8月に、次年度以降の税制に関する改正要望が各府省庁から提出されました。
税制改正の要望は、国民や各種団体がそれぞれ経済社会の変化を踏まえ、検討すべき課題をまとめて政府へ提出します。
2024年度はどのような税制改正の要望が挙がっているのでしょうか。
この記事では、2024年度の税制改正要望の中で、家計や資産に関わる以下の内容について紹介します。
- 子育て世帯に関わる税制
- 暗号通貨に関わる税制
- 交際費に関わる税制
【記事執筆】FP
川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
8月に、次年度以降の税制に関する改正要望が各府省庁から提出されました。
税制改正の要望は、国民や各種団体がそれぞれ経済社会の変化を踏まえ、検討すべき課題をまとめて政府へ提出します。
2024年度はどのような税制改正の要望が挙がっているのでしょうか。
この記事では、2024年度の税制改正要望の中で、家計や資産に関わる以下の内容について紹介します。
子育て世帯に関わる税制の要望は、次の3つです。
「年少扶養親族」は16歳未満の扶養親族がいる場合に適用できる所得控除で、現在は廃止されている制度です。
「16~18歳までの特定扶養親族に対する扶養控除の上乗せ」は、現行制度の38万円に上乗せして25万円の所得控除が受けられる制度ですが、こちらも現在は廃止されています。
これらの控除制度や、保育費用の補助、学校給食や医療費の無料化が実現すれば、子育て世帯の経済的負担は軽減されるでしょう。
また、奨学金に関する税制の見直しも要望しています。
現行制度では、奨学金の返済に対する控除の仕組みはありません。
一定の収入基準を設けたうえで、所得控除が受けられる制度ができるように要望しています。
政府が掲げる「こども未来戦略方針」でも、奨学金の負担軽減措置が検討されており、今後の焦点になる可能性があるでしょう。
暗号資産に関する税制改正の要望も挙がっています。
暗号資産を売却し利益が出た場合、現行の税制では雑所得に分類されています。
そのため、利益が大きいほど税率が高くなります。
今回の要望では、株式投資と同じ税率にするよう要望しています。
また、暗号資産の相続時の評価額については、「過去3ヵ月の平均時価の最低額を選択可能」にするよう要望しています。
交際費に関する税制を改正する動きもみられます。
厚生労働省は、交際費として損金算入できる1人5,000円の上限額を引き上げる方向で調整に入りました。
物価高による飲食費の高騰が背景にあり、年末にかけて政府内で議論を進める見通しです。
交際費の上限額が引き上げられると、企業や個人事業主の経費に含める額も変わります。
提出された税制改正の要望は、与党税制調査会が審議します。
その後、与党が「税制改正の大綱」として取りまとめ、内閣へ提出されます。
閣議決定された「税制改正の大綱」に沿って、国税の改正法案は財務省が作成し、地方税の改正法案は総務省が作成します。
税制改正は、私たちの生活に直結するものも含まれています。
今後の税制がどのように変わる見通しなのか、注目しましょう。
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