「ムダ遣いしているつもりはないのに、なぜかお金が貯まらない」「一生懸命働いているのに、一向に貯金が増えない」そんな自分に対して、収入に大きな差はないはずの同僚はいつもふところが暖かそう……。
不思議に思ったことはありませんか?
実は、お金が貯まらない人と貯まる人の差は、収入よりも習慣の違いに現れるのです。
まずは、これまでのお金が貯まらない習慣を改善して、いつ・どのように増やしていくか、今後の計画を立てましょう。
お金が貯まらない人の5つの習慣!賢く貯めるコツとは?

お金が貯まらない人の悪い習慣とは?
お金が貯まらない人の習慣(Bad習慣)とお金が貯まる人の習慣(Good習慣)の違いをまとめました。
- お金が貯まらない人のBadな習慣
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- 収支を把握していない
- 貯まる仕組みがない
- 賞与で大きな買い物をしてしまう
- 衝動買い、ついで買いなどのムダ遣いが多い
- ローンやリボ払いなどの分割払いを利用している
- お金が貯まる人のGoodな習慣
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- きちんと収支管理している
- 先取り貯蓄で確実に貯蓄している
- 賞与は可能な限り貯金に回す
- 買い物のときの判断基準・マイルールがある
- 欲しいものはお金を貯めてから買う
お金が貯まらないBad習慣に当てはまるものがあれば、Good習慣へ変える必要があります。具体的にどのように行動するべきか、一つずつ解説していきます。
収支を把握していない
その月の収入がいくらあって、何にいくら使ったのかを把握していないのは、お金が貯まらない人の典型的な特徴です。収支(収入と支出)を把握するクセをつけなければいけません。
収入は、毎月の給与や賞与の支給額から税金や社会保険料を引いた、手取り収入を基準にします。
支出は、固定費と変動費に分け、さらに項目ごとに割り出します。固定費に分類されるのは、住居費、水道光熱費、通信費、保険料など。変動費に分類されるのは、食費、日用品費、被服費、美容費、交際費、交通費、教育費、医療費、特別費などです。
「項目が多くて難しい」という方は、ざっくりと固定費、食費、その他生活費、教育費、特別費、雑費の6項目から始めるのがおすすめです。まずは1ヶ月間、家計簿をつけて支出を記録してみましょう。手書きでもいいですが、家計簿アプリを使うと便利です。
固定費の削減、変動費の見直しについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
貯まる仕組みがない
「月末には給与を全部使い切ってしまっている……」というのも、お金が貯まらない人にありがちなパターン。収入内で毎月やりくりをして、残ったお金を貯蓄に回すという考え方では、いつまでたってもお金は増えません。
人は、手元にお金があると思うとつい使ってしまうもの。そんな誘惑に負けずに貯蓄を増やす方法が先取り貯蓄です。先取り貯蓄とは、給料日にお金が振り込まれた時点で、一部を別口座に移したり積立保険や積立投資に回したりして、自動的にお金を貯める方法です。先取り貯蓄したお金は容易には使えませんので、最初からなかったものとしてやりくりするしかありません。これが貯まる仕組みです。
ただし、もともと収支が差し引きゼロになる家計や赤字になる家計では、先取り貯蓄はできません。余裕がない中で無理に始めると生活が破たんしてしまうので、まずは家計の見直しから始めましょう。また、余裕があったとしても、先取り貯蓄に無理して大きな金額を設定することはおすすめしません。結局やりくりできずに貯蓄を引き出すようになると、いつまでたっても貯まらないままです。
収入別の貯蓄割合や目標の立て方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
賞与で大きな買い物をしてしまう
普段は手が出ないような高価なものを「自分へのご褒美」として買って賞与を使い切ってしまうのも、お金が貯まらない人の行動です。賞与はお金を貯める絶好のチャンスです。お金が貯まる人は、賞与の半分から全額を貯蓄に回しています。
とはいえ、賞与が支給される夏や冬はイベントが増える時期でもあるので、通常よりも交際費やレジャー費が必要になるご家庭も多いことでしょう。お子さんがいる場合は、夏期講習や冬期講習などの教育費もかかりますよね。
このような特別支出は事前に把握できることが多いため、賞与支給前に必要な額と用途を書き出してみてください。賞与から特別支出を取り置き、残りを貯蓄することで「気が付いたらすべてなくなっていた」を防げます。賞与の全額とはいかなくても、半分を目標に貯蓄に回すことができれば素晴らしいですね。
衝動買い、ついで買いなどのムダ遣いが多い
お金が貯まるか貯まらないかの差は、その人の普段の買い物にも現れます。
例えば、いつも利用する通販サイトから「対象商品2点で30%オフのタイムセール」のお知らせが来たとき、たいして欲しくもないのに「お得だから」とカートに商品を入れていませんか。例えば、古くなったキッチン家電を買い換える目的で家電量販店に行ったとき、スマホの最新アクセサリが目に入り、つい買ってしまったことはありませんか。
