車のサブスクリプションとは?
まず「サブスクリプション」とは、定額制のサービスのことを指します。月々定額で音楽が聴き放題、ドラマや映画が見放題のサービスなどがサブスクリプション(サブスク)と呼ばれています。
車のサブスクリプションの場合、月々定額料金で車両代金、登録諸費用、自動車税、車検整備代金や定期点検整備費用、自動車保険(任意保険)など、車を維持するにあたり必要な費用が全て含まれます。必要なものは、ガソリン代と保管に必要な駐車場代です。マイカーリースも一種のサブスクリプションですが、自動車保険は含まれておりません。マイカーリースで車を契約した場合には、自動車保険に別途加入が必要です。
車検時の費用(10万円前後)や毎年の自動車税(2.0Lの乗用車で4万円弱)の支払いでは、まとまったお金が必要になります。サブスクリプションの場合、すべて月額料金に含まれていますので、まとまったお金は不要です。お子様の将来のために月々積み立てたいのに車にかかる費用が気になる方々などにとっては、車への出費が明確になることで家計のやりくりがしやすくなります。
サブスクリプション、カーリース、カーシェア、レンタカーそれぞれのメリット・デメリットは?
サブスクリプション
月々一定料金の支払いで車に乗ることができるサービスです。契約期間は3年間ですが、途中での乗り換えも可能で、カーリースとは異なり、中途解約時の追加清算金も少ないのが特徴です。月々の料金には、車両代金、登録諸費用、自動車税、車検整備代金や定期点検整備費用、オイルなどの消耗品の交換、自動車保険(任意保険)が含まれています。
■メリット
車にかかる費用が毎月一定額のため、家計のやりくりがしやすくなります。自動車保険も含まれており、改めてご自分で契約する必要がありません。保険料は、年齢や等級に関係なく、すべての人が同じ料金・同じ契約内容です。自動車保険が割高な10代、20代前半などの運転歴が浅い方々には大きなメリットと言えるでしょう。
車検整備や定期点検などメンテナンス費用も含まれているため、安心・安全に乗ることができます。また、ライフステージに応じて、3年ごと気軽に乗り換えが可能で、常に新車に乗り続けることができます。死亡時、免許返納時、海外転勤などでやむを得ず車の運転ができなくなった場合には、中途解約金の支払いはありませんので安心です。
■デメリット
万一の事故の際に備えて自動車保険に加入していますが、「修復歴有」となる事故を起こしてしまったり、擦り傷が多数あったりすると、返却時に別途追加料金が必要になる場合があります。また、車体を低くするローダウンなど車両の改造はできません。車内での喫煙、ペットの同乗も禁止です。小さなお子様が乗車する場合には、車内を汚してしまう可能性がありますので気を遣います。
3年契約のため、5年や7年の長期ローンやマイカーリース契約と比較して、月額料金は割高になります。また、自動車保険まで含めたサブスクリプションは、トヨタ車とレクサス車のみで車種も限定されています。他のメーカーの車種は選
択できませんので、他のメーカーの車種も含めて選びたい場合はマイカーリースでの選択になります。
サブスクリプションのメリット・デメリット
メリット |
- 月々の費用が一定額
- 自動車保険が月額料金に含まれている
- 保険料は年齢や等級に関係なく同料金
- 車検や定期点検などのメンテナンスも含まれている
- 3年ごとに乗り換えが可能
- 死亡時、免許返納時、海外転勤時など中途解約金がない場合がある
|
デメリット |
- 事故歴や擦り傷が多い場合、返却時に追加料金が必要なことがある
- 車内での喫煙、ペットの同乗は禁止
- 車両の改造ができない
- 長期ローンやマイカーリース契約と比較して月額料金が割高
- 自動車保険込みのサブスクリプションはトヨタ車とレクサス車のみ
|
カーリース
