人生の三大支出の合計額は1億円以上?今から考える備え方

総額が1億円以上にもなると言われる「人生の三大支出」。

どんなことにどのくらいのお金がかかるのか、どうやって準備すればいいのか解説します。

「人生の三大支出」とは

子どもの教育・住宅の購入・老後の生活に関する支出を「人生の三大支出」と呼びます。

実際どのくらいの金額がかかるかは、その人がどんな人生を送りたいかによって変わりますが、ここでは一般的なケースを挙げ、必要な金額やその準備方法について解説します。

教育に関する支出

教育に関する支出の大部分を占めるのが、授業料や教材費、通学費などの進学にかかる費用です。

これに加えて、学習塾や習いごとなど学校外の活動にもお金がかかります。

文部科学省の調査*によると、これらを合わせた子ども1人あたりに必要な支出総額は、一般的な進路(幼稚園は私立、小・中・高校は国公立、大学は私立)で約1,100万円にも上ります。

中学から私立を受験するか、地元の公立校に通うかなど、進路によってかかる総額は大きく変動するため、各家庭の教育方針や世帯年収を考慮し、どのような資金計画が必要か早めに夫婦で話し合いましょう。

出典:文部科学省|子供の学習費調査(平成30年度)~(2)学校種別の公私比較

出典:文部科学省|平成30年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について

■教育資金の準備方法

一般的な進路であれば、高校卒業までは家計からやりくりすることができますが、大学の学費は教育資金の中でも高額のため、子どもの高校卒業までに計画的に準備する必要があります。

大学4年間で必要な学費は、国公立でも約250万円、私立文系で約450万円、私立理系で約600万円*となります。

さらに、進学に伴い一人暮らしをする場合は、4年間の生活費としてプラス250~350万円程度援助が必要になることも考慮しなければなりません。

出典:文部科学省|国公私立大学の授業料等の推移

出典:文部科学省|平成30年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について

教育資金(主に大学進学資金)の準備方法には、「預貯金」「保険」「投資」が挙げられます。

最も簡単に始められるのが「預貯金」です。

現在口座を持っている金融機関で「積立定期預金」を申し込めば、毎月一定額が普通預金口座から定期預金口座に自動的に振り替えられます。

手軽に少額から始めることができますが、使途(引き出し理由)に制限があるわけではないため、教育資金以外の臨時出費として取り崩してしまうケースもあるかもしれません。

「保険」の中には、教育資金の準備のための「こども保険(学資保険)」という商品があります。

預貯金より高い利回りが期待でき、保険料払込期間中に保護者(契約者)に万が一のことがあった場合、以降の保険料を払い込まなくても入学祝い金や学資金を受け取れることが最大の特長です。

さらに「投資」によって資金を積極的に増やしたい場合は、0~19歳までの未成年者を対象とした少額投資非課税制度の「ジュニアNISA」を活用しましょう。

ジュニアNISA口座で購入した株や投資信託(年間80万円まで)に対する運用益が最長5年間非課税となるため、一般口座で運用するより利回りが高くなります。

なお、ジュニアNISAは「子どもや孫の将来に向けた資産形成」を目的としているため、18歳になるまで払い出しができません。

ご紹介した「預貯金」「保険」「投資」の3つの方法をうまくかけ合わせ、家計に無理のない範囲で準備することが理想ですが、足りない場合は教育ローン奨学金という手段もあります。

住宅に関する支出

住宅金融支援機構の調査*によると、住宅の平均購入価格は建売住宅で平均3,442万円、マンションで平均4,437万円です。

これに加え、修繕費や維持費などメンテナンスにかかる費用が生涯で数百万円必要になると考えられます。

出典:住宅金融支援機構|2018年度フラット35利用者調査~2018年度集計表

■住宅資金の準備方法

自己資金だけで住宅購入できる人は少なく、足りない分は金融機関からお金を借りる住宅ローンの利用が一般的です。

数千万円という多額の借り入れをするため、返済能力に問題がないか事前に審査があります。

頭金をいくら用意するか、金利の種類(固定金利、変動金利、固定金利選択型)、返済方法(元利均等返済、元金均等返済)などによって、返済総額が大きく変わります。

また、返済期間が長期にわたるため、毎月の返済額が家計を圧迫しないよう、借り入れ金額と返済プランは慎重に検討しましょう。

老後の生活に関する支出

総務省の調査*によると、高齢無職世帯の月々の支出は約26万円なのに対し、厚生年金を始めとする社会保障給付などの収入は約22万円。

すなわち、1カ月に約4万円不足する計算になります。

85歳までの25年間に不足する金額の合計は約1,200万円になり、これに医療費や介護費用を加えると老後の生活に必要な資金の総額は、一世帯につき約2,000万円と考えられます。

