7月28日に実施された中央最低賃金審議会において、最低賃金の目安を引き上げる方向で調整が行われました。
引き上げ額の目安は41円となる見通しです。
引き上げによって、最低賃金はいくらになるのでしょうか。
この記事では、最低賃金の概要と、賃金が最低賃金を下回っていた場合の対処法方について解説します。
【最低賃金】全国平均が1,000円超へ。賃金が下回っていたらどうするべきか


【記事執筆】FP
川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
最低賃金とは
最低賃金は、国が定めている「最低賃金法」に基づき、労働者に対して必ず支払うべき賃金水準です。
正規雇用・非正規雇用を問わず、すべての労働者に対して、最低賃金が適用されます。
また、試用期間中であっても、最低賃金は必ず支払わなくてはなりません。
最低賃金には「地域別最低賃金」「特定最低賃金」の2種類があります。
- 地域別最低賃金:都道府県ごとに設定している最低賃金
- 特定最低賃金:特定の産業に対する最低賃金
地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が該当している場合は、どちらか高い方が適用されます。
現行の最低賃金は全国平均で時給961円ですが、41円引き上げられると1,002円となり、初めて1,000円台に到達する見通しです。
都道府県別に見ると、振り分けられたランクごとに最低賃金の引き上げ額が異なります。
出典:厚生労働省「令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について」
Aランクでは41円、Bランクで40円、Cランクで39円の引き上げ額が目安となります。
自分の賃金と最低賃金との比較方法
自分の賃金が最低賃金を上回っているかどうかは、厚生労働省が開示している「地域別最低賃金の全国一覧」「特定最低賃金の全国一覧」で確認します。
時給
時給で働いている場合は、厚生労働省が開示している一覧と比較して、勤務先の時給が上回っているか確認しましょう。
日給
日給で働いている場合は、日給を1日の労働時間で割って、時間単価を計算します。
例えば、1日7時間労働し日給8,050円の場合、時給は1,150円(8,050円÷7時間)です。
算出した時間単価が、最低賃金を上回っているかを確認しましょう。
月給
月給で働いている場合も、考え方は日給と同じです。
月給を1ヵ月の労働時間で割って、時間単価を計算します。
例えば、20日間、1日8時間労働し月給20万円の場合、時給は1,250円(20万円÷160時間)です。
最低賃金を下回っていた場合
自身の時給が最低賃金を下回っている場合は、労働基準監督署に相談しましょう。
労働基準監督署から勤務先に対して是正勧告をしてもらうのがよいでしょう。
守秘義務があるため、誰から告発があったかが公表されることはありません。
新しい最低賃金の適用は、毎年10月からです。
この機会に、勤務先の賃金が最低賃金を上回っているか、確認してみてください。
- 厚生労働省「令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について」