カーリースもサブスクリプションの一種で、法人向けのカーリースと個人向けのマイカーリースがあります。法人向けは、リース料が経費扱いとなり会計処理が簡単で節税対策になるため、多くの企業で利用されています。個人向けのマイカーリースの場合は、毎月一定の料金でマイカーを利用でき、契約期間はリース会社にもよりますが、2年から9年など1年単位で長期にわたる契約が可能です。
月々の料金には、車両代金、登録諸費用、自動車税、車検整備代金や定期点検整備費用、オイルなどの消耗品の交換が含まれますが、自動車保険は含まれません。また、定期点検整備や車検整備など含まないカーリースもあるなど、契約内容を自由に選ぶことができるのも特徴です。近年では、リース満了車やレンタルアップ車などの中古車をリースで貸し出す中古車リースもあります。
■メリット
自動車保険は別契約ですが、毎月一定の支払額でマイカーに乗ることができるため、家計のやりくりがしやすくなります。7年や9年のリース契約もあり、月々の支払額を抑えながらマイカーに乗ることができます。サブスクリプション同様、税金や車検整備、定期点検などメンテナンスも含まれるため、安心・安全に乗ることができます。
ライフステージに応じて、リースの契約年数を選び、常に新車に乗り続けられます。そして、サブスクリプションとは違い、国内の様々なメーカー・車種を選ぶことが可能です。
■デメリット
サブスクリプションと違って、おおむね5年未満での中途解約の場合、違約金が高額になる場合があります。また、万一の事故に備えて、車両保険を含めた自動車保険に加入する必要があります。「修復歴有」となる事故の場合や、擦り傷多数の場合には、返却時に別途追加料金が必要になるのはサブスクと同じです。
エアロパーツの取り付けや車両の改造はできません。なお、7年以上の長期リース契約で、契約終了後車が自分のものになるリース会社のプランの場合は、ドレスアップも可能なことがあります。
カーリースのメリット・デメリット
メリット |
- 月々の費用が一定額(自動車保険は別途契約が必要)
- 長期リースが可能なので月々の支払額を抑えられる
- 車検や定期点検などのメンテナンスも含まれている
- リースの契約年数を選べる
|
デメリット |
- 車両保険を含めた自動車保険への加入が必要
- 中途解約の際、違約金が高額になる場合がある
- 事故歴や擦り傷が多い場合、返却時に追加料金が必要なことがある
- 車両の改造ができない(ドレスアップが可能な場合もある)
|
カーシェアリング
マイカーを持たずに、コインパーキングやマンションの駐車場などに用意してある専用車を、不特定多数のサービス登録者が、使いたいときに使いたい時間だけスマートフォン等で予約して利用するのがカーシェアリング(カーシェア)です。
カーシェア大手のタイムズカーシェアの場合、月額基本料は880円ですが、880円分(60分)の利用金額が含まれます。そのため、利用料金が880円以上の方は月額基本料が実質無料になります。一方で、全く利用しなかった月であっても月額基本料がかかりますが、それでも880円の支払いのみで済みます(2020年3月現在)。
プラン |
月額基本料金 |
無料利用料金※ |
特徴 |
個人 プラン |
880円 |
880円 |
タイムズカーシェアの基本プラン |
家族 プラン |
880円 |
880円 |
1人分の月額基本料金で家族全員が利用可能 |
学生 プラン |
無料 |
0円 |
入会月から4年間の月額基本料金が無料 |
法人 プラン |
無料 |
0円 |
月額基本料金が無料(審査あり) |
- ※個人プラン・家族プランの場合、880円分の利用料金に充当可能(繰り越し不可)
- ※学生プランの場合、4年経過後には自動的に個人プランに移行となり、月額基本料金が発生
- ※月をまたぐ利用の場合、返却した月の無料利用料金から充当
- 参考:タイムズカーシェア 月額基本料金
■メリット
