旧耐震基準の物件を購入するデメリットは、以下の通りです。
- 耐震性が低い
- 設備や共用部が劣化している可能性がある
- 住宅ローンが借りにくい
- 税制優遇が適用されない
- 修繕費用や修繕積立費用が高くなる可能性がある
耐震性が低い
旧耐震基準に求められる耐震性は、震度5程度の中規模の地震です。震度6以上の大地震では崩壊のリスクがあります。
日本は地震大国であるため、耐震基準は大きな地震が起こるたびに見直されてきました。ところが、旧耐震基準は1981年以降に起きた地震に関する教訓は活かされていません。
また、建築開始当初は旧耐震基準を満たしていても、建物の経年劣化とともに耐震性も変化している可能性もあるでしょう。
そのため、戸建てなど自分で補強工事ができる場合は、耐震性を高める工事を別途行うと安心できます。もともと地盤が強固なところに立っている物件を選ぶのも有効です。
設備や共用部が劣化している可能性がある
旧耐震基準の建物は、築40年以上の建物であることが想定されます。建物そのものが老朽化している可能性があることに注意してください。鉄筋コンクリート造りでも、コンクリートのひび割れなどから鉄筋の腐食の原因となり耐久性が損なわれます。
また、電気・ガス・給排水の設備などは適切に管理・補修が行われていないと、漏水や停電、臭気発生などのトラブルにつながりかねません。
階段(非常階段を含む)やエレベーター、廊下やエントランスなどの共用部も、きちんとメンテナンスされていないと、見た目や利便性を損なうことがあります。
住宅ローンが借りにくい
前述の通り、旧耐震基準の物件は担保としての評価額が低いため、住宅ローンが組みにくいです。
また、住宅ローン控除を受けるためには「耐震基準適合証明書」を取得する必要があります。
税制優遇が適用されない
一般的には、旧耐震基準の物件は不動産取得税・登録免許税の軽減措置は適用できません。
ただし、以下の措置を行えば旧耐震基準の物件でも軽減措置が適用できるようになります。
不動産取得税(東京都の場合)
- 耐震基準に適合しない中古住宅(床面積50㎡以上240㎡以下)を、取得から6ヵ月以内に耐震改修工事を行い、耐震基準適合の証明を取得し、取得者が工事完了後の住居に居住する。
登録免許税
- 耐震改修工事等を行い、耐震基準適合の証明書又は住宅性能評価書(耐震等級が1、2、3に限る)を取得する
修繕費用や修繕積立費用が高くなる可能性がある
マンションであれば、共用部の修繕工事のために修繕費用を所有者から徴収します。十数年に1回の大規模修繕に備えて、所有者は毎月一定額を修繕積立金として支払うのが一般的です。
旧耐震基準の古い物件では、さまざまな部分が劣化するため修繕費用が高めになる可能性があります。そのため、月々の修繕積立金の負担も大きいことが想定されます。
また、修繕積立金は、基本的には管理組合が作った長期修繕計画に従って使われますが、不測の事態や災害などの特別な事情で取り崩すこともあるので、その後の積立負担が増える可能性もあります。