車を購入する際は、一定期間乗ったあとで売却することを前提にしている人もいるでしょう。しかし、ローンの残高が残っていると、そのままでは売却できないケースもあるので注意が必要です。
この記事では、ローンの返済中に売れる場合と売れない場合の違いや、売却できないときの対処法、ローンを滞納したときの流れを解説します。
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【監修】株式会社RKコンサルティング河合 克浩
一般企業、外資系金融機関を経て、現在はファイナンシャルプランナー(FP)として年間150件超のお金の相談に対応。難しく感じる経済やお金の話をわかりやすく説明することに定評がある。夢を実現するため相談者に寄り添い、人生が豊かになるサポートを心がけている。
車を購入する際は、一定期間乗ったあとで売却することを前提にしている人もいるでしょう。しかし、ローンの残高が残っていると、そのままでは売却できないケースもあるので注意が必要です。
この記事では、ローンの返済中に売れる場合と売れない場合の違いや、売却できないときの対処法、ローンを滞納したときの流れを解説します。
自動車ローンを返済中でも自動車を売却することは可能です。ただし、通常の売却と異なり、ローンが残っている車を売る場合には、売却価格でローンを完済できるかどうかによって状況が変わってきます。
一般的に、車を売却するためには名義変更をしなければなりませんが、ローンが残っている車は名義変更ができません。まずはローンを完済することが売却の必須条件です。ローン残高(残債)より売却金額が高ければ、それを残債に充てて返済を終わらせ、車を売ることができます。
ローンが返済途中の車を売却する流れは、以下の通りです。
売却価格でローンを完済できない場合、車の名義変更ができないため、そのままでは車を売却できません。
「所有権留保」といって、車の名義人がディーラーやローン会社になっているケースでは、完済するまでの所有権はディーラーやローン会社側にあります。そのため、勝手に売却したり、車の名義変更をしたりすることはできません。
対処法としては、次の手段が考えられます。
車を売って返済に充てることができない場合の対処法は、次の通りです。
ローンの借り換えとは、いま残っているローンと同じ金額を別の金融機関やローン会社で借入し、そのお金で現在のローンを完済する方法です。
借り換えによって現在のローンを一旦完済することで、車の所有権を自分に移し、ローンの返済を継続できます。借主は自分の車をそのまま使い続けることが可能です。
また、借り換え先でローンを契約する際に、元のローンよりも返済期間を延長したり、月々の返済額を減額したりすることができます。カードローンなどほかのローンも抱えている場合は、それらをまとめて一本化する方法もあります。
借り換え先のローンが、元のローンよりも金利が高かったり、金利が同程度であっても返済期間を延長したりすると、以前のローンより利息負担が増大します。
また、ローン会社によっては、期間を繰り上げて一括返済すると所定の手数料がかかります。残高と残りの返済期間によってはその手数料が高額になる可能性もあります。
任意売却とは、ローンの借主が貸主の許可を得て車を売却することです。売却見込額がローン残高を下回っても売却したい場合には、この方法を採ることになります。差額分はローンとして残り、返済を継続していきます。
任意売却では、ローンを自力で完済することになります。そのため、差し押さえとは異なり、ブラックリスト入りする心配がありません。信用情報に傷がつかないため、再び車を購入したい場合にカーローンを利用できる可能性があります。
任意売却を行う場合、ローン会社に連絡して承諾を得なければなりません。ローン会社との交渉次第では難色を示されたり、借り換えなど別の手段を勧められたりする可能性もあります。
債務整理とは、法的な手続きを行い、債務を減額または免除してもらう方法です。
債務整理には任意整理、自己破産、個人再生があります。自己破産と個人再生では、原則としてすべての債務を対象に平等に整理しなければなりません。任意整理では、整理したい債務を自分で選択できます。
整理後3年以内に完済するなどの条件はつきますが、返済条件の大幅な見直しや金利の免除をしてもらうことで、無理のない範囲で返済を継続できます。