駐車場の契約はサービス業者が行いますので、駐車場の費用がかからないことが大きなメリットです。そのため、マンションやアパートにお住まいでも気軽に利用できます。ガソリン代や自動車保険も、すべて利用料金に含まれます。
普段は車が不要な方でも、大きな買い物をして車を使いたい場合など、必要なときにだけ利用できます。基本的に24時間いつでも利用・返却可能です。そして、軽乗用車からコンパクトカー、ミニバン、輸入車まで様々な車種が選べ、用途に応じて好きな車に乗ることができます。また、次に欲しい車の候補車種がラインナップにある場合には、試乗気分で気軽に利用可能です。
家族で利用できるプランもある他、出張先でも車を利用することができるなど便利です。
■デメリット
車を使いたいと思っても、すでに予約で埋まっている場合は利用できません。やむを得ない事情で予約時間内に返却できない場合は、次に予約している方に迷惑をかけてしまいます。
片道利用ができず、借りた場所に必ず返す必要があります。また、買い物をしている時間やどこかに訪問中の時間など、出先で実際に車を使っていない時間も利用時間にカウントされます。
ペットの乗車不可や喫煙の可否などについては、利用約款等をよく読んで確認する必要があります。なお、お住いの近くのカーシェアのステーションが廃止された場合は、利用するのにかえって不便になります。
カーシェアリングのメリット・デメリット
メリット |
- 駐車場の契約が不要
- 必要な時ときに必要なだけ利用できる
- 24時間いつでも利用・返却可能
- 多くの車種の中から選べる
- 家族で利用できるプランもある
- 出張先でも車を利用することができる
|
デメリット |
- 利用したい日に予約が埋まっていたら利用できない
- 予約時間内に返却できない場合は、次に予約している人に迷惑をかけてしまう
- 借りた場所に必ず返す必要がある
- 出先で車を使用していない時間も利用時間にカウントされる
- 近くのステーションが廃止された場合に利用しにくくなる
|
レンタカー
6時間や12時間などの短時間から1か月や2か月など月単位で車を使いたい場合に、車をレンタルして利用するのがレンタカーです。
トヨタレンタカーやニッポンレンタカーなどの大手レンタカー会社と、ニコニコレンタカーやガッツレンタカーなどの格安レンタカー会社があります。大手レンタカー会社は新車をレンタカーとして採用していますが、格安レンタカーは、大手レンタカーのレンタルアップ車やリース車のリースアップ車など中古車をレンタカーとして採用しています。格安レンタカーのガッツレンタカーの場合、4ドア軽乗用車が1か月間29,800円で利用可能です(2020年3月現在)。
■メリット
車を所有しないため、車にかかわる維持費用がまったく必要ありません。また、カーシェアのように会員登録は必須条件ではなく、毎月の基本料金もかかりません。家族でドライブなど、車が必要なときに、必要な時間や日数だけ利用することができます。
利用する場面において、軽自動車からコンパクトカー、ハイブリッドカー、ミニバンなど選ぶことが可能で、荷物だけ運びたい場合には、トラックのレンタカーも用意されます。
自動車保険もレンタル料金に含まれています。また、冬季間のスタッドレスタイヤも装備されているため、マイカーのように自分で購入・交換する必要はありません。なお、冬季間のスタッドレスタイヤ追加料金が必要なレンタカー会社もありますので、格安レンタカー利用時にはよく確認することが大切です。
■デメリット
店舗の営業時間外や、車に空きがない場合は利用できません。そして、店舗に来店する必要があるため、近くに店舗がない場合にはそのほかの移動手段が必要になります。これは返却時にも同じことが言えます。
燃料代はお客様負担のため、満タン返しが基本です。また、返却予定時間より早く返しても返金はありません。そして、行楽帰りの渋滞などで返却が予定時間より遅れる場合、必ず連絡のうえ、延長料金が必要になります。万一の事故に備えての免責補償やノンオペレーションチャージ*についても、しっかり確認しましょう。
