属の現物を買うには、多額の資金が必要です。一方で、CFDなら元手がない人でも購入できるのは大きなメリットといえます。レバレッジをかけて投資額を増額することもできるので、好きな銘柄を自由に取引可能です。
国内外問わず、世界中の好きな銘柄に分散投資ができるのもCFD取引のメリットです。
CFDでは世界中の国々が投資対象なので、勢いがある国や、よく旅行する国の銘柄に投資できる点は魅力です。また、値崩れしにくく安全資産とされる金(ゴールド)も取引できるので、分散投資によるリスクヘッジができます。
CFD取引は、ほかの証券取引に比べてコストが低いというメリットもあります。CFD取引には取引手数料やスプレッドなどのコストがかかりますが、先に挙げたおすすめの8社のように、取引手数料を無料あるいは格安にしている証券会社も多いです。
コストは証券会社によって異なるため、比較検討してみてください。
CFD取引を利用するデメリットは、以下の2点です。
追加証拠金とは、ロスカットが間に合わず、口座残高がマイナスになってしまった場合に補填するお金のことです。
追加証拠金の支払いは、実質的には借金をしているのと同じ状態になるため、注意が必要です。少額の取引でも、レバレッジをかけすぎると損失が大きくなってしまうケースもあるので、取引は慎重に行ってください。
CFD取引を通じて利益が発生した場合は、その金額によっては確定申告をする必要があります。
税法上、CFD取引によって得た利益は「雑所得」に該当し、申告分離課税が適用されます。申告分離課税は、ほかの所得と合算せず、取引によって得た利益のみに課税する方法です。給与所得者で利益20万円、給与所得者以外で利益38万円を超える場合、確定申告をしなければなりません。
最後に、CFD取引に関するよくある質問と、その回答を紹介します。
CFD取引と先物取引の違いは何ですか?
先物取引とは「将来の定められた期日に受け渡しを行う約束をして、その価格をいま決めてしまう」という取引のことです。
価格変動の大きい原油や金、とうもろこし、小麦などの会社が、将来的な値崩れを避けるためのリスクヘッジとして利用しています。損益が出ているときでも、期限が来れば必ず決済されてしまうので、自分の思うような運用ができないケースがあります。
一方、CFD取引には決済期限はないので、利益が出ているタイミングで自由に決済することが可能です。
レバレッジは先物取引の方が大きくなります。ただし、先物取引のレバレッジは変動制のため、見極めるのが難しいという点に注意してください。CFD取引のレバレッジは固定制です。
店頭CFDと取引所CFD(くりっく株365)の違いは?
東京金融取引所の「くりっく株365」は、日本で最初の公認CFDマーケットです。セーフティネットがしっかりしているのが特徴で、取扱業者が万が一破綻した場合でも、投資家が預けている証拠金は原則として全額保護される仕組みです。
また、日本投資者保護基金の対象で、一般投資家1人につき「くりっく株365」の証拠金を含む金銭や預託していた有価証券などの合計が、最大1000万円まで補償の対象です。こうした補償は店頭CFDにはありません。
ただし、店頭CFDの方が取り扱い銘柄は多いため、たくさんの銘柄から選びたいなら店頭CFDがおすすめです。
CFD取引とFX取引は損益通算が可能ですか?
CFD取引は、同じ雑所得(申告分離課税)に区分されるデリバティブ取引(先物取引、オプション、FX など)であれば損益通算ができます。したがって、CFD取引とFX取引は損益通算が可能です。
損益通算とは、利益と損失を相殺する仕組みのことです。例えば、CFD取引で100万円の利益を得て、FX取引で50万円の損失を出した場合、利益と損失を差し引きした50万円ぶんが課税対象となります。
CFD取引の自動売買はある?
CFD取引において、自動売買を行っている証券会社はいくつかあります。本記事でピックアップした証券会社の中では、IG証券と楽天証券が自動売買に対応しています。
IG証券は、「ProRealTimeチャート」という自動取引機能を搭載した取引ツールを用意しています。多彩な機能とカスタマイズ性を兼ね備えたハイスペックなツールで、高度な自動売買が可能です。
楽天証券では、MT4(メタトレーダー4)を使った自動売買を行えます。MT4は、全世界で4000万人以上が利用しており、FXの自動売買では有名な取引ツールです。国内大手ネット証券でMT4が使えるのは、2023年3月時点では楽天証券だけに限られています。
CFD取引とFX取引の違いは?
CFD取引とFX取引は、「差金決済」という取引方法自体はほぼ同じものですが、投資する商品が大きく異なります。CFD取引が原油や金など現物があるものに投資できるのに対して、FX取引は通貨のみが投資対象です。
CFD取引でもロスカットは適用されますか?
CFD取引でもロスカットが適用されます。LINE証券を例にとると、LINE CFDでは「証拠金維持率」が100%を下回ると、その時点で自動的にロスカットルールが適用され、取引を強制決済する仕組みです。
証拠金維持率とは、各取引に必要な「①最低限の証拠金額」に対して、「②実際に差し入れた証拠金と評価損益(取引の途中で発生した損益)の合計額」の割合を計算したものです。
「差金決済」により利益を得られるのが、CFD取引です。本記事ではそのメリット・デメリットや、おすすめの証券会社を紹介しました。手数料の安さや少額から始められる手軽さもあって、いまCFD取引は注目を集めています。
記事を参考に自分に合った証券会社を見つけて、CFD取引を行ってみてください。
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