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損しない年金の受給年齢。男性69歳、女性75歳。平均寿命からシミュレーションしてみた

執筆者:川辺 拓也

【記事執筆】FP川辺 拓也

3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。

老後の生活において、公的年金は重要な資金です。

年金は、受け取り時期を遅らせて受給額を増やす「繰り下げ受給」ができます。

しかし、繰り下げ受給をして早くに亡くなったときなど、場合によっては損してしまうのではないか気になる人もいるでしょう。

この記事では、平均寿命をもとに、繰り下げ受給をした場合に損をしない年齢をシミュレーションします。

年金の受け取り時期をいつにするべきか、検討する際の参考にしてください。

繰り下げ受給で損をしない年数

年金を繰り下げ受給した場合、何歳まで生きていると、65歳で受給を始めるよりも多くの年金を受け取ることができるのでしょうか。

65歳で受給する年金を100%とすると、繰り下げ受給をした方が多く年金を受け取ることができる年数は、次の計算式で求めることができます。

[繰り下げ期間(年数)]÷[増額率(0.7%×繰り下げた月数)]

仮に、67歳と75歳まで繰り下げ受給した場合、何歳まで生きていると、65歳で受給を始めるよりも多くの年金を受け取ることができるか計算してみましょう。

67歳から繰り下げ受給する場合
[繰下げ期間(2年))÷[増額率(0.7%×24ヵ月)]=約11.9年

75歳から繰り下げ受給する場合
[繰下げ期間(10年)]÷[増額率(0.7%×120ヵ月)]=約11.9年

つまり、何歳で受給を開始したとしても、約12年間年金を受給し続ければ、65歳から受給したときより受給総額が多くなります。

67歳から繰り下げ受給する場合だと79歳、75歳から繰り下げ受給する場合だと87歳まで生きていると、65歳で受給するよりも多くの年金を受け取ることができます。

平均寿命でシミュレーション

次に、男性と女性の平均寿命から、年金の繰り下げ受給をいつにするべきか考えてみましょう。

厚生労働省の「2021年簡易生命表の概況」によると、男性と女性の平均寿命は以下の通りです。

  • 男性:81.47歳
  • 女性:87.57歳

ここから、12年を差し引くと、受給開始年齢はそれぞれ以下の通りになります。

  • 男性:69歳
  • 女性:75歳

平均寿命以上に生存すると仮定すると、男性は69歳、女性は75歳から年金の受給を始めると、65歳で受給開始するよりも多くの年金を受け取ることができます。

繰り下げ受給で気をつけるポイント

年金の繰り下げ受給によって月々の受給額が増える点はメリットですが、気をつけるべきポイントもあります。

  • 厚生年金の加給年金が受け取れない場合がある
  • 年金受給額が増えると税金や社会保険料の負担が増える
  • 年金を受給しない期間の生活費

加給年金とは、厚生年金に20年以上加入している場合で、65歳到達時、その人に生計を維持されている配偶者や子どもがいると、受給できる年金額が加算される制度です。

 出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

加給年金は、年金を受給していないと受け取れません。

そのため、繰り下げ受給をする場合、年金を受給しない期間は、加給年金は受け取れません。

また、年金の受給額が増えると、納める税金や社会保険料は高くなる点にも注意が必要です。

さらに、年金の受給をしない期間は、生活費や急な病気に備えるためのお金を、自身で確保しておく必要があります。

「受給額を増やす」といった観点だけでなく、税負担や世帯の状況、生活費といった、さまざまな観点から、年金の受給開始年齢を検討しましょう。

何から検討を始めればよいかわからない場合は、FPに相談するのも効果的です。

こちらの記事「ファイナンシャルプランナー(FP)相談サービスのおすすめ8選!」なども参考にしてみてください。

出典
  • 日本年金機構「加給年金額と振替加算」

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