毎月約7300円負担増の可能性。日銀が消費者物価指数を上方修正。将来家計の負担額をシミュレーション

執筆者:川辺 拓也

【記事執筆】FP

川辺 拓也

3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。

7月28日に実施された日銀の「金融政策決定会合」において、経済の先行きや物価情勢の展望が公表されました。

会合では、2023年度の消費者物価指数の見通しを2.5%に修正しました。前回4月の展望と比較すると0.7ポイントプラスとなっています。

今回の発表された2023年度以降の消費者物価指数を踏まえると、今後の生活費はどのように推移するのでしょうか。

日銀の発表内容に基づいた今後の生活の見通しをシミュレーションします。

消費者物価指数の展望

まず、日本銀行が「経済・物価情勢の展望 2023年7月」で発表した消費者物価指数の展望を確認しましょう。

  • 2023年度:+2.5%
  • 2024年度:+1.9%
  • 2025年度:+1.6%

2024年度の消費者物価指数は+1.9%で、4月の発表より0.1ポイント減少していました。

2025年度の消費者物価指数は+1.6%となっています。

今回発表された見通しは、日銀の政策目標となっている+2.0%の物価上昇には届いていません。

では、日銀が発表した消費者物価指数の上昇が実現した場合、今後の生活にどう影響を及ぼすのかシミュレーションしてみましょう。

今後の生活をシミュレーション

消費者物価指数は、基準年の平均的な家計消費を100として、物価にどれだけの変化が生じるかを表した指数です。

消費者物価指数が上昇すると、消費支出が増加するので、家計の負担は増えます。

日銀の展望レポートでは、基準年度を2022年度に設定しています。

総務省の「家計調査報告」によると、2022年の消費支出(二人以上世帯)は1世帯あたり毎月29万865円でした。

仮に2.5%プラスとなった場合に、毎月の負担増は約7,300円(29万円×2.5%)になります。

2023年は、2022年と比べて年間約8万7600円の支出増となります。

同様に、2024年は2023年から1.9%プラス、2025年は2024年の1.6%プラスで計算すると、以下の通りです。

  • 2024年:月約6060円、年間7万2720円
  • 2025年:月約7225円、年間8万6700円

2025年の家計支出は月31万円となり、2022年と比べると年間の負担額は約25万円増えました。

2023年は、特に食品や家具用品をはじめとする生活に身近な商品が値上げされています。

2024年と2025年は、2023年に比べて物価上昇幅が小さいと予想されていますが、日銀は「2024年度は上振れするリスクが高い」との見解を発表しています。

消費者物価は政府の経済政策にも依存するので、今後の政策次第では、指数が抑えられる可能性もあります。

このように、消費者物価指数の変動は、家計支出額に直結します。

次回の10月に発表される「経済・物価情勢の展望」にも、注目しましょう。

出典
  • 日本銀行「経済・物価情勢の展望」
  • 総務省「家計調査報告」

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