電子マネーで給与払い。「デジタル給与」の概要・メリットをわかりやすく解説

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9月13日、厚生労働省の労働政策審議会において、デジタル給与払いの導入について大筋合意されました。

デジタル給与払いとは、企業が労働者に電子マネーで給与を支払うこと。

デジタル給与払いの導入については、2017年から議論が行われていましたが、ついに本格的な運用が始まる見通しです。

その開始予定時期や概要、導入するメリットについて解説します。

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デジタル給与はいつから始まる?

デジタル給与払いは、2023年の春に始まる見通しです。

これまで労働者を保護する観点で、日本労働組合連合会を中心に懸念事項が指摘されていました。

今回の労働政策審議会の制度設計案では、主に「労働者の同意」「資金移動業者の指定要件」「厚生労働省による指定・指定取消」が骨子となっています。

特に知っておきたいポイントをまとめました。

  • 企業は労働者にデジタル給与の支払いを強制しないこと
  • デジタル給与として支払える口座残高は100万円を限度とすること
  • 1円単位で換金可能で、毎月1回は手数料の負担なく受け取れること

デジタル給与として支払える口座残高の上限を100万円とし、もし100万円以上になる場合は、当日中に現金化するか、労働者が指定する銀行口座に送金する、としています。

デジタル給与を取り扱う資金移動業者は、第2種(100万円相当額以下の送金のみを扱う資金移動業者)に限定されており、厚生労働大臣から指定を受ける必要があります。

厚生労働省の「資金移動業者の口座への賃金支払について課題の整理7」で示した案によると、指定を受けるには5つの要件を満たす必要があるとしています。

出典:厚生労働省 資金移動業者の口座への賃金支払について課題の整理7

この内容を要約すると、以下の通りです。

  • 資金移動業者が破産した場合も労働者を保証するしくみがある
  • 労働者の責任外の損失が出た場合に損失を補償するしくみがある
  • 労働者はATM等で現金の受け取りができ、毎月1回以上は手数料無し。資金移動は1円単位でできる
  • 業務状況や財務状況を国に報告できる体制がある
  • 十分な技術力や信頼性がある。(個人情報保護やシステムエラー時の対策等)

2022年8月31日時点で資金移動業者は85社で、PayPayや楽天ペイもデジタル給与の参入を検討しています。

対象となる事業者がどこまで指定を受けられるのか、今後も注目です。

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デジタル給与のメリットは?

電子マネーで給与が振り込まれるしくみのため、残高に「チャージ」する手間が減ります。キャッシュレス決済がより便利になるでしょう。

銀行口座が開設できなかった外国人労働者にとっても、給与のやり取りがスムーズになる点はメリットです。

企業にとっても人材確保に動きやすくなるので、個人と企業の両面でメリットがあります。

一方、セキュリティや不正引出などのリスク、本件の主体である厚生労働省と金融庁との連携がうまくいくのか等を懸念する声も挙がっています。

今後の動向に注目が集まります。

出典
厚生労働省 資金移動業者の口座への賃金支払について課題の整理7
金融庁 資金移動業者登録一覧
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