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仕事を辞めるのに必要な貯金額はいくら?退職後の生活資金や税金を計算しよう!

執筆者:マネーFix 編集部

【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩

一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。

仕事を辞めたいと思っていても、収入がなくなることを不安に思う人もいるでしょう。「貯金がないけれど仕事を辞めたい…」「転職の準備のために、いくら貯金があればよいかわからない」という人もいるかもしれません。

転職を考えている場合、転職活動が長引くことも考えて生活費の6ヵ月分を貯金しておくとよいとされています。

この記事では転職活動にかかる費用の種類や相場、貯金なしで仕事を辞める場合の対策などを解説します。

この記事でわかること
  • 仕事を辞める場合に必要な貯金額
  • 会社を退職後にもらえるお金
  • 貯金がなくて仕事を辞める場合の対策

仕事を辞める場合6ヵ月分の生活費を貯金しよう

転職を考える際、多くの人は転職先が決まってから現職を辞める傾向にあります。エン転職の調査によると、ユーザーの86%が在職中に就職活動をしています。

しかし、14%は転職先が決まらないまま退職に踏み切っているわけです。リクナビNEXTによると転職活動には平均で3~6ヵ月かかるというデータもあります。転職が決まらずに退職をする場合、その間の生活費の確保が重要です。

想定外に転職活動が長引いた場合でも安心して活動を続けられるよう、転職を考え始めたら、まずは6ヵ月分の生活費を貯金しておくことをおすすめします。十分な貯金があれば、焦らずに考えることができ、自分に合った転職先を見つけられるでしょう。

仕事を辞めたあとに必要な費用

仕事を辞めても、毎日の生活費や税金の負担がなくなるわけではありません。そのため、一定期間収入がなくても生活できるように、十分な蓄えをしておく必要があります。

どのくらいの貯金をすべきかの目安として、公的なデータから標準的な世帯の1ヵ月の生活費を紹介します。

生活費

まず、毎月の生活費から紹介します。

独身の人の毎月の生活費はいくら?

独身の人の平均的な生活費を総務省のデータから紹介します。単身世帯の消費支出(生活費)の月あたりの平均額は、約17万円です。費目ごとの内訳は、以下の通りです。

  • 住居費:2万3815円
  • 食費:4万6391円
  • 光熱・水道費:1万3045円
  • 日常費(日用品など):5,955円
  • 服飾費:4,712円
  • 医療費:7,426円
  • 交通費・通信費:2万1796円
  • 教養・娯楽費:1万9425円
  • その他:2万5053円
出典:総務省「家計調査 2023年(令和5年)平均」(以下同)

家族がいる人の毎月の生活費はいくら?

同じ総務省のデータから、家族がいる世帯の生活費の平均を紹介します。家族がいる世帯の消費支出(生活費)の月あたりの平均額は約30万円です。費目ごとの内訳は以下の通りです。

  • 住居費:1万8013円
  • 食費:8万6554円
  • 光熱/水道費:2万3855円
  • 日常費(日用品など):1万2375円
  • 服飾費:9,644円
  • 医療費:1万4728円
  • 交通費・通信費:4万2838円
  • 教養/娯楽費:2万9765円
  • その他:5万6225円

保険料や税金関連

仕事を辞めて無職になると所得税はかかりませんが、社会保険料と税金がかかります。

  • 国民健康保険料
  • 国民年金保険料
  • 住民税

上記のうち、国民健康保険料と住民税は前年度の所得をもとに保険料や税額が決まります。国民年金保険料は一律であり、2023年度は1ヵ月あたり1万6520円でした。

国民年金保険料と住民税はいくらかかる?

国民年金保険料と住民税については、前年の年収400万円の独身の会社員が仕事を辞めた例で金額を紹介します。前年の社会保険料は年収の14%、給与所得控除以外は社会保険料控除と基礎控除のみ、住民税の税率は10%とします。

国民健康保険料の計算方法は、自治体によって異なります。愛知県名古屋市の場合、1ヵ月あたりの国民健康保険料は2万2760円となります(市のシミュレーター使用)。

住民税の計算基礎となる前年度の所得金額は、以下の計算式で求められます。

所得金額=収入金額-(給与所得控除+社会保険料控除+基礎控除)

年収400万円の給与所得控除は124万円、社会保険料控除は56万円、基礎控除は43万円です。所得金額は177万円、住民税額は17万7000円となります。

転職活動費

転職にあたっては、転職活動費もかかります。リクナビNEXTのアンケートによると、転職活動に必要な費用については、約7割の人が10万円未満と回答しています。

また、遠方への転職活動(Uターン・Iターン)の場合は、10万円未満の割合は約4割です。一方で30万円未満が約6割と、多くても30万円程度に抑えていることがわかります。

主な転職活動費は、以下のような費用です。

  • 交通費:面接や選考会場への移動にかかる費用
  • 履歴書/職務経歴書作成費用:写真代、印刷代、郵送代
  • スーツ/靴/バッグ等:面接時に着用する服装にかかる費用

その他、情報収集のための書籍代、スキルアップのための費用がかかる場合があります。

想定外の支出についても考慮しておく

これまで紹介した支出は、通常の生活や転職活動で最低限必要になるものです。しかし、転職活動中に不測の事態が発生し、予期しないお金が必要になることも考えておきましょう。

想定外の支出には、以下のようなものがあります。

  • 家族の事故や病気
  • 転職に伴う引越し
  • 冠婚葬祭
  • 家電の故障
  • 大規模災害

会社を退職後に支払われる可能性があるお金

会社を退職後に支払われる可能性があるお金には、以下があります。

  • 失業手当
  • 退職金

失業手当

失業手当(正式名称は雇用保険の基本手当)は、雇用保険の被保険者が離職した際に、失業中の生活を心配せずに新しい仕事を探せるよう、生活の安定を図るために支給されるものです。

