仕事を辞めても、毎日の生活費や税金の負担がなくなるわけではありません。そのため、一定期間収入がなくても生活できるように、十分な蓄えをしておく必要があります。
どのくらいの貯金をすべきかの目安として、公的なデータから標準的な世帯の1ヵ月の生活費を紹介します。
生活費
まず、毎月の生活費から紹介します。
独身の人の毎月の生活費はいくら?
独身の人の平均的な生活費を総務省のデータから紹介します。単身世帯の消費支出(生活費)の月あたりの平均額は、約17万円です。費目ごとの内訳は、以下の通りです。
- 住居費:2万3815円
- 食費:4万6391円
- 光熱・水道費:1万3045円
- 日常費(日用品など):5,955円
- 服飾費:4,712円
- 医療費:7,426円
- 交通費・通信費:2万1796円
- 教養・娯楽費:1万9425円
- その他:2万5053円
出典:総務省「家計調査 2023年(令和5年)平均」(以下同)
家族がいる人の毎月の生活費はいくら?
同じ総務省のデータから、家族がいる世帯の生活費の平均を紹介します。家族がいる世帯の消費支出(生活費)の月あたりの平均額は約30万円です。費目ごとの内訳は以下の通りです。
- 住居費:1万8013円
- 食費:8万6554円
- 光熱/水道費:2万3855円
- 日常費(日用品など):1万2375円
- 服飾費:9,644円
- 医療費:1万4728円
- 交通費・通信費:4万2838円
- 教養/娯楽費:2万9765円
- その他:5万6225円
保険料や税金関連
仕事を辞めて無職になると所得税はかかりませんが、社会保険料と税金がかかります。
上記のうち、国民健康保険料と住民税は前年度の所得をもとに保険料や税額が決まります。国民年金保険料は一律であり、2023年度は1ヵ月あたり1万6520円でした。
国民年金保険料と住民税はいくらかかる?
国民年金保険料と住民税については、前年の年収400万円の独身の会社員が仕事を辞めた例で金額を紹介します。前年の社会保険料は年収の14%、給与所得控除以外は社会保険料控除と基礎控除のみ、住民税の税率は10%とします。
国民健康保険料の計算方法は、自治体によって異なります。愛知県名古屋市の場合、1ヵ月あたりの国民健康保険料は2万2760円となります(市のシミュレーター使用)。
住民税の計算基礎となる前年度の所得金額は、以下の計算式で求められます。
所得金額=収入金額-(給与所得控除+社会保険料控除+基礎控除)
年収400万円の給与所得控除は124万円、社会保険料控除は56万円、基礎控除は43万円です。所得金額は177万円、住民税額は17万7000円となります。
転職活動費
転職にあたっては、転職活動費もかかります。リクナビNEXTのアンケートによると、転職活動に必要な費用については、約7割の人が10万円未満と回答しています。
また、遠方への転職活動(Uターン・Iターン)の場合は、10万円未満の割合は約4割です。一方で30万円未満が約6割と、多くても30万円程度に抑えていることがわかります。
主な転職活動費は、以下のような費用です。
- 交通費:面接や選考会場への移動にかかる費用
- 履歴書/職務経歴書作成費用:写真代、印刷代、郵送代
- スーツ/靴/バッグ等:面接時に着用する服装にかかる費用
その他、情報収集のための書籍代、スキルアップのための費用がかかる場合があります。
想定外の支出についても考慮しておく
これまで紹介した支出は、通常の生活や転職活動で最低限必要になるものです。しかし、転職活動中に不測の事態が発生し、予期しないお金が必要になることも考えておきましょう。
想定外の支出には、以下のようなものがあります。
- 家族の事故や病気
- 転職に伴う引越し
- 冠婚葬祭
- 家電の故障
- 大規模災害