また、債務整理の方法によっては車を手元に残すことが可能です。例えば、任意整理でカーローンだけを整理する、またはカーローン以外の債務を任意整理してカーローンの返済に回す余裕を作るなどが考えられます。
差し押さえと同様、任意整理ではブラックリスト入りの可能性が高くなります。
ローンの契約時に所有権留保が付いていた場合、たとえ任意整理であっても車の引き上げが発生します。また、クレジットカードで返済を行っていた場合も、当該クレジットカードを任意整理しようとするとカーローンも同時に整理対象となり、車を引き上げられます。
債務整理の相談については、こちらの記事を参考にしてください。
参考:費用が安い債務整理の借金相談ができるおすすめ事務所ランキング|マネーセレクト
自動車ローンを滞納してしまい、いずれ車が使えなくなってしまうかもしれないと心配な人もいるかもしれません。どのような流れで督促が来るのでしょうか。
ここでは、ローンを滞納した場合に、車が使えなくなるまでにどういった経過をたどるのか解説します。
引き落とし日を4~5日過ぎた場合は、まだ事態は深刻ではありません。以下の理由が考えられるからです。
1週間程度で再引き落とし予定日と金額が記載された催促状(督促状)が届いたり、確認の電話が入ったりします。ここで速やかに振込や口座入金ができれば、深刻な問題には発展しません。
督促状に記載された再引き落とし日にも入金が確認できないと、深刻度が増します。本人への電話連絡による確認の頻度が増えるほか、連帯保証人がいる場合にはそちらにも連絡が行くでしょう。
それでもまったく連絡がつかないなど、本人と連帯保証人のどちらも支払いに応じない場合、自宅や緊急連絡先として登録された住所に担当者が訪問するケースもあります。
督促・訪問を経てもなお未払いで、翌月の引き落とし日にも入金がないと、連続2ヵ月分の滞納となり、車の「引き上げ」が視野に入ってきます。
引き上げとは、車を名義人であるローン会社に強制的に回収されることです。引き上げは一時的な対応ですが、車の名義人がローン会社なので拒否できません。車は使用できなくなります。
この時点で滞納分のローンと所定の遅延損害金を支払えば、まだ車を返してもらえる可能性は残っています。
引き上げの段階でも払えなければ、車は差し押さえられ、手元に戻ってくることはないでしょう。また、住所・氏名といった個人情報は信用情報機関に登録されます。いわゆるブラックリストに掲載されます。
今後の金融機関からの借入やクレジットカード・携帯電話・不動産の契約など、社会的信用が必要な行動に支障が出ることを覚悟しなければなりません。
ローンの返済は一度滞ると、悪循環に陥るケースが多いです。長く延滞して遅延損害金が上乗せされれば月々の返済総額は増えていき、連続で延滞するとローン会社の心証も悪くなります。
返済に困って手遅れにならないためにも、収支のバランスを把握したり、資金計画そのものを定期的に見直したりすることが重要です。
収支管理は、できればローンを組む前からしっかり記録しておきましょう。
どの程度の返済額までなら月々返していけるのかを把握するのはもちろんですが、自動車保険や車検費用といったローン以外で定期的にかかる維持費も考慮に入れましょう。
忘れがちなエンジンオイルなどの消耗品費も込みで月々に換算すると、思ったよりも高額になる可能性があります。
定期的に資金計画を見直すことも重要です。ローンを組んだ当初は問題がなかった返済計画でも、予期せぬ出費が発生したりして状況が変わる可能性も考えられます。
車の売却を視野に入れて資金計画を立てていた場合は、買取市場の相場を定期的にチェックすることも大切です。
想定より収支がきつくなってきたことがわかったら、査定額が下がらないうちに早めに売却することも検討しましょう。
ローンが払えなくなったからといって、すぐに車を売って解決できないケースもあります。所有権留保の付いた車は、売却額がローンの残高に満たなければ売ることができません。借り換えや任意売却、債務整理などの方法もありますが、愛車の引き上げや差し押さえ、ブラックリストへの登録などデメリットも多いため注意が必要です。
ローンの返済を滞りなく行うためには、収支管理や資金計画の定期的な見直しが大切です。
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