【FPが解説】40歳でフリーランスになりました。退職金500万円をどう使うべきですか?

執筆者:川辺 拓也

【記事執筆】FP

川辺 拓也

3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。

昨今、働き方の多様化により、フリーランス人口が増えています。

会社を退職してフリーランスになったとき、退職先からもらった退職金をどう使うのが有効なのでしょうか。

この記事では、40歳で会社を退職した場合を例に、退職金の効果的な活用方法について解説します。

退職金の効果的な活用方法

一般的に、まとまって受け取った退職金は「何のために」活用するべきなのでしょうか。

受け取った金額、年齢、家族構成によっても変わってきますが、以下のモデルケースで考えてみましょう。

  • 年齢:40歳
  • 世帯構成:妻(会社員)、子ども(5歳)の3人


退職金を使うのがおすすめの項目と、退職金を使わない方がよい項目は、以下の通りです。

退職金を使うのがおすすめの項目

  • 子どもの教育資金の準備を目的にした資産運用
  • 老後資金の準備を目的にした資産運用
  • 住宅ローンの繰り上げ返済を目的にした資産運用


退職金を使わない方がよい項目

  • 住宅購入の頭金
  • 車の購入資金


基本的には、「目的のある資産運用」に使う方がよく、「何かの購入資金」に充てるのは避けた方がよいと考えられます。

資産運用を効果的に行う際に、ポイントになるのは「原資」です。

原資が大きくなればなるほど、運用によって得られる利益は高くなります。

年利5%の場合の年間利益

  • 原資5万円:5万円×5%=2,500円
  • 原資50万円:50万円×5%=2万5000円
  • 原資500万円:500万円×5%=25万円


一般的に、金融商品は複利で運用されるため、効果的な運用が期待できます。

そのため、教育資金や老後資金、住宅ローンの繰り上げ返済資金など「まとまった費用」を準備するために、資産運用をすると効果的です。

一方、住宅の頭金や自動車の購入等に退職金を使い切るのはおすすめしません。

特に、住宅購入の頭金には使わない方がよいでしょう。

ローン残高の0.7%が所得控除できる「住宅ローン控除」や、借入期間中に死亡した場合に返済が不要になる「団体信用生命保険」があるので、頭金を入れてローン残高を減らすメリットはあまり大きくありません。

それよりも、退職金を中長期的に資産運用して、まとまった資金ができてから繰上げ返済に充てる方が効果的です。

次に、「教育資金」「住宅ローン返済資金」「老後資金」は、どのような金融商品で準備すればよいか解説します。

退職金の運用手段

「教育資金」「住宅ローン返済資金」「老後資金」で活用すべき金融商品は、以下の通りです。

  • 教育資金:NISA、投資信託
  • 住宅ローン返済資金:NISA、投資信託
  • 老後資金:NISA、投資信託、小規模企業共済、iDeCo


それぞれの運用期間を「短期」「中期」「長期」の3つに分けて考えると「教育資金」「住宅ローンの返済資金」は中期、「老後の資金」は長期となります。

「短期」の資産運用は元本欠損リスクが高いため、すぐに教育資金や住宅ローンの返済にお金を使いたい場合は、資産運用ではなく、「預貯金」をおすすめします。

10年以上の運用ができるなら、NISAや投資信託で資産運用を行うことで、効果が得られる可能性が高まります。

NISAや投資信託は、資産をいつでも引き出せるメリットがあるので、中長期で活用できる金融商品といえます。

一方、iDeCoや小規模企業共済は、拠出した掛金を全額所得控除できるメリットがあるので、節税をしつつ、老後資金を積み立てたい人には最適といえます。

しかし、iDeCoは60歳以降にしか資産を引き出せないので、教育資金の準備には向きません。

なお、個人事業主が受けられる所得控除については、こちらの記事「個人事業主が確定申告で経費にできるものは?必要経費と所得控除の範囲・内容を解説」で詳しく解説しています。

どういった手段を利用するにしても、1つの商品に退職金すべてを投資するのはリスクがあるため、分散させることが大切です。

より自分に合った金融商品や運用方法をさがすには、資産状況や家計の状況をFPなどの専門家に相談することをおすすめします。

FP相談についてはこちらの記事「ファイナンシャルプランナーに相談するときの注意点|どんなことを相談できる?」も参考にしてみてください。

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