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ふるさと納税したら確定申告が必要?ワンストップ特例申請をしていない人や個人事業主は必須

執筆者:佐藤 憲亮

【記事執筆】税理士佐藤 憲亮

「お客様との対話を大事に」をモットーに、気軽に相談できる専門家として税務顧問業務をメインに活動。税務記事や税務論文の執筆もおこなっている、書くことが好きな税理士。税理士事務所で12年の実務経験を積み、2020年に税理士登録。

ふるさと納税は、地方自治体に寄附をすることで、一定の控除を受け、さらに返礼品を受けとることができる制度です。

ふるさと納税による控除を受けるには、確定申告が必要な場合と不要な場合があります

この記事では、ふるさと納税に関連する確定申告の要否、手続き方法、必要書類について解説します。

ここの記事でわかること
  • ふるさと納税で、確定申告が必要な人
  • 確定申告のやり方や必要書類

ふるさと納税したら確定申告は必要?

ふるさと納税による控除を受けるためには、個人の属性や選択によって確定申告が必要となる場合があります。

ここでは、確定申告が必要となる要件を属性別に解説します。

給与所得者

給与所得者の多くは、年末調整をすることで所得税の計算を行います。

しかし、年末調整では、ふるさと納税による寄附金控除の適用を受けることはできません

そのため、以下に該当する場合、確定申告を行う必要があります。

  • ワンストップ特例制度を利用していない
  • 2箇所から給与を受給している
  • 副業等を行って給与以外の所得が年間20万円を超える
  • 給与収入が2000万円を超える
  • 初年度の住宅ローン控除を受ける
  • 医療費控除の適用を受ける

給与所得者の場合、「ワンストップ特例制度」を利用する人が多いでしょう。

ワンストップ特例制度を利用する場合については、後述します。

また、2年目以降の住宅ローン控除の適用を受けようとする場合は、確定申告は不要です。

個人事業者

個人事業者は、年末調整を行わないため、確定申告を行う必要があります。

確定申告書を提出しないと、その年の所得金額が確定しません。

赤字の場合は、確定申告を行わなくても税負担は生じません。

ただし、金融機関から借入等を受ける場合は、過去3年間分の確定申告書の控えの提出を求められます。そのため、赤字であっても、個人事業者は必ず確定申告をするようにしましょう。

個人事業者がふるさと納税の控除を受けるためには、寄附金控除等の必要事項を申告書に記載して、寄附金受領証明書を添付する必要があります。

確定申告書を提出する際には、帳簿や領収書などの書類関係は提出不要ですが、事業所で原則5~7年間保存が必要です。

誤って処分してしまわないように気を付けましょう。

年金受給者

年金受給者の場合、通常の年金所得に対する申告が必要ない場合でも、ふるさと納税により確定申告が必要になることがあります

年金受給者が確定申告を行う際には、年金受給額の明細書や寄附金受領証明書が必要です。

また、年金以外の所得がある場合は、それらの所得に関する書類もあわせて準備し、必要に応じて提出するようにしましょう。

ワンストップ特例制度

ワンストップ特例制度とは、確定申告をせずに寄附金控除の適用を受けることができる制度です。

「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入し、1月10日までに、寄附をした団体に提出する必要があります。

ただし、ワンストップ特例が利用できるのは、寄附先の自治体が5団体までです。

また、そもそも確定申告が必要な人は、ワンストップ特例制度を利用できません。確定申告を行った時点でワンストップ特例の適用が取り消されます。

確定申告でふるさと納税の控除を受けるには?

ふるさと納税の控除を受けるためには、確定申告書のほか、以下の書類が必要です。

  • 寄附金受領証明書
  • 年間の収入を証明する書類(給与所得の源泉徴収票、事業所得の場合は帳簿類など)

確定申告書の書き方

確定申告書には、所得ごとの収入金額や所得金額を記載します。

寄附金については、寄附をした団体名、寄附金額などを正確に記載します。

また、その他の所得控除や税額控除の適用を受ける場合は、漏れなく記載します。

確定申告書の提出方法

確定申告書は、郵送またはe-Taxを利用した電子申告のいずれかで提出します。

郵送の場合は、必要書類を同封し、税務署宛てに送付します。

郵送する場合は、控えに受領印をもらうため、必ず控えと切手を貼った返信用封筒を同封するようにしましょう。

e-Taxで電子申告する場合は、事前に利用者識別番号を取得し、マイナンバーカード、カードリーダー等を準備する必要があります。

提出書類は、国税庁HPにある「確定申告書等作成コーナー」が便利です。

なお、電子申告を行う場合は、寄附金受領証明書などの書類添付が省略できます。

ふるさと納税にかかる確定申告Q&A

ここからは、ふるさと納税の確定申告に関する、よくある質問に回答します。

  • ふるさと納税と住宅ローン控除は併用可能?