・失業手当を受け取る条件

失業手当を受け取るには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 雇用保険の被保険者であること
  • ハローワークに来所し、求職の申し込みを行い、積極的に就職しようとする意思と能力があるにもかかわらず、職業に就けない「失業の状態」にあること
  • 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヵ月以上あること(特定受給資格者・特定理由離職者は6ヵ月以上)

なお、会社を自己都合で退職した場合、失業手当の受給手続日から7日経過した日の翌日から2ヵ月間手当を受給できません。これを給付制限といいます。給付制限期間中に就職し、一定の要件を満たした場合は再就職手当を受給できます。

・失業手当を受け取る手続き

失業手当を受け取る手続きの流れは、以下の通りです。

  1. 住所地を管轄するハローワークで求職の申し込み
  2. 受給資格の決定
  3. 指定の日時に開催される受給説明会に出席
  4. 失業の認定
  5. 受給

失業の認定を受けるには4週間に一度、指定された日に「失業認定申告書」に求職活動の状況を記入し提出しなければなりません。

退職金

退職金とは会社を退職する際に、会社から支払われる一時金です。

退職金を受け取れるかどうかは、会社の就業規則や退職金規程によって定められます。一般的には、以下の人が退職金を受け取れます。

  • 一定の勤続年数(3年以上)を満たしている正社員
  • 定年退職、会社都合による退職、死亡退職など、退職金支給の対象となる退職事由に該当する
  • 自己都合退職の場合、就業規則等で退職金支給が定められている

退職金は退職所得として所得税の対象となり、金額によっては確定申告が必要な場合があります。

貯金はないけど仕事を辞めるときの対策

転職する場合には6ヵ月分の生活費が必要と紹介しましたが、中には貯金が足りないという人もいるでしょう。その場合、どうすればよいか対策を解説します。

  • 転職先を見つけてから退職する
  • 賞与を受け取ってから退職する
  • 副業による収入を作っておく
  • 実家に戻って支出を最低限に抑える

転職先を見つけてから退職する

貯金なしで仕事を辞める際は、転職先を見つけてからの退職をおすすめします。仕事をしながらの転職活動は時間的制約や体力的な負担があり大変ですが、収入が途切れずに転職できます。

就業と転職活動を両立するためのコツは、以下の通りです。

  • 業務効率を上げ、転職活動の時間を捻出する
  • 休日や休暇を有効活用し、面接や説明会に参加する
  • オンラインの求人サイトや転職エージェントを活用し、効率的に求人情報を収集する
  • 応募書類の作成は、通勤時間や休憩時間を利用する
  • 体調管理に気をつけ、就業と転職活動のバランスを保つ

貯金がない場合の転職活動では、失業期間を可能な限り短くすることがポイントです。そのため、在職中から積極的に求人情報を収集し、応募・面接を進めていきましょう。

賞与を受け取ってから退職する

もし賞与月に近いタイミングで退職を考えているのであれば、賞与を受け取ってから辞めた方が有利です。賞与を受け取ることができれば、退職後の生活費や転職活動費用の一部として活用できます。

また、勤続年数が一定以上であれば、会社によっては退職金を受け取れる可能性があります。退職金は、一般的に勤続年数や役職、退職事由などに応じて金額が決定されます。

副業による収入を作っておく

貯金なしで仕事を辞める場合、「副業による収入を作っておく」ことは有効な対策の1つです。副業で一定の収入を確保しておけば退職後の生活費や転職活動費用を捻出でき、内容によってはキャリアアップにもつながります。

副業には飲食店や店舗でのアルバイト、仕事のスキルを活かしたプログラミングや動画編集、物販ビジネスなどさまざまな種類があります。

副業を始める際は自分の適性やスキルを見極め、本業とのバランスを保ちながら取り組むことが大切です。また、副業の収入が安定するまでには一定の時間がかかるため、長期的な視点を持って取り組む必要があります。

実家に戻って支出を最低限に抑える

1人暮らしの人が貯金なしで仕事を辞める場合、実家に戻るのも1つの方法です。

実家に戻ると、以下のような経済的メリットがあります。

  • 家賃や公共料金、食費などが不要になる
  • 生活必需品や家電製品など、すでに実家にあるものを使用できる

これらのメリットにより、生活コストを大幅に削減できます。特に都市部で1人暮らしをしている場合、家賃の負担が大きいため、実家に戻ることで大きな節約効果を期待できます。

仕事を辞めたいときのお金の相談はFPがおすすめ

仕事を辞めたいと考えているときは、お金についてファイナンシャルプランナー(FP)への相談をおすすめします。

FPに相談する内容としては、効率的な貯蓄の方法や転職前後の生活設計、家計管理についてなどがあります。FPは、お金に関するプロフェッショナルなので、中立的な立場から的確なアドバイスをしてくれます。

FPに相談するメリットは、以下の通りです。

  • 自分の資産や収入の額を率直に話せる
  • お金に関する専門的なアドバイスがもらえる
  • 特定の金融商品をすすめられず、中立的な意見がもらえる
  • 今後の生活設計や老後資金についてのアドバイスがもらえる

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まとめ

転職を考える場合、生活費の6ヵ月分の貯金を準備することが望ましいとされています。しかし、お金が貯まる前に会社を辞めたい人もいるでしょう。

貯金のない人が転職する場合、在職中に転職活動を進め、転職先が決まってから会社を辞めるのが安心といえます。転職先が決まらないうちに会社を辞める場合、退職金や失業手当について調べてから退職しましょう。

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