出典:総務省|家計調査報告(家計収支編) 2018年(平成30年)平均結果の概要~高齢夫婦無職世帯の家計収支

■老後資金の準備方法

まず、勤務先の退職金制度を確認しましょう。

企業によりますが、勤続年数が20年を超えると退職時に1,000~2,000万円などまとまった金額を受け取ることができます。

自営業やフリーランスの方、勤務先に退職金制度がない方は、個人で用意しなければなりません。

教育資金同様、積立定期預金や、個人年金保険・養老保険など貯蓄性の高い保険商品、個人型確定拠出年金のiDeCo、積立型少額投資非課税制度のつみたてNISAの活用が考えられます。

これらの老後資金準備にかかる支出(保険料、掛け金)や収入(運用益、年金、一時金)に関しては下記のような税制上のメリットがあります。

養老保険・個人年金保険 ・その年に支払った保険料の金額に応じて、所得控除を受けられる。

iDeCo ・運用益が非課税。

・掛金が全額所得控除の対象となる(ただし、働き方によって掛金の上限額が決められている)。

・年金として受け取る際は「公的年金等控除」、一時金として受け取る際は「退職所得控除」の対象となる。

つみたてNISA ・購入した株や投資信託(年間40万円まで)に対する運用益が最長20年間非課税

車、保険に関する支出を加え、五大支出と呼ぶことも

三大支出に自家用車と保険にかかる費用を加え「五大支出」と呼ぶこともあります。

自家用車にかかる費用は約1,000万円超*、生涯支払う保険料は約800~1,500万円*にも上ると言われ、家計を圧迫する原因にもなります。

出典:総務省|家計調査報告(家計収支編) 2018年(平成30年)平均結果の概要 23,285円(自動車等関係費 月平均)×12ヶ月×40年間(30歳~70歳)=11,176,800円

出典:生命保険文化センター|令和元年度 「生活保障に関する調査」~第Ⅵ章 生命保険の加入状況~3.年間払込保険料(全生保)平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」~1.生命保険(個人年金保険を含む)の加入状況~(4)生命保険(個人年金保険を含む)の世帯年間払込保険料

196,000円(年間払込保険料)×40年間(25歳~65歳)=7,840,000円

382,000円(世帯年間払込保険料)×40年間(25歳~65歳)=15,280,000円

車は初期費用に加え、維持管理費(ガソリン代、車検代、駐車場代など)も高額です。

特に駐車場代が高額となる首都圏では必ずしもコスパがいいとは言えない場合もあります。

カーシェアリングなどの代替手段も増えていますので、お住まいのエリアの交通事情や利用目的なども考慮し、購入するかどうか判断しましょう。

保険についても、就職したら医療保険や就業不能保険、結婚したら生命保険、子どもが生まれたら学資保険など、ライフステージによって必要な保障は変わってきます。

定期的に見直し、保障内容に過不足がないか確認しましょう。

三大支出の備えは計画的に

三大支出の備えを計画的に行えば、ゆとりを持った資金形成が可能になります。

以下、具体的な手順を説明します。

STEP1 ライフプランを立てる

まず「どんな人生を送りたいか」というライフプランを具体的にします。

子どもは何人欲しいのか、どんな教育を受けさせたいのか、マイホームはいつ購入したいか、何歳でリタイアし、老後はどのように過ごしたいかなど、なるべく具体的に思い描きましょう。

STEP2 必要なお金を把握する

STEP1で描いたライフプランを実現させるために必要なお金を把握します。

どのタイミングでどのくらいのお金が必要か、目標金額と準備可能期間が明らかになります。

STEP3 家計の見直しや、資金準備方法を検討する

最後に、資金の準備方法を検討します。

無理なく資金を準備するためには、貯蓄、保険、投資、ローンなど具体的な手段を検討する前に、現在の家計の収入と支出に改善できるポイントはないか見直すことが重要です。

未来への備えも大事ですが、今を豊かに過ごすことも重要です。

未来のために今を犠牲にすることはないのです。

まとめ

「人生の三大支出」に備えるには、ライフプランの作成、目標金額の決定、準備方法の検討などすべきことがたくさんあります。

また、無理な計画は家計を破綻させかねません。

困ったとき、悩んだときには、お金のプロであるファイナンシャル・プランナー(FP)への相談がおすすめです。

FPは社会保険制度や税制、金融に関する幅広い知識を持ち、家計の見直しや資金の準備方法について親身に提案してくれます。

下記よりお気軽にお問い合わせください。

関連する記事

キーワードで記事を検索