病気やケガに備えるために医療保険があります。
Ueda Keisho Corp.が新社会人を含めたZ世代の会社員を対象に実施した「保険に関するアンケート調査」によると、約6割が何かしらの保険に加入しており、そのうち4割が医療保険に加入していることがわかりました。
「万一の時の備え」として加入する人の多い医療保険ですが、本当に必要かどうか判断に悩む人もいるのではないでしょうか。
この記事では、公的な保障制度と、医療保険が本当に必要かどうかの判断基準について解説します。
医療保険は必要でしょうか?公的な保障制度と判断基準を教えてください


マネーFix 編集部
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公的医療保険制度
公的医療保険制度とは、業務外のケガや病気の治療にかかる医療費の負担を軽減する制度です。
日本では「国民皆保険」といって、健康保険や共済組合、国民健康保険などすべての人が必ず公的医療保険に加入する必要があります。
そのため、誰もがいつでも、必要な医療を受けることができるようになっています。
病気やケガで治療を受けた際に、保険証を提示すると、公的医療保険で医療費の一部がカバーされます。
自己負担する医療費の割合は年齢や所得によって異なりますが、最も高い場合でも3割で済みます。
高額療養費制度
自己負担割合が3割で済むといっても、医療費が高額になれば、その負担は家計を圧迫する恐れがあります。
高額療養費制度は、医療機関の窓口で支払う医療費が1ヵ月の上限額を超えた場合、その超えた額が支給される制度です。
上限額は、年齢や所得に応じて定められており、いくつかの条件を満たすことにより、負担をさらに軽減する仕組みも設けられています。
出典:厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
例えば、100万円の医療費がかかった場合、窓口負担は30万円(自己負担3割)となります。
しかし、高度療養費制度によって、窓口負担うち21万2570円が高度医療費として支給されるため、実際の自己負担額は8万7430円となります。
つまり、高額な治療を受けたとしても、ほとんどの場合1ヵ月に支払う医療費の金額は8万円程度で済みます。
傷病手当金
傷病手当金とは、業務外の病気やケガなどで働けなくなった場合に支給される生活保障制度です。
この制度は、健康保険の被保険者が対象です。
そのため、国民健康保険の被保険者である自営業者などは対象外です。
傷病手当金の支給額は、おおよそ給与の3分の2の金額とされます。
また、同一の病気やケガに関して最長1年6ヵ月を超えない期間支給されます。
傷病手当金の支給を受けるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 業務外の病気やケガである
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかった
- 休業した期間について給与の支払いがない
医療保険が必要かどうかの判断基準
高額療養費制度もすべての医療費が払い戻しの対象というわけではありません。
差額ベッド代や入院時の食事代などは自己負担になるので注意が必要です。
また、治療方法にも公的医療保険制度の対象外のものがあり、その代表例が先進医療です。
先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いたもので、保険診療との併用を認められた医療方法のことです。
先進医療の技術料は、基本的に全額自己負担となります。
例えば、がん治療の1つである「粒子線治療」は、数十万円から数百万円の費用がかかりますが、全額自己負担です。
ただし、先進医療に付随する検査などは健康保険の対象になる場合があります。
医療保険にオプションでつけることができる先進医療特約であれば、本来全額自己負担となる先進医療の費用を全額、もしくは最大2000万円まで保障してくれます。
このように、公的な医療保険制度が充実しているため、高額な医療保険に入る必要性は低いでしょう。
しかし、公的医療保険では、カバーできない部分もあるので、自分にとって必要な保障内容をよく吟味したうえで、医療保険に加入することが大切です。
医療保険についてさらに詳しく知りたい人は、こちらの記事「医療保険ってどう選べばいいの?」も参考にしてください。
- 厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」