政府は、2023年3月22日に開かれた物価高対策に関する会合で、電気代に関する負担軽減策を発表しました。
高騰している電気代の負担を軽減する目的で、電気料金に含まれている「再エネ賦課金」の引き下げが実施されます。
この記事では、以下の項目について解説します。
- 再エネ賦課金の概要
- 4月以降の電気代はどの程度軽減されるか
【記事執筆】FP
川辺 拓也
3,000人を超える顧客からの相談実績をもとに、社会保障制度や家計に必要な金融知識を分かりやすく提供。2級ファイナンシャルプランニング技能士。金融全般から、お金に関する政策まで幅広く専門領域があり、複数の金融メディアに多数寄稿。
政府は、2023年3月22日に開かれた物価高対策に関する会合で、電気代に関する負担軽減策を発表しました。
高騰している電気代の負担を軽減する目的で、電気料金に含まれている「再エネ賦課金」の引き下げが実施されます。
この記事では、以下の項目について解説します。
再エネ賦課金とは、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の略称で、太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの買い取りに必要な費用にあてられる賦課金です。
毎月の電気代に含まれている項目の1つで、すべての人が負担する料金です。
再エネ賦課金は下図の算定方法で決定され、電気の使用量によって料金が変わります。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「FIT・FIP制度」
再エネ賦課金は、電力会社や居住している場所などの条件によらず、1kWhあたりの金額は同じです。
再エネ賦課金の単価は、年度ごとに改定されており、直近の負担額は下表の通りです。
出典:経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における買取価格・賦課金単価等を決定しました」(2020年度~2022年度)より作成
再エネ賦課金は、制度が始まった2012年から、毎年負担額が引き上げられていました。
2023年度は、再エネ賦課金の制度開始以来、初めて負担額の引き下げが実施されます。
負担がいくら減るのか見ていきましょう。
経済産業省は、2023年5月請求分より再エネ賦課金の単価を、2.05円引き下げることを発表しました。
単価の引き下げによって、1ヵ月の電力使用量が260kWh(キロワットアワー)の家庭では、月に約530円、年間約6,400円の負担減となります。
また、1ヵ月の電力使用量が400kWh(キロワットアワー)の家庭では、月に820円、年間9,840円の負担減となります。
再エネ賦課金の引き下げに至った背景には、ウクライナ危機によるエネルギー価格の急騰が関係しています。
市場で取り引きされる電気の価格が高くなり、再エネ事業者の電気販売収入が増えました。
その結果、利用者の負担を軽減する方向で調整が可能になりました。
しかし、再エネ賦課金が引き下げられても、電気代の負担減につながる実感は持てないかもしれません。
というのも、電力会社が規制料金の引き上げを国に要請しているからです。
当初は2023年4月に規制料金の引き上げを予定していましたが、5月以降に先送りとなりました。
今後、電気代の負担減につながる支援策が打ち出されるか、注目が集まります。
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