- 事故や故障などでレンタカーの修理が必要になった際、利用者がレンタカー会社に支払う修理期間中の休業補償金のこと。
レンタカーのメリット・デメリット
メリット |
- 車の維持費がかからない
- 毎月の基本料金が不要
- 必要な時間や日数だけ車を利用可能
- 用途に応じて多くの車種の中から選べる
- 自動車保険がレンタル料に含まれる
- スタッドレスタイヤでのレンタルが可能(追加料金が必要な場合もある)
|
デメリット |
- 店舗の営業時間外や車に空きがなければ利用できない
- 近くに店舗がない場合不便
- ガソリンは満タンにして返却する
- 返却の予定時間より早く返しても返金されない
- 返却予定時間を過ぎてしまった場合には延長料金が発生する
- 免責補償やノンオペレーションチャージについての確認が必要
|
サブスクリプション、カーリース、カーシェア、レンタカーの比較
サブスクリプション、カーリース、カーシェア、レンタカーは、実際にそれぞれどのくらいの料金がかかるのかを比較してみました(2020年3月現在)。お住いのマンションやアパート、近隣駐車場の月極料金を駐車場代にプラスすることで、車を利用するにあたり、月々どのくらいの料金がかかるのかを知ることができます。
|
サブスクKINTO |
マイカーリース |
カーシェア |
レンタカー |
利用(契約)期間 |
3年 |
2年~9年 |
15分~72時間 |
時間・日・月単位 |
料金体系 |
定額制 |
定額制 |
利用時間による |
利用単位による |
参考料金/月額 |
46,420円 |
54,890円 |
23,540円 |
16,500円 |
整備費用 |
料金に含む |
料金に含む |
必要なし |
必要なし |
自動車保険 |
料金に含む |
別途必要 |
料金に含む |
料金に含む |
燃料代 |
必要 |
必要 |
原則不要 |
必要 |
駐車場代 |
必要 |
必要 |
不要 |
不要 |
登録ナンバー |
通常のナンバー |
通常のナンバー |
「わ」「れ」
ナンバー |
「わ」「れ」
ナンバー |
夜間等急な利用 |
可能 |
可能 |
空き次第で可能 |
不可 |
新車にこだわらないなら中古車の選択も!
車にかかる費用が最も安いのは、今の車をそのまま乗り続けるケースや、格安の中古車を購入するケースです。1.5Lエンジンクラスのコンパクトカーであれば、車両代とは別に、車検費用や税金、年2回のオイル交換費用を含めて月額に換算すると、約8,000円ほどです。
今お乗りの車の月々の支払額に8,000円をプラスした額と、サブスクリプションやマイカーリース、カーシェアの利用料金を比較してみると、現状維持が一番安くなります。例えば、50万円の中古車を購入し、36回払いのローンを契約すれば、月額14,700円(参考金利3.9%)です。維持費をプラスしても22,700円です。
しかし、今お乗りの車が初年度登録から5年以上経過している場合や格安中古車の場合は、メーカー保証がありません。また、車の年数が経過していれば故障のリスクが高まります。故障の際の修理代は、その都度利用者の負担になります。
常に新車に乗ることが可能なサブスクリプションやマイカーリースは、メーカー保証があり、故障のリスクを心配する必要がほとんどありません。車の利用頻度や必要性を考慮した上で、自分に合った車の利用方法を選ぶといいでしょう。
まとめ
あまり使うことのない車を所有するよりも、車の「持ち方」を変えることで、維持費の節約になります。車が好きな方や、どうしても欲しい車がある方は別ですが、一つの交通手段として所有している方は、一度「持ち方」を見直してみてはいかがでしょうか。車の維持費や節約のための家計の見直し、マネープランについては、お金のプロであるファイナンシャル・プランナー(FP)への相談がおすすめです。下記よりお気軽にお問い合わせください。