お金が貯まる人は、普段からモノを買う基準を明確にしているので、このような衝動買いやついで買いとは無縁です。
ある人は、必要なモノ以外は買わないと決め、突発的に欲しいと思った商品があっても、本当に必要か必要でないか買う前に検討する習慣を持っています。ある人は、自分が本当に欲しいモノをリスト化しておき、ショッピングをするときはリストを見返してクールダウンしているそうです。
「衝動買い」や「ついで買い」をしている自覚のある方は、買い物にルールを設けてムダな出費を抑える工夫をしましょう。
ローンやリボ払いなどの分割払いを利用している
高額な商品が欲しいとき、お金が貯めてから買うのが貯まる人、ローンで買うのが貯まらない人です。
貯まらない人の中には、カードローンやリボ払いの返済から抜け出せずに困っている方もいます。そうなると、貯蓄どころではありません。
リボ払いとは、利用金額にかかわらず月々の返済金額を一定に保つ支払い方法です。利用すればポイントがたまるキャンペーンなどもあり、一見お得なように見えますが、高い金利が発生するので注意してください。たとえ月々の返済額が小さくても、何度も利用すれば返済期間が長期化し、支払い残高が把握できなくなってしまいます。
カードローンは、無担保で借り入れができる融資です。ATMやインターネットから気軽に利用できますが、こちらも金利の高い借金だということをお忘れなく。利息は日割り計算となるため、計画性のない長期間の借り入れは危険です。支払いが遅延してブラックリストに登録されてしまうと、住宅ローンの借り入れやクレジットカードの申し込み審査にはまず通らないでしょう。
カードローンやリボ払いは、利用しないで済むのなら利用しないほうが賢明です。今まさに返済中という方は、繰り上げ返済する努力をしましょう。
リボ払いのシミュレーションなどについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
お金には貯めやすい時期がある!
人生には、支出の多い時期と少ない時期があります。お金を貯めるには、支出の少ない時期にどれだけ貯蓄に回せるかが重要です。
お金を貯めやすい時期は、一生のうちで3度訪れると言われています。1度目は「独身時代」、2度目は「結婚して子どもが小学生までのあいだ」、3度目は「子どもが独立してから定年まで」です。これらのライフステージにいる方は、今がまさに貯め時です。意識的に貯蓄を増やす行動を心がけましょう。
独身時代
就職してから結婚するまでの独身時代は、初めて自由にお金を使えるようになる時期。ここで浪費グセをつけず、堅実に貯める習慣を身につけることができれば、将来の貯蓄額に大きな差が出ます。
おすすめは、先取り貯蓄です。先取り貯蓄には、勤務先の財形貯蓄や社内預金、銀行の積立定期預金、貯蓄型保険の養老保険や学資保険などがあります。ほかにも、投資信託など先取り貯蓄にはさまざまな方法があります。自分に合った方法で、自動的にお金が貯まる仕組みを作りましょう。
結婚~子どもが小学生までのあいだ
結婚後に共働きをしている時期は、家計には余裕があるはずです。大切なのは収支管理を徹底して、できるだけ貯蓄額を増やすこと。夫婦で話し合って貯蓄の目標額を決めると、モチベーションが高まり継続につながりやすくなります。
子どもが産まれてから小学生までのあいだも、教育費の負担がそれほど大きくないため、なるべく貯蓄をしておきたい時期。子どもが大きくなるにつれ出費は増えていきますが、大学入学までは貯蓄に手を付けずに、家計の範囲内でやりくりしたいですね。
子どもの独立~定年まで
子どもが独立してから定年までのあいだは、リタイア後の資金を作る最後のチャンスです。教育費が浮いた分を、そのまま貯蓄に回すといいでしょう。この時期にどれだけ貯められるかによって、老後の生活ぶりが決まります。
最近は、晩婚化の影響で子どもを授かる時期が遅く、子どもの独立より先に定年退職を迎える方も増えています。なかなか貯蓄にまで手が回らない状況ですが、子どもの独立後には家計のムダを洗い出し、支出を抑えることを心がけましょう。
人生100年時代を豊かに過ごす方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
賢くお金を貯めるなら先取り貯蓄!
収入を確実に貯蓄に回すための仕組み「先取り貯蓄」には、どのような方法があるのでしょうか。大きく分けると、現金で積み立てる方法、保険で積み立てる方法、投資信託で積み立てる方法の3つがあります。
現金で積み立てる方法は、利率はそれほど高くないものの、臨時出費の際も比較的自由にお金を引き出せるのが特徴です。保険で積み立てる方法は、貯蓄性の高い積立型の生命保険が活用できます。
投資信託とは「日本株式(債券)」「海外株式(債券)」「不動産」など、ある一定の運用方針の元、ファンドマネージャーと呼ばれる投資のプロが運用を代行してくれる商品です。月次、年次などの決算のタイミングで運用成績に応じて分配金を受け取れます。高利回りが期待できるほか、節税にもつながります。
それぞれの制度や商品の特徴を知って、自分に合った先取り貯蓄を始めましょう。
現金で積み立てる
流動性が高く、臨時出費に備えられる!