    ふるさと納税と住宅ローン控除は併用可能です。

    ただし、住宅ローン控除とあわせて受けられる控除の総額には限度があります。

    住宅ローン控除は所得税から控除し、控除しきれない一定金額は住民税から控除することとなります(上限9万7500円)。
    なお、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用した場合の寄附金控除は、全額住民税から控除されます。

    そのため、住宅ローン控除を全額控除しきれない場合には、ふるさと納税をワンストップ特例制度で申請することで、トータルの控除額を最大限利用することができます。

  • ふるさと納税と医療費控除は併用可能?

    ふるさと納税と医療費控除の併用は可能です。

    医療費控除はふるさと納税と同じ所得控除のため、医療費控除の額が多くなるとふるさと納税の控除上限額は少なくなります。
    そのため、ふるさと納税を行う場合は、医療費控除の額を考慮して行う必要があります。

ふるさと納税上限額早見表

ふるさと納税は、所得の種類、所得控除、税額控除の有無によって控除できる金額が変わります。

ここでは、属性別のふるさと納税上限額早見表を紹介します。

給与所得者

給与収入 独身or共働き夫婦 片働き夫婦+子1人(高校生) 共働き夫婦+子2人(大学生+高校生)
300万円 2万8000円 1万1000円 7000円
400万円 4万2000円 2万5000円 2万1000円
500万円 6万1000円 4万円 3万6000円
600万円 7万7000円 6万円 5万7000円
700万円 10万8000円 7万8000円 7万5000円
800万円 12万9000円 11万円 10万7000円
900万円 15万2000円 13万2000円 13万円
1000万円 18万円 15万7000円 15万4000円
(※)社会保険料控除額について、給与収入の15%と仮定しています。

給与所得者(住宅ローン控除30万円/年)

給与収入 独身or共働き夫婦 片働き夫婦+子1人(高校生) 共働き夫婦+子2人(大学生+高校生)
300万円 1万5000円 7,000円 6,000円
400万円 2万2000円 1万4000円 1万3000円
500万円 3万6000円 2万3000円 2万円
600万円 5万2000円 3万6000円 3万3000円
700万円 10万8000円 6万1000円 5万円
800万円 12万9000円 11万円 9万4000円
900万円 15万2000円 13万2000円 13万円
1000万円 18万円 15万7000円 15万4000円
(※)社会保険料控除額について、給与収入の15%と仮定しています。
(※)ふるさと納税による所得控除前の限度額を算出しています。

給与所得者(医療費控除30万円/年)

給与収入 独身or共働き夫婦 片働き夫婦+子1人(高校生) 共働き夫婦+子2人(大学生+高校生)
300万円 2万1000円 4,000円 -
400万円 3万5000円 1万8000円 1万4000円
500万円 5万3000円 3万3000円 2万9000円
600万円 6万9000円 5万3000円 5万円
700万円 9万9000円 7万円 6万7000円
800万円 12万1000円 10万2000円 9万8000円
900万円 14万4000円 12万5000円 12万1000円
1000万円 16万8000円 14万9000円 14万6000円
(※)社会保険料控除額について、給与収入の15%と仮定しています。

自営業/個人事業主

事業所得 独身or共働き夫婦 片働き夫婦+子1人(高校生) 共働き夫婦+子2人(大学生+高校生)
300万円 5万3000円 3万3000円 1万5000円
400万円 7万5000円 5万9000円 5万5000円
500万円 11万2000円 8万1000円 7万8000円
600万円 13万8000円 11万9000円 11万5000円
700万円 16万4000円 14万5000円 14万1000円
800万円 19万円 17万1000円 16万7000円
900万円 22万5000円 19万7000円 19万3000円
1000万円 25万2000円 23万9000円 22万9000円
(※)国民健康保険は、所得金額×10%と仮定しています。
(※)国民年金保険料は、1万6520円/月を本人分のみ控除しています。

年金受給者

年金収入 独身or共働き夫婦 片働き夫婦+子1人(23歳以上) 共働き夫婦+子2人(23歳以上)
300万円 3万1000円 1万5000円 1万5000円
400万円 5万2000円 3万2000円 3万2000円
500万円 7万1000円 5万4000円 5万4000円
600万円 10万3000円 7万4000円 7万4000円
700万円 12万5000円 10万7000円 10万7000円
800万円 14万9000円 13万円 13万円
900万円 17万4000円 15万5000円 15万5000円
1000万円 20万9000円 18万1000円 18万1000円
(※)国民健康保険は、年金収入×7%と仮定しています。
(※)年金受給者、および配偶者の年齢は65歳以上70歳未満で計算しています。

まとめ

ふるさと納税を行った場合の確定申告の要否とやり方、寄附金控除の限度額を解説しました。

1箇所のみから給与を受給している給与所得者は、原則的に確定申告は必要ありません。寄付先を5団体以内にし、ワンストップ特例制度を利用することが理想です。

年金収入のみの人も、ワンストップ特例を利用した方が確定申告の手間がかからず、おすすめです。

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