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賃上げ税制の強化を推進。中小企業が賃上げしやすくなる制度に拡充か

執筆者:川辺 拓也

【記事執筆】FP川辺 拓也

3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。

2023年9月27日に行われた「新しい資本主義実現会議」で、岸田首相は、地方や中小企業における持続的な賃上げに取り組むことを表明しました。

中小企業でも賃金の引き上げが拡大するように「賃上げ税制」の強化を進める見通しです。

この記事では、賃上げ税制の現行制度と、今後の見通しについて解説します。

賃上げ税制

賃上げ税制は、給与の支給額を前年度より増加させると、法人税が優遇される制度です。

企業の規模にかかわらず、所定の要件を満たした場合に適用されます。

大企業と中小企業では、法人税の控除率や適用される要件が異なるので、それぞれ確認しましょう。

大企業の場合

大企業の賃上げ税制は、必須要件と追加要件の2つに分かれます。

出典:経済産業省「賃上げ税制について」(以下同)

給与の支給額の前年度比に応じて、税額控除が受けられます。

  • 前年度比で4%以上増加:25%税額控除
  • 前年度比で3%以上増加:15%税額控除

さらに、教育訓練費が前年度比で20%以上増加した場合、5%の税額控除が受けられます。

教育訓練費の例は以下の通りです。

  • 外部講師等に支払う報酬及び交通費、宿泊費、食費など
  • 教育訓練費を行うための施設費用など
  • 備品、コンテンツ等を使用するために支払う使用料など

大企業の場合は、必須要件と追加要件をあわせると、最大で30%の税額控除が受けられます。

中小企業の場合

中小企業も、大企業と同じく必須要件と追加要件に分かれます。

中小企業の場合、必須要件・追加要件共に、大企業と比べて高い控除率となっています。

中小企業の必須条件は以下の通りです。

  • 前年度比で2.5%以上増加:30%税額控除
  • 前年度比で1.5%以上増加:15%税額控除

さらに、教育訓練費が前年度比で10%以上増加した場合、10%の税額控除が受けられます。

中小企業の賃上げ税制は、最大で40%の税額控除となります。

新たな経済対策

賃上げ税制の拡大については、以下の項目が検討されています。

  • 減税される権利の繰り越し
  • 2024年度以降の税制の継続

減税される権利の繰り越しは、主に赤字になっている中小企業が賃上げ税制の恩恵を受けやすくするために設定されます。

決算期に赤字になっている場合や、繰越欠損金があって法人税を払っていない企業は、賃上げ税制を利用するメリットがありません。

しかし、赤字や繰越欠損金のある中小企業でも、従業員への賃上げを実施して法人税の優遇が受けられるよう、税額控除を適用できる期間を繰り越しできるようにする見通しです。

また、現行制度の適用期間は、2024年3月31日までとなっており、期間を延長することも検討されています。

賃上げ税制の期限については、経済産業省からは、2030年まで延長するよう要望されています。

具体策については10月中に発表される見通しです。

どのように賃上げ税制が拡充されるのか、引き続き注目が集まります。

出典
  • 経済産業省「賃上げ税制について」

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