20代から始めれば長期間の投資が可能です。しかし、「20代って貯金と投資にどのくらい回せばいいの?」「貯金しかしていないけど、投資も始めた方がいいの?」など疑問を持つ人もいるかもしれません。
将来の資産額を増やすには、自分に適した貯金と投資の割合を把握しておきましょう。
この記事では、20代の貯金と投資のバランスや、投資を始める際の注意点を紹介します。
- 20代の貯金と投資のベストな割合
- 20代で投資を始めるメリット
- 20代で投資を始めるときの注意点
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【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩
一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。
20代から始めれば長期間の投資が可能です。しかし、「20代って貯金と投資にどのくらい回せばいいの?」「貯金しかしていないけど、投資も始めた方がいいの?」など疑問を持つ人もいるかもしれません。
将来の資産額を増やすには、自分に適した貯金と投資の割合を把握しておきましょう。
この記事では、20代の貯金と投資のバランスや、投資を始める際の注意点を紹介します。
金融広報中央委員会の調査によると、20代および総世帯の金融商品の保有割合は以下の通りです。
金融商品の種類 | 20代の保有割合 | 総世帯の保有割合 |
---|---|---|
預貯金 | 91.7% | 95.9% |
金銭信託 | 6.3% | 4.6% |
生命保険・損害保険 | 13.9% | 30.2% |
個人年金保険 | 10.7% | 21% |
債券 | 4.4% | 7% |
株式 | 19% | 30.3% |
投資信託 | 24.7% | 26.9% |
財形貯蓄 | 6.4% | 7.3% |
その他金融商品 | 3.3% | 6% |
20代の9割は預貯金を保有している反面、債券や株式、投資信託の保有率は3割にも満たないのが現状です。一方で、総世帯の保有率は株式が30.3%、投資信託が26.9%でした。
金融資産を保有していない世帯を含む20代の平均貯金額は、以下の通りです。
分類 | 預貯金額 | うち定期性預貯金額 |
---|---|---|
総世帯 | 75万円 | 19万円 |
二人以上世帯 | 105万円 | 33万円 |
単身世帯 | 65万円 | 14万円 |
なお、30代の金融資産を保有していない世帯を含む総世帯の平均貯金額は287万円です。社会人になって間もない20代は、30代と比較して収入が少ないことも多く、貯金に回せるお金がないケースは珍しくありません。
しかし20代後半になると、貯金をしている人とそうでない人とで貯金額に大きな差が生まれます。結婚や出産を考えているなら、20代のうちからコツコツ貯めていくことが大切です。
20代の金融資産保有額の平均値と中央値は、以下の通りです。なお、()内の数値は、金融資産を保有していない世帯を含んだときの金融資産保有額です。
分類 | 平均値 | 中央値 |
---|---|---|
総世帯 | 266万円 (151万円) |
120万円 (10万円) |
二人以上世帯 | 403万円 (249万円) |
171万円 (30万円) |
単身世帯 | 219万円 (121万円) |
103万円 (9万円) |
中央値のデータから、金融資産を保有する20代は、100万~170万円の貯金や保険、投資商品を含む貯蓄がある人が多いとわかります。
また、20代が保有している預貯金や株式、投資信託の平均保有額は、以下の通りです。
分類 | 預貯金 | 株式 | 投資信託 |
---|---|---|---|
総世帯 | 131万円 (75万円) |
34万円 (20万円) |
41万円 (23万円) |
二人以上世帯 | 170万円 (105万円) |
27万円 (17万円) |
51万円 (32万円) |
単身世帯 | 118万円 (65万円) |
37万円 (20万円) |
37万円 (21万円) |
20代の金融資産保有額の大部分を占めるのが預貯金です。次に平均保有金額が大きい投資信託でも、預貯金の半分以下となっています。