(例)積立定期預金、財形貯蓄、社内預金
保険で積み立てる
万が一に備えられる!
(例)養老保険、学資保険、個人年金保険
投資信託で積み立てる
高い利回りを期待できる!
(例)つみたてNISA、iDeCo
積立定期預金
積立定期預金とは、銀行などの金融機関の普通預金口座から積立定期預金口座へ、自動的にお金を振り替えて貯める方法です。振替日を給与の振り込み日に設定しておけば、先取り貯蓄が可能です。普通預金と比べると、多少利回りが高く設定されています。
勤務先に財形貯蓄制度がない方やフリーランスの方も、金融機関に口座があれば誰でも積立定期預金を始めることができます。利息は減ってしまいますが、臨時出費などで満期日前に解約することもでき、気軽に引き出せることが特徴です。
財形貯蓄
財形貯蓄は、勤務先から支払われる給与や賞与から天引きで貯蓄する制度です。月々1,000円、または5,000円など少額から積み立てられるので、入社したてで収入に余裕のない時期からでも無理なく始めることができます。
一般財形であれば、積立開始から1年経過後は引き出し可能ですが、会社経由で手続きを行う必要があります。銀行から自由に引き出せる積立定期預金と比べると、心理的に貯蓄を引き出しにくくなることが、メリットでもありデメリットでもあると言えるでしょう。
社内預金
社内預金とは、財形貯蓄と同じく、給与や賞与から一定額を天引きして貯蓄する制度です。財形貯蓄は勤務先経由で銀行などの金融機関へ預けますが、社内預金の預け先は勤務先(委託先の信託機関)となります。
メリットは利率の高さです。厚生労働省により、社内預金の下限利率は年0.5%と設定されています(2020年4月現在)。金融機関が市場の金利情勢に応じて利率を定める積立定期預金や財形貯蓄は、社内預金よりも低利率であることが一般的です。デメリットは、勤務先が倒産した場合は預けたお金が戻ってこない可能性があることです。
養老保険
養老保険は、毎月一定の保険料を支払うことで、満期までに契約者が亡くなった場合には、遺族が死亡保険金を受け取れます。満期まで生きていた場合は、死亡保険金と同額の満期保険金が受け取れる貯蓄型保険です。
満期時にいくら受け取ることができるのかが明確なので、将来のマネープランを立てやすくなります。ただし、定期保険や終身保険と比較すると保険料が割高であることに留意しましょう。その年に払った養老保険の保険料は、生命保険料控除の対象となります。
学資保険
学資保険は、子どもの教育資金を準備するための貯蓄型保険です。毎月一定の保険料を支払うことで、子どもの成長や家庭の状況に合わせて進学準備金や満期学資金を受け取ることができます。
万が一、契約者である親が死亡したり高度障害を負ったりした場合は、その後の保険料支払いが免除され、保障はそのまま継続されます。注意点は、途中解約をすると元本割れするリスクがあることです。保険料を払い続けられる見通しがないのに無理に契約するのはおすすめできません。
個人年金保険
個人年金保険は、老後資金の準備のための貯蓄型保険です。毎月一定の保険料を納めることで、設定した年齢になった時点から年金を受け取ることができます。
年金受け取り開始前に契約者が死亡した場合には、払込保険料相当額の死亡給付金が遺族に対して支払われます。その年に払った個人年金保険の保険料は、個人年金保険料控除の対象となります。
つみたてNISA
つみたてNISAは、その口座で積み立てた投資信託の運用益が非課税となる証券口座です。口座を開設した金融機関で購入できる、長期の積立・分散投資に適した投資信託から好きなものを選んで積み立てます。投資額は年間で最大40万円、投資期間は最長20年間と定められているため、総額で投資元本800万円分まで非課税となります。
急な出費があった場合でも、積み立てた投資信託を売却することでいつでも資金が引き出せるので安心です。ただし、投資信託は元本や利益を保証されているわけではありませんので、リスクをよく理解して投資しましょう。
iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、毎月一定額を積み立てて運用する個人年金制度です。運用で得た利益は非課税となり、掛金は全額が所得控除対象となるほか、受け取り時にも所得控除が適用されるため、節税効果が高いことが特徴です。運用商品には、定期預金や保険商品などの元本確保型商品も選択できます。
iDeCoで積み立てた資金は、60歳になるまで引き出すことができません。老後の資金形成を目的とした方の貯蓄としては優れていますが、ライフイベントに不確定要素の多い若年層の方にとってはデメリットになる可能性があります。
まとめ
住宅の購入、子どもの教育、老後の生活費など、人生には大きな出費が必要になる時期があります。これらの支出に無理なく備えるために、お金を貯めやすい時期(独身時代、結婚してから子どもが小学生までのあいだ、子どもが独立してから定年までのあいだ)にはしっかり貯蓄する必要があります。なかなかお金が貯まらないという方は、毎日のお金の使い方、管理の仕方を見直すことをおすすめします。
現在の家計の診断や貯蓄については、お金のプロであるファイナンシャルプランナー(FP)が相談に乗ってくれます。下記よりお気軽にお問い合わせください。