なお、30代の総世帯の金融資産平均保有額は、株式が140万円、投資信託が64万円です(金融資産を保有していない世帯を含む)。20代は投資に回せるお金が少ないだけでなく、運用期間も短いことで株式や投資信託の保有額が少なくなる傾向があります。
日本証券業協会の調査によると、20代が月々の収入から金融商品に回す割合は、以下の通りです。
分類 | 1~10%未満 | 10~20%未満 | 20~30%未満 | 30~50%未満 | 50%以上 |
---|---|---|---|---|---|
20~24歳 (男性) |
18.5% | 9.2% | 5.8% | 4.6% | 6.4% |
25~29歳 (男性) |
29.9% | 16% | 12.4% | 4.1% | 1.5% |
20~24歳 (女性) |
12.6% | 11.9% | 6.6% | 4% | 2.6% |
25~29歳 (女性) |
25.1% | 15.1% | 7.8% | 4.6% | 4.6% |
20代が毎月金融商品に回す金額で最も多いのは、収入の1~10%という結果となりました。
なお、国土交通省の調査(2022年)によると、20~24歳の平均的な月収は21万8500円、25~29歳は25万1200円と公表されています。したがって、毎月2,000~2万5000円ほど、金融商品に回す人が多いということになります。
また、20代がボーナスから金融商品に回す割合は、以下の通りです。
分類 | 1~10%未満 | 10~20%未満 | 20~30%未満 | 30~50%未満 | 50%以上 |
---|---|---|---|---|---|
20~24歳 (男性) |
6.4% | 2.9% | 3.5% | 4% | 6.9% |
25~29歳 (男性) |
20.1% | 10.8% | 7.2% | 7.2% | 8.2% |
20~24歳 (女性) |
4.6% | 4.6% | 4.6% | 4% | 2.6% |
25~29歳 (女性) |
10.5% | 6.8% | 5.5% | 6.8% | 13.7% |
20~24歳男性と25~29歳女性では、ボーナスの50%を金融商品に回していると回答した人が多い結果となりました。
20代が貯金と投資の割合を決めるときは、以下のポイントを押さえることが大切です。
理想的な投資割合の目安を知りたいときは、「エイジスライド方式」を活用するのがおすすめです。エイジスライド方式とは「120-年齢」を投資の割合の目安にする方法です。
25歳であれば「120-25=95」で、預貯金の95%が投資割合の目安となります。例えば、毎月5万円を貯金している人であれば、4万7500円を目安に投資するということです。
エイジスライド方式では、年齢を重ねるほど、投資の割合が小さくなります。投資に失敗して損失を出したときに、老後への貯蓄がなくなって生活が苦しくなるリスクが高いためです。
なお、三菱UFJ銀行で運用性商品を保有している20代の円貯金や投資信託などの割合は、以下の通りです。
円預金 | 79% |
---|---|
投資信託 | 15% |
外貨 | 5% |
金融商品仲介 (株式・債券など) |
1% |
運用割合 | 21% |
このデータでは、金融資産における投資信託などの運用性商品の割合が21%と公表されています。エイジスライド方式で算出できる割合はあくまで目安とし、投資初心者の人は20%前後から少しずつ増やしていくのがよいでしょう。
20代の人が貯金と投資の割合を決めるときは、目標金額と達成したい時期を明確にしておくことが大切です。例えば「5年後までに住宅購入費の頭金を貯める」のように決めておけば、毎月どのくらい貯金して、どのくらい投資に回していいのか計画が立てやすくなります。
基本的に、投資は運用期間が長いほど、損失リスクを抑えられます。そのため、直近で必要なお金なら、すぐに引き落とせる預貯金をメインに貯蓄し、余裕があれば投資に回すのがおすすめです。
一方、子どもの教育資金や老後資金など、目標金額の達成までに時間があるときは、投資の割合を増やして資金を準備するのがよいでしょう。
すぐに使うお金としばらく使わないお金を分けてから、貯金と投資の割合を決めるのもおすすめです。
投資には、いますぐ使う必要のないお金や生活に影響の出ないお金、つまり、余剰資金を活用するのがポイントです。余剰資金を投資に回せば、生活水準を維持しながら資産形成ができるでしょう。
三井住友カード株式会社による20代を対象とする「投資に関する意識調査」では、20代の約3割が投資をしていると公表されています。投資をしている男性は36.8%、女性は21.8%で、男性の方がやや割合が大きい結果となりました。
なお、「現在はしていないが、近いうちにしたいと思っている」と回答した人が3割いるため、投資に意欲的な20代は6割ほどいるといえます。
以下の理由から、投資は20代から始めるのがおすすめです。
複利とは、投資で得られた利益を元本に加え、大きくなった元本でさらなる利益を得る仕組みです。複利効果を最大限に活用して大きな利益を得るには、より早いタイミングで投資を始めることが大切です。
20代の早いうちから投資を始めれば、複利効果を生かし、効率的に資産を増やせる可能性があります。
例えば、20歳から65歳まで毎月5万円ずつ積立投資を続けた場合に形成できる資産額は以下の通りです。
20代から投資を始めることで、無理のない範囲で老後資産を準備しやすくなります。
65歳までに1000万円準備するとして、25歳から資産形成を始めれば、利回りを考慮しなくても単純計算で毎月約2万円老後資産に回すことになります。一方、45歳から始めると毎月約4万円を老後資金に回さなければなりません。
老後まで時間がある20代から始めれば、毎月無理なく老後資金を貯められるでしょう。
長期運用を前提とした積立投資で元本割れのリスクを抑えながら資産形成ができることも、20代から投資を始めておきたい理由の1つです。
株価などの価格が変動する金融商品は、短時間で見ると価格が上がったり下がったりするため、一度にまとめて大きな金額を投資すると元本割れをする可能性があります。そこで購入時期を分けて、同一銘柄を一定金額で定期的に購入する「ドルコスト平均法」を活用すれば、価格変動リスクを抑える効果が期待できます。
ドルコスト平均法では、価格が高いときに購入口数が少なく、価格が低いときに購入口数が多くなるため、投資商品の取得単価を平均化できます。これにより、価格が上がり切ったときに購入する「高値掴み」による損失リスクを抑えられます。
20代が投資を始めるときは、以下の点に注意しましょう。
前述の通り、投資には元本割れリスクがあります。投資金額が大きくなるほど、損失を受けるリスクも大きくなるため、まずは少額から投資を始めるのがよいでしょう。
投資の知識や経験が身に付いたり、金銭的な余裕ができたりしたタイミングで、少しずつ投資金額を増やすのがおすすめです。
投資の運用次第では、すぐに損切りするのを避けた方がいい場面があります。損切りとは、損失が発生している株式などを売却して、損失を確定させることを指します。
短期投資では、損失を抱えないために損切りが有効な手段となりますが、長期運用で利益を得るためには、少しの値下がりで損切りするのはおすすめできません。金融商品の価格が一時的に下がっても、長期的に見ると相場が回復することがあるためです。
ネット上には、投資のさまざまな情報が公開されていますが、すべての情報が正しいとは限りません。情報を鵜呑みにせず、取捨選択をすることが大切です。
ネットから投資の情報を集める際は、発信元の信頼性を確認したり、複数の情報源を参考にしたりしましょう。
貯金と投資の割合や、自分に適した投資方法を知りたい人は、お金の専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのがおすすめです。
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収入や貯金を投資に回している20代は、3割ほどと少ない傾向があります。しかし、20代は複利効果や長期運用によるリスク分散が期待できるため、投資に適したタイミングといえます。
20代が投資を始める際は、事前に目標金額を決めたり、余剰資金を確認したりすることが大切です。
自分の収支に応じた適切な貯金・投資の割合や、投資方法に悩んだときは、FPに相談してみましょう。
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